JINSEI STORIES
ノルマンディ日記「父ちゃんの私生活大公開、へ?いらない?ですよね~、あはは」 Posted on 2023/02/16 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、やっぱり、日々大変なのは、掃除なのであーる。
犬と暮らしているから、犬の抜け毛の掃除が面倒くさい。
実は今朝ほど、掃除をしていたら、ぎっくり腰の手前の状態になり、情けない恰好で、コツコツ、掃除をしている。あはは。
掃除機がドイツ製で重戦車みたいに重たく、掃除をしていたら、腰が「バキッ」と鳴ったのだ。き、きたー。
やば、と思って、そのまま、床に寝転がり、ホトボリが冷めるのを待ったが、これが、なかなか回復せず、動けないでいた、情けないのー。
とはいえ、最悪でもないので、ご安心くだされ。なんとか、へっぴり腰で・・・。
悪化させると地上階に降りれなくなるから、ごまかしごまかし、やっておる。(三四郎の夜のピッピとポッポ、おしっことうんちだけはどうしても降りないとならない。さて、どうしたものかね)
うちにはエレベーターがないので、最上階(日本だと5階。フランスの4階)まで三四郎を抱えて昇り降りを続けてきた。
ミニチュアダックスフントは足が弱く、階段の昇降のせいで歩けなくなる可能性もあるのだかと・・・。
なので、毎日、3,4回、抱えて昇り降りを頑張ってきたのだ。
どうも、これが腰を悪化させた原因なのであろう。
ここだけの話、このアパルトマンは、最高の物件なのだけど、(´;ω;`)ウゥゥ、そう遠くない将来、売ることになりそうだ。
10年後、老いたら、この昇降は、無難しいかもなぁ・・・。
腰を気遣いながら、今日は、やれる範囲で、部屋の大掃除となった。
ということで、ちょっと、三四郎&父ちゃんのアパルトマンをご紹介してみよう。
屋根裏部屋なので天井は高くないが、グレーが混じった白壁が気に入っている。柱はもともとこげ茶色だったが、ここは少し濃い目のジンクホワイトのペンキに。
キッチンはコの字型になっていて、最大で、5人くらいが、厨房のぼくを囲んでわいわいと食事をすることが可能なのである。
背の高いストゥールの椅子がお気に入りで、ここで、夜な夜なウイスキーを飲んでいるのであーる。(NHKBSの「パリごはん」でおなじみ、人生劇場の舞台はこの右奥角席になる。そこにぼくが座って、幻の大将とのアドリブ劇を・・・あはは)
三四郎はいつも、お気に入りのソファでごろごろしている。
ぼくがギターを弾くと、飛んで来て、横に張り付く。
犬の聴覚は人間の4倍あると言われているから、ギターとか歌は苦手なはずだが、ぼくが大声で歌っても横でずっと寝ている。
たぶん、この世で、この子が一番、ぼくの歌を聴いている。しかも、ぼくの音楽が好きでいてくれて、とっても嬉しい。
三四郎、ありがと。
仕事をするところは一応、二か所あって、海に向かった窓の前の机にパソコンが一台、もう一つはメザニンと呼ばれる中二階の階段の上の狭い場所にある。
メザニンだけ、黒と緑の混ざった暗い色のペンキを塗った。
北東をむいた小さな窓から差し込む光がもの凄く優しく、小説は、ここで書いている。
想像の世界に集中することができる。
この窓からも海が見えるけれど、もう一台のパソコンが置かれた窓からは、でーんと海が広がって見える。
とくに夕陽は格別で、真っ赤な別世界、が広がる。
ノルマンディの海岸線を一望できる。
窓は天窓まで数えると全部で9個あるのだが、屋根裏部屋だから、どの窓もめっちゃ小さい。
好きな色の絨毯で、その部屋その部屋の雰囲気を変えている。
寝室はお見せできないけれど、寝室の壁のペンキはベージュの色にしてある。
小さなベンチがあり、ベッドがあるだけだ。
寝るだけの部屋だけれど、ここからは山側が見える。
秋になると木々が色づき、とってもきれいだ。
今は葉っぱが全部落ちてしまい、それはそれで、線画のようで美しい。
でも、一番好きな場所は、寝室と隣り合わせのお風呂場なのである。
二つの小さな窓があるお風呂で、ここにトイレもくっついている。
晴れた日に、窓をあけて、日光浴をしながら、お風呂に浸かるのが大好き。
基調色は白だけれど、湿度があるので、床と壁の半分までは大きな岩盤で作られたタイルを貼ってある。
三四郎もここが好きで、彼のために、小さなソファを用意している。
ぼくが入浴しているあいだ、三四郎がそのソファの上で、待っている。全部の窓を開けると、風がよく流れる。ふー。深呼吸。
そうこうしているうちに腰の痛みがちょっとだけ緩和されてきた。よかったぁ・・・。
掃除はこのくらいにして、お湯をはって、お風呂にでも入ろうかな。あたためて、養生をし、夜までに治さないとね・・・。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
こういう家具とか、壁のペンキとか、カトラリーとか、揃えたり、集めたりするのが大好きです。専門家に頼む方も多いと思いますが、ぼくは出来るだけ、自分で決めたいタイプで、自分色というか、イメージがあって、そのイメージの中で暮らすのが本当に最高なんです。階段を降りると、下に今は倉庫として使っている小部屋があって、本当はそこに秘密の基地(無線室)を作りたかったのだけど、もしも、引っ越すことになるなら、これ以上はできないかもしれないですね。ここを買う時、まさか、犬と一緒に暮らすことになるとは思ってもいなかったので、人生というのは、いやはや・・・。どうなることでしょうか。
そして、明日、いよいよ、あれじゃないですか、「パリごはん」の新作が放映されます。いやあ、今回はいろいろとありました。人生を振り返るようなドキュメンタリーとなっているはずですので、お楽しみに。
NHK・BSの「パリごはん」の新作は2月17日に放映されます。
新作「辻仁成のパリごはん 2022年秋冬」(59分) 放送時間のお知らせです。
2023/2/17(金)後10:00~10:59【BSプレミアム・4K同時】
2023/2/21(火)後5:00~5:59【BS4K】※再放送
父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」、お好きな音楽プラットホームから選ぶことが出来ますので、聞いてみてくださいね。この中のYoutubeをクリックすると、どこかの会員になってなくてもきけますよ。裏技です。あはは。
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5月29日のオランピア劇場でのライブ、直接チケットを劇場で予約する場合はこちらから。FNAC(フナック)でも買えます。
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