JINSEI STORIES
パリ日記「自炊にいのちをかける息子くんの、本当の息子飯が、現在進化中!」 Posted on 2023/03/10 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、ここ最近の我が息子の料理熱が半端ない。
一人暮らしをはじめた途端、がんがん自炊を続け、しかも、腕をあげているのだ。
「食育」をしてきたつもりはないけれど、この10年間の成果がこんな形であらわれてきたわけだから、むしろ実に喜ばしいことではないか。
昨日も、凄い写真が送られてきた。
おおおおおおおおお、オムライスじゃん!!!
しかも、よくTikTokとかで流れてくるようなすごい奴ではないか。
美味そうだァ~。
先の日記にも「家飯」のことは書いたけれど、家で食べるごはんは人間が生きる上での基本飯なのであーる。
ぼくは息子に、米粒残しちゃいけないよ、と教えてきた。
だから、作りすぎても必ず保存が出来、すぐに食べることができるものを心掛けてきた。
残さないでいい量を作ることにも工夫を凝らしてきたつもりである。
命の大切さや、食べ物の意味をずっと教えてきたつもりだ。だから、彼は今、ぼくの意志を受け継いで、かなりの自炊王になっている。
彼から毎日のように届く、「毎日ごはん」は、息子がきちんと日々食生活を考えて生きている証拠でもある。
前に生活費いくらくらい必要かな、と聞いた時、
「本とか文房具は別で、食費だけなら200€くらいかな」
と提示された。
朝昼晩食べて、一食、2ユーロ計算になる。一食、280円・・・。円安だから、日本の感覚でいうと、200円程度かな。
彼が作っているものは餃子の皮まですべて手作りで、ぼくもびっくりするような本格派なのである。
何がいいかって、お金をかけない生活を心掛けていることが素晴らしい。
外食は、友だちに誘われた時だけしか行かないのだ、とか。
しかも、学食は高い、と彼は豪語する。
一食2€でレストランの味を自分で作りだしている。(カフェのランチは13~15€、1800円から2200円程度もかかる)
それにしても、美味しそうだ。
「今度、パパのために、なんか作ってくれるかい? 君のアパルトマンで」
と聞いてみた。
「いいよ」
という返事であった。
う、何を食べさせてくれるのだろう、楽しみだ。
この若さで自炊の愉しみを知り、自炊を通して食品ロスや食糧難の時代のことを真剣に考えることが出来るということは素晴らしいことじゃないか。
食べるものを粗末にしない生活の中に、これからの人類の未来が、ある。
息子の親友のウイリアム君も、トマ君も、みんな料理が上手。
今時の若者はなんでこんなに料理が上手なのか、と不思議に思うくらい、上手なのである。
YouTubeやTikTokの影響があるのかもしれない。
でも、自炊をすることで、食べ物へのリスペクトが生まれ、考えるきっかけになるので、それは、とっても素晴らしいことだと思う。
とにかく、ぼくは我が子のオムライスが食べたい。
今は、どんな味がするのか、想像をしながら、にやにやしている。あはは。
料理をすることには、このように、人生の偉大なるおまけがくっついて来るのだ。
※ これは、また、別の日に届いた、手作りランチプレートなり。しかも、左下のは、父ちゃんの半熟味付け卵に、そっくりだ!!!
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
それにしても、食べることへのあくなき追及というのは大切ですね。毎日、落ち込むようなことばかりですが、美味しいものを食べると元気になります。次のごはんはなんにしようと思えば、生きる気力も出てきます。おっと、忘れていた。dansyuエッセイの閉め切りが今日でしたァ。これから、書きますね。食欲を刺激する美味そうなエッセイを!!!
さて、文章を書くのが大好きな皆さんに、「父ちゃんの気まぐれ文章教室」のお知らせです。3月19日、いよいよ、今年第2回目の文章教室を開催いたします。ご興味ある皆さん、ご参加ください。詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリック!!!
そして、エディットピアフも立った。ビートルズも立った。ローリングストーンズも、マドンナも、スティングも立った。オランピア劇場でのライブが近づいてきました。
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