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退屈日記「三四郎のおならがめっちゃ臭いという新たな問題勃発? あはは」 Posted on 2022/11/24 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、昨日、久々に長谷川さんと電話で話した時、最後に、
「あの、三四郎なんですけど、おならがめっちゃ臭いんですけど」
と言い出した。
「あ、やっぱ、あいつ、やってるよね。たまに、車の中が臭くなるから何かな、と思っていたんだけど、あれ、三四郎のおならなんか・・・」
「はい、最初は気づかなかったです。すました顔で、ぼく関係ないもん、という感じでしてましたから、音もしないですし、でも、最近、意図的か、わからないんですけど、ぼくの膝の上にいる時に、わざと、おならをするものだから、ぐえー、となりまして。あの、それがですね、人間に負けないくらい臭いんですよ~」
あはは。笑っちゃいけないけれど、想像したらおかしかった。
ということはマントさんの家でも、おなら被害が起きている、ということになる。
「でも、あれっぽっちしか身体がないわけだから、腸だって短いわけでしょ? そんなに臭いの?」とぼく。
「でも、胴長短足ですから、腸は逆に長い可能性ありませんか? とにかく、鼻がひんまがるくらい、くちゃいです」と長谷っち。
「愉しみだなぁ」
「何がですか!? めっちゃ臭いですよ!」
あはは。

退屈日記「三四郎のおならがめっちゃ臭いという新たな問題勃発? あはは」

退屈日記「三四郎のおならがめっちゃ臭いという新たな問題勃発? あはは」

※ シェフのキューちゃん。ちょっと体調壊していたみたいだから、長生きしましょうね、と約束をしてきました。またね。あんたのハンバーグ、最高です!



ぼくがいた時にはあまり感じなかったので腸の病気かな、と思って、マントさんにメールで、三四郎のおならのことを伝えたら、
「はい、辻さん、さんちゃんのおなら、確かに臭いです。でも、心配はいりません。私が飼っていた子たちもちゃんと臭かったですから。生き物ですから」
というお返事であった。
「じゃあ、大丈夫なんですね?」
「ええ、大丈夫と思います。ただ、臭いだけです。おならが」
笑った。ただ、臭いだけのおなら、いったい、どんだけ臭いのだろう。なんで、今までぼくは気づかなかったのだろう・・・。
腸の病気? ちょっと心配になった。
家の中では一度もピッピもポッポ(おしっことうんち)をしなくなったという三四郎。すっかり大人になった分、それだけ外にしに出るまでの間は家で我慢をしているということになり、それで臭いのかもしれない。
でも、久々に笑えるようなささやかな問題だったので、不意にパリが近くなって嬉しい、父ちゃんであった。
「先生、だって、三四郎だって、生きてるんですもの。おならぐらいさせてやりましょうよ。臭い臭いとみんなで騒いでこちらは楽しくやっております。お気をつけて、お帰りをお待ちしております」
さきほど、携帯のLineに長谷っちからメッセージが入っていたのを発見した。
生きているんですもの・・・、いい言葉がなぁ。
いろいろと人生あるけれど、ぼくらは生きているんだもの。おならは生きている証拠なんだもの、父ちゃんのおならもくちゃいもの、これは、むしろ喜んであげないとならない。
早く、パリに帰って、三四郎の臭いおならを嗅いでみたい、と思った父ちゃんなのでした。ちゃんちゃん。

退屈日記「三四郎のおならがめっちゃ臭いという新たな問題勃発? あはは」

※ 携帯の画面にした! えへへ。



つづく。

今日も読んでくれてどうもありがとう。
パリに帰る準備に入っています。今日、明日はパッキングです。日本の皆さんや行きつけのお店の大将たちとは暫く会えなくなりますが、とりあえず、ぼくにとってのW杯でもあるオランピア公演を大成功させて、来年、夏以降にまた日本に戻って来たいですね。今日は、コンビニで「カレー粉」「カップ麺」などを買って、締めくくります。

退屈日記「三四郎のおならがめっちゃ臭いという新たな問題勃発? あはは」

※ 父ちゃんの料理教室、10刷が決定したので、書店さんに走りましょう。えいや!!!

退屈日記「三四郎のおならがめっちゃ臭いという新たな問題勃発? あはは」

※ イタリアで発売された「UOVA」(エッグマン)も好調です。在伊の皆さん、ぜひに!!!

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