某月某日、スペインなら、バル巡りである。
そして、人が並んでいるカウンターに割り込み、好きなピンチョスを指さす。
中の人がお皿にそれをとってくれて、目の前に出してくださる。
飲み物はチャコリとか、ビールとか、ワイン。いわゆる、スペインの家庭小皿料理「タパス」だ。
残念ながら、スペインのレストランはフランスのように「犬連れ」はＯＫではない。でも、バルならば、どこでも三四郎と入ることが出来る。
「犬と一緒なんだけど、いいですか？」
「奥はレストランだからダメだけど、カウンターならいいよ」
ただ、床にいろんなものが落ちているので、綺麗な場所を選ばないとならない。
ぼくは三四郎がすっぽり入るバックの中に押し込んで、バル巡りをやった。
三四郎的には、チョッカイ出しやすい高さだけど、変なものを食べられても困るので、こっちの方が安心である。

あと、バルは一人でふらっと顔を出し、サッと食べて出ていく人ばかりだから、気を使わなくていい。
一人で食べているマダムやおじさんが多い。
日本の定食屋みたいなイメージであろうか。
ただ、立ち食いなのだ。もちろん、席がある店もあるけれど、基本は立ち食いかな。一人と一匹旅のこちらには都合がよい。
ボーッと立っていると、ぼくの番になる。
すると中の人が、なんか、言う。たぶん、「何にするの？」
それまでに最初の注文を素早く決めておくこと。
「セルヴェッサ（ビール）、これと、これ」
指さして終わり。最初は、二品か、多くて三品で十分だ。
地元民で溢れている店を狙う。
スペイン語しか聞こえない店が狙いどころである。英語とか、仏語ばっかり聞こえてくるところは、避ける。
食べたら、ラクエンタ・ポルファボール（お勘定ください）と言ってお会計をし、出る。
先にお会計をやる人もいるけれど、美味しい時は追加しないとならないから、ぼくは毎回、最後にやる。

生ハムのコロッケとか、スペイン・オムレツとか、イベリコ・生ハムとか、マッシュルームのサンドとか、アンチョビとチーズとハムのサンドとか、
めっちゃたくさんタパスがあるので、ちょっとづつ食べて、どんどん、バル巡りをするのがいいだろう。
歌手なので、風邪は引けない身、入口付近の人と出来るだけ接触しない場所で飲み食いをした。
バルの雰囲気を楽しむのがスペイン旅の醍醐味であることは間違いない。三四郎は、貰えないと分かると、すぐに諦める子なので有難い。
さて、明日は何を食べるかな、決めてから、店を出よう。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
スペインのバル巡り、ほんと、これは最高です。サンセバスチャンは旧市街にバルが集中していますが、ホテル周辺や、海沿いにも点在しており、あるいは旧市街じゃない方が、観光客さんは少なくて、地元感満載かもしれません。明日も調査いたしますね。えへへ。
さーて、毎度、お知らせです。
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今年最初の課題は、また一から、食にまつわるエッセイとなります。
「お子さんやパートナー、家族、同居人に日々作る、作ってもらっている、頂いている、ごはん。外食も含め」について、その人生の深部、喜怒哀楽を書いてください。題して、「日々のごはん」です。字数は1000字前後、1500字以内、とします。締め切りは1月22日とさせていただきます。
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