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退屈日記「田舎の夜空は星のパラダイス。パリでは見ることのできない星座たち」 Posted on 2023/02/13 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ぼくと三四郎が暮らすアパルトマンは海沿いの丘の上にあるので、360度、世界を見渡すことが出来る。
パリのように建物が隣接していない上に、車が、特に夜は、まったく走ってないので、空気も澄み渡っているし、星がよく見えるのだ。
今日は雲一つない快晴だったので、三四郎の夜のお散歩のときに見上げたら、どっひゃあ、となった。
満点の星空なのである。(アパルトマンから360度、ノルマンディが見渡せるが、真上はさすがに屋根に上らないと見えない)
「すげー」
出てくる言葉は、すげー、しかなかった。
しかも、見上げた頭上に、あー、オリオン座が見えるじゃーん。

退屈日記「田舎の夜空は星のパラダイス。パリでは見ることのできない星座たち」

※ 携帯写真なので、わかりにくいかな。オリオン座を探せ!!!



一番目立つところに、三つの点がきれいに整列していた。
オリオンの三ッ星であった。
星座のことは詳しくないけれど、ギリシャ神話に出てくるオーリオン、・・・ほら、戦士みたいな恰好をした神話上の人物だ。
そのオーリオンがイメージされたから、オリオン座である。天の赤道上にあって、おうし座の東に位置する星座・・・。
冬の晴れた、温度が低く空気が澄んでいる夜に、よく見える。まさに、今夜だ。
とにかく、携帯の写真でここまで綺麗にとらえることが出来るのだから、すごい。実際を想像しながら、イメージを膨らませて頂きたい。

退屈日記「田舎の夜空は星のパラダイス。パリでは見ることのできない星座たち」



ぼくが空を見上げたまま動かなくなったので、三四郎くん、困っていた。くう~ん。
これだけの大星雲が頭上にあるのだ、自分なんかこのでっかい宇宙の一部なのだ、と思うと、なんと小さな存在なんだろうな、と思うね。
小さなことにくよくよしていてもしょうがない、と改めて思うことが出来た、父ちゃんであった。人間は生きているあいだに、いろいろと学ぶことが出来るものである。
それにしても、オリオンの三つ星、もちろん自然が作ったもので(言い方が変だ、誰が作ったんだ、本当は!?)、遥か彼方で輝きながら、ぼくらをこんなに励ましてくれるのだから、ありがたい。
古代人はもっと星がよく見えていたであろう。
彼らはオリオンの三ッ星を見上げながら、何を思っていたのか、不夜城の都会で暮らす人々は何を失ってしまっているのか。



退屈日記「田舎の夜空は星のパラダイス。パリでは見ることのできない星座たち」

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
12日の「パリごはん、去年の夏版」の再放送を見たという知り合いから、連絡がありました。17日、いよいよ新作「2022年秋冬版」が放送になりますね。面白いかどうか、ぼくにはなんともわかりませんけれど、ナレーションがいつも素晴らしいですよね。監督もPの皆さんもスタッフさんも音響さんもみんなに支えられていい番組が出来ているはずです。相変わらず、人生に翻弄される父ちゃんですけれど、飽きずにお付き合いくださりありがとうね。

地球カレッジ

退屈日記「田舎の夜空は星のパラダイス。パリでは見ることのできない星座たち」

父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」、お好きな音楽プラットホームから選ぶことが出来ますので、聞いてみてくださいね。この中のYoutubeをクリックすると、どこかの会員になってなくてもきけますよ。裏技です。あはは。

https://linkco.re/2beHy0ru

5月29日のオランピア劇場でのライブ、直接チケットを劇場で予約する場合はこちらから。FNAC(フナック)でも買えます。

https://www.olympiahall.com/evenements/tsuji/

新作「辻仁成のパリごはん 2022年秋冬」(59分) 放送時間のお知らせです。
2023/2/17(金)後10:00~10:59【BSプレミアム・4K同時】
2023/2/21(火)後5:00~5:59【BS4K】※再放送
2023/2/21(火)後11:00~11:59【BSプレミアム】※再放送

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