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滞仏日記「長年続けてきたツイッターをちょっとだけ休む、本質的な理由」 Posted on 2023/01/02 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、元旦だというのに、ぼくは朝から仕事をしている。
実は、NHKの「パリごはん」の秋冬編の締め切りが今週中くらいに迫っているのだ。
「あと、辻さんの一人飯を見てみたい」
というリクエストをディレクターの義和氏から頂いておった。これで、終わり、ということになりそうだ。
9月から撮影をしているので、4か月に及び、えらーく大変な撮影となった。
実は、明日か、明後日くらいから、今月、中旬まで三四郎と放浪の旅に出ようという計画がある。
一人と一匹旅である。
目的地は特にないが、スペインとかポルトガル、あるいはイタリアまで車で行こうかな、と企んでいる。
スペインのマドリッドあたりであれば13時間ほどかかる。
ポルトガルのリスボンまでならば17時間。
イタリアのベネチアまでなら、スイスを通過しても、およそ、11時間で着く。
一気に行くのじゃなく、数か所で宿泊し、戻る時もまた、数か所で休む。一日一か所一泊という移動になるのかなぁ。
ま、イメージとしては欧州半周みたいな旅になればいいな、と思っている。
理想としては、スペイン、ポルトガル、フランス南部、イタリア、スイス、というルートがいいのだけど、小型車なので、ちょっと、きついかもしれない。
ただ、有難いことに、三四郎も車酔いしなくなった。
それでも、一日、4時間以上、車に閉じ込めるのは可哀想なので、その都度、高速をおりて、田舎の宿で休んでいく

滞仏日記「長年続けてきたツイッターをちょっとだけ休む、本質的な理由」

※ スペインのロカ岬にて。

滞仏日記「長年続けてきたツイッターをちょっとだけ休む、本質的な理由」

※ バルセロナにて。



人生のリセットをしたいのだ。
ちょっと今日から、ツイートも休んでみた。(休み休み、たまに、ひょいと打つかもしれませんが・・・4Gが2Gになるような感覚でしょうか。ぼちぼち生きる)
特に、震災のあと、日本を励ましたくて、毎朝、毎晩、おはようとおやすみを続けてきた。
でも、今はぼくが人生の節目を迎えようとしている。63歳になった。
ぼくこそが、しっかりしないとならない。
ちょっとの期間、英気を養い、再び、皆さんを励ませる日まで精進しないとならないので、ちょっと魂の休息をとる必要がある、と判断したのであった。
(体調が悪いわけではありませんので、ご心配せず、日記は毎日継続しますから、ご安心くださいね)
今年から、何か少し、自分を変えてみたいのである。

滞仏日記「長年続けてきたツイッターをちょっとだけ休む、本質的な理由」

※ ベネチアにて。

滞仏日記「長年続けてきたツイッターをちょっとだけ休む、本質的な理由」



息子が巣立った。彼は自立しようとしている。ぼくも息子から自立しなければならない。あはは。
慣れ切ってしまった人生のルーティンをちょっと弄繰り回す。
そうやって、人生をリセットしないといけない。
これは、生きている人、すべてに言えることだと思う。
生きている間、勉強をするべきなのだ。
生きている間、魂の修行、想像の鍛錬をしないといけない。
ぼくも世界を旅し、もっと神髄を学ばないとならない。
そこで、明日にでも、明後日か、明々後日(?)、・・・準備が整い次第、旅に出ようと思っている。(もっとも、ホテルもその場その場で、飛び込みで、宿泊できる場所を探していく予定。どうなることやら。犬が一緒でも泊めてくれる宿じゃないとねー・・・)
なので、その前に、NHKの撮影をフィニッシュさせる必要があった。
ぼく的には、残り2場面だと思っている。
とりあえず、一人飯の撮影を今日、やった。
実は、急遽、夜に息子が来ることになったので、(生活費を与えないとならないから、取りに来る)
残ったものを夜に少し回せるようなものがいいな、と思って、パスタはプッタネスカにし、肉はローストビーフ系にした。
マグロとトマトとケッパーのパスタの横に赤身肉のオーブン焼きを添えたものである。
ローストビーフは夜のご飯に回せるので、多めに作っておいた。えへへ。(あと、チラシ寿司を作ってやる予定)
壊れかけのキッチンで料理をしながら、これからのことを考えた。
とりあえず、最初はどこを目指すかな・・・、決めないとならない。
最初の宿くらいは、予約しておく必要があるだろう。
西か、南か、・・・さんちゃん、どっちがいいの? 笑。

滞仏日記「長年続けてきたツイッターをちょっとだけ休む、本質的な理由」

※ 作った料理を一人用テーブルにおき、うちのテラスで、笑、ベランダで、食べる父ちゃんの、自撮り撮影・・・。自分で、録画ボタン押して、やってきた三四郎を抱えて、ご飯たべて、録画ボタン消す、という恐ろしい工程なのだが、それを微塵も感じさせない、プロ根性。義和ディレクターのために、頑張った父ちゃんであーる。あはは。

「辻仁成のパリごはん 2022年秋冬」(59分)
2023/2/17(金)後10:00~10:59【BSプレミアム・4K同時】
2023/2/21(火)後5:00~5:59【BS4K】※再放送
2023/2/21(火)後11:00~11:59【BSプレミアム】※再放送



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
今、息子がやってきました。これから夜ごはんの準備にはいります。2023年がどうなるのか、ぼくは毎日、考えていますが、自分の目に、今のこの世界を焼き付けられるのも、今のうち、若いうちだろうな、と思って、旅に出ますね。欧州、各地の風景とメッセージをお楽しみに・・・。

そして、地球カレッジからのお知らせです。
今月の文章教室は1月29日になります。この前には戻り、きちんと準備をしますから、ご安心を。皆さんから届いたエッセイは旅先で楽しく読んでいきますね・・・。

「エッセイの書き方教室、第1回」
今回の地球カレッジ「文章教室」は、どうやってエッセイを構想し、実際に書き、また、推敲をしていくのか、についての講座となります。課題応募されたエッセイの中から選ばれた数本のエッセイを、辻仁成が細かく指導、推敲、研磨していきます。
「エッセイ依頼内容」
今年最初の課題は、また一から、食にまつわるエッセイとなります。
「お子さんやパートナー、家族、同居人に日々作る、作ってもらっている、頂いている、ごはん。外食も含め」について、その人生の深部、喜怒哀楽を書いてください。題して、「日々のごはん」です。字数は1000字前後、1500字以内、とします。締め切りは1月22日とさせていただきます。
詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックくださいませ。

地球カレッジ

滞仏日記「長年続けてきたツイッターをちょっとだけ休む、本質的な理由」

続いて、音楽のお知らせです。
父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」はこちらです。無料でも聞けます。ってか、ほとんど無料に近いですので、思う存分楽しんでください。音楽が危機的な状況ですけど、ミュージシャンたちは頑張っています。


https://linkco.re/2beHy0ru

それから、2023年5月29日にパリのミュージックホール、オランピア劇場で単独ライブやります。
パリ・オランピア劇場公演のチケット発売中でーす。
直接チケットを劇場で予約する場合はこちらから。

https://www.olympiahall.com/evenements/tsuji/

フランス以外からお越しの、ちょっとチケットとるのが不安な皆さんは、ぜひ、ジャルパック・サイトをご利用ください。こちらです、

https://www.jalpak.fr/optionaltour/tsujiconcert/



自分流×帝京大学