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滞日日記「こんなにマスクをしてるのに、コロナ第8波の入り口? 悩む父ちゃん」 Posted on 2022/11/18 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、とにかく、日本に入って一か月、全員がありとあらゆる場所でマスクをしている、この光景は欧州ではまずないので、衝撃を受けた。
しかし、・・・だからこそ、父ちゃんは悩んでいる。誰か、教えてほしい・・・。
ネットニュースを斜め読みしていたら「コロナ第8波の入り口か」というのがあった。
NHKの16日のニュースによると、国内感染者数が10万人を突破、とあった。
みんな外を歩いている時もマスク、マスク、マスク、めっちゃ模範的な国民なのである。マスクしていないのは外国人観光客くらいで、そんな彼らでも「せないけんとやろか」とわざわざつけている人だって見かける。
着けてないと店の中に入れないからであろう。
それに比べ、フランスは(気を付けている少数の人以外)マスクをしてない。今、仮弟子の長谷っちにラインをいれたら、
「先生、相変わらずです、フランス人、だいたいしてません。基礎疾患のある方は用心されています」
という返事であった。だよね。
「感染者数は?」
「ちょっと待ってください。ええと、先週はだいたい2万人台で推移してました」
父ちゃん解せないのである。
今日、マスクを注意された男性会社員が店員を殴りつけたというニュースもあった。それが全国ニュースになるくらい、実は、みんな着けているという証拠である。
真面目な日本国民がこれだけマスクをして気を付けているのに、なんで10万人を突破しちゃうのか、・・・。
なんで着けてないフランスの方が少ないのか、疑問に感じたので、朝からずっと考えた。
もちろん人口比が違うけれど。今年の1月、フランスは一日50万人の感染者数を叩き出している。(過去、最高記録だったらしい)、そういうフランスなのだ・・・。
理論疫学の西浦教授のインタビィーを読んだが、このままいくと11月末から12月いっぱいにかけて本格的な流行がおきる、と語っている。当たらないでほしいけれど・・・。
宴会の季節だから、当然、日本もフランスもぐんと増えることは両政府の人たちもさすがにわかっているはず・・・。
でも、マスクしないで2万人超、マスクして10万人って、やっぱりなんか変かなぁ? 現在、日本にいるぼくは、マスクしないフランスにいるより安心感がある。なんでかというとみんなマスクをしているから、の、安心感。でも、感染者は増えている。
なるほど・・・。

滞日日記「こんなにマスクをしてるのに、コロナ第8波の入り口? 悩む父ちゃん」



もちろん、マスクは効果があるのは事実だが、あるいは、変な言い方だけれど、マスクが逆に感染を増やしているということは考えられないのだろうか? 
マスクをすることで安心をして、罹らないだろうと思って油断しているってことは?
外食時や宴会する時はマスク外すわけで、家でも外すわけで、家の外でいくらマスクしていても、つばが飛び交う食事の場とかでしなければ、罹るんじゃないか・・・。家とか。
大通りをマスクしてすれちがっていく人を見ながら、ここはそんなに危険な場所だろうか、と首をひねってしまう父ちゃんなのだった。
マスクは必要だ。でも、ウイルスがいない場所でマスクを無駄につけて、それで安心してしまっちゃまずい。
本当に必要なところで外してないのか。マスクをしながら、食事はできないけれど、そこなんだよね・・・。
というか、フランス人も結構、大声で顔近づけ合って飲んでいるのに、なんで、昔のように爆発的な感染拡大をしないのか、という新たな謎が父ちゃんの前に立ちはだかったのであった。おおお、なんでや!!!

滞日日記「こんなにマスクをしてるのに、コロナ第8波の入り口? 悩む父ちゃん」



とはいえ、フランス政府もこの冬は再流行の警告を出しているので、締め切ったカフェで大騒ぎをするフランスの学生、会社員たち、近々、数字が跳ね上がるのは予測できる。
来月後半あたり10万人を超えていてもおかしくない。そうなっても、彼らはマスクを着けないだろうね・・・。
でも、こういうことを繰り返していきながら、感染者数が減ってきているのも事実で、父ちゃん的には、そこにどのような仕組みが隠されているのかをもうちょっと知りたいのだ。
というのは、ぼくも含めて多くのフランス人が3回目まではワクチンの接種をしたが、4回目はあまり積極的に受けていないのだ。みんな罹ったから、四回目はいいかな、と言っている。
ぼくはちょっと理由が違うけれど、ワクチンは重症化を防ぐためのもので、罹らないことにはできない。ぼくはワクチンじゃなく、別のことで罹らないように気を付けていればいいかな、と考えをシフトしたのだ。
今後出現するcovidによっては、4回目も視野にはいれつつではあるけれど・・・。

滞日日記「こんなにマスクをしてるのに、コロナ第8波の入り口? 悩む父ちゃん」



フランスは10月10日に一瞬、一日の感染者数が10万人に達した。しかし、その後、なだらかに降下している。
フランスは今年1月に50万人の大きな山があり、次に4月に山が来て、7月にも山があり、10月に山があった。調べてみた。
見事に三か月ごとに山が出来ている。しかし、この山が1月の高い山から次第になだらかな山へと低くなっているのである。今回の第8波は「丘」の状態と言えるだろう。
つまり、エンデミック化(風邪などの日常的な感染症になること)しているということじゃないだろうか。
じゃあ、なんで日本はここからピークに向かうのか、がちょっと謎なのだ。
フランスは2020年に大流行をし、大勢の人が亡くなられた。日本はそこまでを経験してこなかったので、まだ、この山の勾配がなだらかになっていく過程に入ってないのじゃないか、と素人な父ちゃんは小さな脳みそを絞って考えてみた。
欧州はそれだけ多くの人がすでに罹って、死んだ、ということ? 
母さんは4回目のワクチン接種を終え、5回目を待っている。ぼくはちょっとわからなくなっている。コロナに罹ったことはないが、気管支炎になって、めっちゃ苦しんだ。
あの時、どこで感染したかわからなかった。コロナに罹らないのに、気管支炎って・・・。
あの時期、ぼくは、周囲にあわせてマスクをしていなかった。
コロナだけが感染症じゃない。インフルエンザも気管支炎も今フランスでは大流行中で、歌手でもあるぼくにはどれも致命的なのである。
もしも、来年、オランピア劇場でのライブが決まったら、もう、マスクは外せない。気管支炎に再びかかったら、ライブが中止になるからである。
夜の新宿をうろつきながら、こんなことを考えていた父ちゃんであった。

滞日日記「こんなにマスクをしてるのに、コロナ第8波の入り口? 悩む父ちゃん」



つづく。

今日も読んでくれてありがとうございます。
実は、 日本テレビ「世界一受けたい授業」2時間 SPという番組で、父ちゃんの料理エッセイ集「父ちゃんの料理教室」が、再現フィルムとともに、ご紹介されるということに。この再現フィルム、昨日、観たんですが、息子役の青年、息子にあまりにそっくりでびっくり・・・、笑。
な、なんと、
「林真理子先生が選んだ!今だからこそ読みたいエッセー(仮)」というところでちょこっと紹介されるそうなのですですです。
<放送日時> 11 月 19 日(土)19:00~20:54
となりますので、お時間ある皆さんは明日ですから、どうぞ。

滞日日記「こんなにマスクをしてるのに、コロナ第8波の入り口? 悩む父ちゃん」

さて、顔の腫れは少しずつひいてきました。でも、マスクで隠さないと食事には行けません。マスクをして食事をするの、なかなか難しいっす。そもそも、歌手のぼくは湿度が喉に必要なので、マスクはほんとうに重宝しております。セブンイレブンの箱入りのマスクを4箱買いました。毎日、寝る時に着けて寝んねするために・・・。えへへ。

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