JINSEI STORIES

機上退屈日記「空の上から見た富士山が素晴らし過ぎた。雲の上からボンジュール」 Posted on 2022/11/25 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、ついに、ついに、日本を飛び立った。
映画も完成し、親知らずも抜いたし、母さんもまもなく退院するし、10年ぶりのニューアルバムも完成したし、もの凄く成果のある日本滞在であった。はい・・・。
そして、今、ぼくは雲の上にいるのであーる。
ちょっと誤解なきように、今朝の日記で義和のことを書いたが、一言、追記しておくと、義和はかなりユニークでおもろいやつである。
語らず語るタイプなのだ。ぼくはそういう男が好きかな。ぺちゃくちゃ喋りまくるのは自分だけで十分・・・えへへ。
義和効果か、ぼくは今日、気分がいい。
彼は確かに無口でよく食べるが、余計なこと、悪口、影口を一切言わない。素晴らしいテレビマンなのである。
だから、ぼくは納得をして家路につくことができた。
もっとも、義和はぼくと別れた後、もう一軒、立ち寄り、そこのマスターがぼくのラジオのヘビーリスナーだったらしく、彼と辻仁成談義に花を咲かせたのだ、とか。そういうことをその場で語ればいいのに、メールでは饒舌な男なのだ。
ま、第6話も義和と父ちゃんの凸凹コンビで、いい番組が出来るはず。乞うご期待なのであーる。
ところで、わしは今、高度一万メートルあたりでこの日記を書いているが、今日の東京は快晴で、朝から富士山が丸見えであった。
つまり、義和はぼくを見送らなかったが、富士山が皆さんの心をひとつにして父ちゃんをパリへと最後まで優しく見送ってくれたのだった。
サムライブルーの優勝と、父ちゃんのオランピアの成功を祈願して、モン・フジに感謝をのべたい。

機上退屈日記「空の上から見た富士山が素晴らし過ぎた。雲の上からボンジュール」

※、高速道路から見えた富士山

機上退屈日記「空の上から見た富士山が素晴らし過ぎた。雲の上からボンジュール」

※ こ、これは、・・・東京スカイツリー???

機上退屈日記「空の上から見た富士山が素晴らし過ぎた。雲の上からボンジュール」

※ こ、これは東京タワー・・・

機上退屈日記「空の上から見た富士山が素晴らし過ぎた。雲の上からボンジュール」

※ これは凄い写真でしょ? 奇跡の一枚。

機上退屈日記「空の上から見た富士山が素晴らし過ぎた。雲の上からボンジュール」



これらの写真から、間違いなく、富士山は日本国のおへそであることがよくわかる。
この存在感は半端ないし、大東京も富士山を前にすると小さい。
あんなに遠くにあるのに、こんなに巨大な富士山こそ、日本の守り神なのだろうな、とわしは思うのじゃ。←だれや?
八百万の神、というものが日本には太古からある。
このアニミズムの哲学を通して、日本人は様々な面で独特の哲学をもっている。
富士山を見上げ、心を清らかにし、ぼくはパリへと戻って行く。
必ずや、オランピア劇場で最高のパフォーマンスをしてみせたい。
そう、心に誓いながら、ぼくは三四郎の待つフランスへと飛んでいるのだった。
滞日日記もここまで、次回からは、滞仏日記の復活なのであーる。
えへへ。

機上退屈日記「空の上から見た富士山が素晴らし過ぎた。雲の上からボンジュール」

※ 翼よ、あれが日本のおへそじゃ・・・



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
飛行機の中でも日記を書くことが出来て、しかも、それをアップできる、という現代が凄い。30年前には想像もできなかった人類の進化です。しかし、喜んでばかりはいられません。そのせいで戦争も複雑化し、もう、さすがに戦争の終わりのない殺し合いを傍観出来ないくらい、辛くなっています。ぼくは音楽や文化を通して、この殺伐とした世界にエネルギーを送りたいと思っています。愛で武装しましょう。信仰も政治的理念もありませんが、生きる人間として、今、この瞬間を大切にしていかなきゃ、と思うのでした。

地球カレッジ

機上退屈日記「空の上から見た富士山が素晴らし過ぎた。雲の上からボンジュール」



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