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滞仏日記「ひとなり熱血サムライの会、がパリに結成されたのであーる」 Posted on 2022/12/20 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、父ちゃんずラブな応援団「ひとなり熱血サムライの会」が結成されたので、ご報告させて頂く。
もちろん、会長はオペラの怪人、呑もちゃんこと国虎屋の野本氏であーる。坂本龍馬を敬愛する土佐高地出身のサムライ料理人だ。今は焼き鳥屋の主人となった。
「あのな、ひとなり。ほら、あれや、わしは、わし、炭火焼き鳥をフランスに広める。ひとなりは、日本のロックね、ロックンロールをフランス人に、どかんと、やったらええ」
しかし、ご存じのように呑もちゃんは日本語も仏語も得意ではない。
そこで、参謀に自称サムライソムリエの宮川っちが助っ人に。
この人は、ワイングラスに日本酒を注ぎ、小指を立たせながら、くるくる回転させ、鼻先でくんくん嗅ぎながら、マシンガントークでフランス人マダムの心を射抜くことにおいて、世界で右に出るものがいない、とパリ界隈では恐れられている人物・・・。
「この日本酒は、富士山の湖面に反転して映りこむ逆さ富士のごとき、まさに本体が幻影と一体となり香りと味が一つの幾何学的模様を生み出す美学を持った日本酒でございまして、その日本酒のすそ野の広がりと傾斜はまさに浮世絵師が描く日本の美そのものなのであります~」などと仏語で語るものだから、パリで大人気。
国虎屋も陰で、支えているという噂もあるし、とまれ、写真をご覧頂きたい。野本と宮川の両氏、ちょっとだけ怪しい感じだが、ぼくのサムライ仲間なのであーる。

滞仏日記「ひとなり熱血サムライの会、がパリに結成されたのであーる」



ぼくひとりでは、オランピアは満杯にできないかもしれない、とある日、弱音を吐いたところ、この二人が「そんな弱気でどうする? 熱血はどうした。ぼくらが支えるからやったろうじゃないか」と言い出したのである。
「マジか、チケット千枚、フランス人に売ってくれるのか?」
「あのね、ぼくはオペラには敵はいない。売ろうじゃないの」と野本。
「辻さん、うちの嫁、智子と私はセットです。野本さんの奥さんのますみさんと、4人でみんなで売ります。そのためにも、オランピアを視察できませんか? ひとなり熱血サムライの会の結成式をオランピアの会場でやったろうじゃないですか?」
ということで、今日はプロモーターのベルトランに経緯を説明し、会場を開けてもらったのである。←あはは。どんな権力があんねん。
アメリカのロックバンドのライブ当日であったが、かなり、無理を言ったら、入れてくれた、オランピアに感謝。
何事も、言わないと実現しないのが、サムライ人生の鉄則なのであーる。

滞仏日記「ひとなり熱血サムライの会、がパリに結成されたのであーる」

※ オランピア劇場内を歩く、父ちゃん。サムライになり切っている・・・。あのね、今日は別のバンドのライブ当日なのである。すいません・・・。お邪魔します。

滞仏日記「ひとなり熱血サムライの会、がパリに結成されたのであーる」



ということで、11時、ぼくらはオランピア劇場に集結した。オランピア劇場の責任者、ジョアンナさんがやってきて、ぼくらを引率してくれたのであったぁ。すごい。この図々しさがあれば、満杯も夢じゃない!?
ぼくらは楽屋口から中に入って、裏通路を歩き、一階、オーケストラピットへと出た。な、なんと、今日はアメリカのロックバンドなので、オールスタンディングということで座席が撤去されている。体育館のような広さであった。2800人、今日は収容されるというのだ。ほえーー。すげー。
「すいません。ステージ写真はご遠慮ください。彼らのセッティングを撮影してはいけません」
今日はカメラマンの小田光、コーディネーターのあさこさん、と娘のマノンちゃん。ベルトランとベルトランの娘ルイゾンちゃん、野本夫妻、宮川夫妻、あと、父ちゃんの事務所スタッフが数名というメンバーであった。(長谷っちはおやすみ)

滞仏日記「ひとなり熱血サムライの会、がパリに結成されたのであーる」

※でかい~

滞仏日記「ひとなり熱血サムライの会、がパリに結成されたのであーる」

※ここから会場へと向かう。エントランス

滞仏日記「ひとなり熱血サムライの会、がパリに結成されたのであーる」

※ 近々演奏をするアーティストの写真。手前がジェーンバーキンさん。

滞仏日記「ひとなり熱血サムライの会、がパリに結成されたのであーる」

※ PA席で,佇む野本。



滞仏日記「ひとなり熱血サムライの会、がパリに結成されたのであーる」

※ ぼくらがCDなどを販売するブティックである。ここも借りるのには費用がいる。

一階からホワイエに出て、一度、劇場までの長い廊下を歩いた。
ブティックを一つ、借りることにした。ここで、「ジャパニーズソウルマン」のスペシャルCDを特別販売する。300枚限定である。(VIP席にはサイン入りでCDを付けることにしました)あと、フランスで出版してきた書籍などもここで販売をするのだ。
Tシャツも作りたいし、もう、いろいろ、やりたいことがいっぱいで、ひとなり、困っちゃう~。あはは。
そして、側面には出演アーティストのポスターがずらりと並んだ。
ジョアンナさんが言った。
「どう? 気に入った? ここにあなたのポスターも貼りましょう」
「いいすね。マジで、ぼくの小さい頃からの夢だったんですよ。パリ・オランピアでライブをやるのが・・・」
「そうよね、ここはみんなの夢だわ。あなたは来年の5月29日、ここに立つのよ」
ぼくの横で、じーんとしていたのは、会長の呑もちゃんであった。
「どや、呑もちゃん、すごかろ?」
「すごいね。びっくりしたわ。ここでやるんか、大丈夫か、ひとなり」
「は???」
「いや、こんなすごいホールだとは思わなんだ」
「今か、あはは」
「ひとなり、写真、ええか?」
ということで、会場の一番後ろで、二人で記念撮影をしたのであーる。
撮影は奥さんのますみさんであった。
かなり、オランピアを私物化している「ひとなり熱血サムライの会」なのだった。

滞仏日記「ひとなり熱血サムライの会、がパリに結成されたのであーる」

※ 観光客か・・・。

滞仏日記「ひとなり熱血サムライの会、がパリに結成されたのであーる」

※ 奥にあるのが、バー。



滞仏日記「ひとなり熱血サムライの会、がパリに結成されたのであーる」

ぼくらは、会場の近くにある「プティ・オランピア」というレストランに入った。(同系列のレストランである)そこで、決起集会をした。
ベルトランに仲間を紹介出来てよかった。和食好きなベルトランは野本や宮川の両氏と盛り上がっていた。
みんなの笑顔が最高であった。

つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
もう、二回もオランピアの視察をしたので、オランピアが遠くの存在ではなくなってきました。歴史的なライブがやれそうな気がします。年内に、宣伝会議をやり、担当の宣伝ウーマンが決定します。その人を中心に、5か月間をかけて、じわじわっとフランスに、父ちゃんの音楽を届ける所存です。パリを独占しますね。オリンピック前に!!!
さて、さて、さて、今日は、オランピアに来る前にカメラマンの小田光氏と22日のオンラインツアーの回線チェックと道順チェックなどをやりました。いい感じですよ。晴れるといいけど、天気予報では曇天のようです。でも、ブラツジですから、何がやって来ても面白いでしょうね。詳しくは下の地球カレッジのバナーをクリックくださいませ。

地球カレッジ

滞仏日記「ひとなり熱血サムライの会、がパリに結成されたのであーる」

父ちゃんのニューアルバム「ジャパニーズソウルマン」、お好きな音楽プラットホームから選ぶことが出来ますので、聞いてみてくださいね。


https://linkco.re/2beHy0ru

それから、パリ・オランピア劇場公演のチケット発売中でーす。
直接チケットを劇場で予約する場合はこちらから。

https://www.olympiahall.com/evenements/tsuji/

フランス以外からお越しの、ちょっとチケットとるのが不安な皆さんは、ぜひ、ジャルパック・サイトをご利用ください。こちらです、

https://www.jalpak.fr/optionaltour/tsujiconcert/



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