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滞仏日記「料理をすることにした。日常を取り戻すために、東京日和、スタート」 Posted on 2022/10/28 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、毎晩、外食ばかりだったから、調子がよくないのだ、と気が付いた。
そこで大きなスーパーに一週間分の食材を買い出しに出かけることになった。
今夜からどんどん料理をしていけばいいんじゃん。気分を変えよう。そうだ、ならば、その前に、美容院に行き、髪の毛をカットしたらええんじゃ~ないの~。
「辻さん、もみあげ周辺に白髪が出てきましたね。えー、土筆みたいだなぁ」
と美容師さんが言うので、吹き出した。
60を超えてからちらほらと白髪が出てきた。特に多いのがもみあげ周辺である。
そこの美容院に行くと、一月くらい髪の毛がつやつやになる、酸味?リンスだったかな、そういうのがあって、ぼくは気に入っている。癖毛の人にはおススメ。手入れが楽になるのであーる。
髪の毛をカットし、軽くなった足でスーパーへと向かった。

滞仏日記「料理をすることにした。日常を取り戻すために、東京日和、スタート」



おおお、日本のスーパーはマジでやばい。
そこのスーパーの魚屋はかなり充実しているし、お弁当も手作りなので、美味しい。
ワインもかなり本格的なものが、しかも、低価格でずらーり。
ぼくは日本のスーパーに行くと、2時間は普通に楽しんでしまう。
まず、フランスには「すじこ」とか、「しらす」とか、「じゃこ」さえも売ってない。
やっぱり島国だからね、パリでは出会うことのない珍しい魚がずらーり。やばいなぁ。日本人でよかった。
今は、秋刀魚とか、太刀魚とか、シシャモとか、いいねぇ。そのスーパーは水槽があって、ハマグリとかアサリとかもぐんぐん泳いでいた。泳げたいやきくん~。
肉コーナーも素晴らしかった。フランスは鳥・豚のひき肉は売ってない。そういう文化がないので、いつも牛肉で麻婆豆腐とか作っていたけれど、やっぱり、麻婆豆腐なら豚ひき肉だよねー。それに、ハンバーグも牛豚合挽だよなぁ。こんちくしょー。
やばいよ、日本のスーパーは、マジ、すげー。

滞仏日記「料理をすることにした。日常を取り戻すために、東京日和、スタート」



あと、やばいのは、納豆とか豆腐とかおしんこのコーナーなのだ。
何だよ、この充実感、凄すぎるじゃないか。生の手打ちそばとか、いぶりがっことか、えええ、焼肉のタレが付いた納豆まであった。なるほど、それは発想がシャープだね。
しかし、うまいのかわからなかったので、買わなかったけれど・・・。とにかく、進化している、日本のスーパーは偉い!
日本の野菜コーナーも面白い。フランスの野菜よりも品数が豊富で、バリエーションがある。マーシャルを一度日本の八百屋に連れていきたい。彼が興奮するのが目に浮かぶ。
紫蘇の葉とかえごまの葉とか、あと、みょ~~が、とか、うひょー、たまらんちん。
みょうがを刻んで豆腐の上に載せてがぶりつきたいぞよ。あ、おぼろ豆腐もあった。
いつか、イタリア人のロベルトに、食べさせたいのだ。モッツアレラやバッファーロだけじゃないぞ、とろみとうまみの融合豆腐でカロリーも低いおぼろ豆腐で日伊勝負じゃ、どや、と見せつけてやりたいのだ。
おぼろ豆腐にフラードセルを振りかけて、サンセールの白ワインとか、くー、うまいんだよなー、こんちくしょーめ。
ということで、2時間はあっという間に過ぎたのである。あはは。
今日は、魚、肉、調味料、ワイン、パスタ、ブイヨンなどを買った。ワインを抜かすと、7千円くらい。これで4,5日は十分しのげる。

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それから、夕方の5時を過ぎるといろいろなものが半額になる。うひょ、有難い。
牛肉も半額、申し訳ないけど買って、煮込んで、3日は美味しく食べられるのだ。お得が大好き。多めに作って冷凍にしちゃう。
日本でしか買えない、柚子胡椒とか、そういうものにも目が泳げたいやきくーん。
今日は、山わさびを見つけたので、ブフ・ブルギニヨンの隠し味にしてみるぜ。
それから、今は籠って映画編集中だから、美味しいデザート店までは行けない。
ならば、作っちゃえー。お菓子だって作れる父ちゃん、誰か拾ってくださーい。そこのマダム~。
何を作ろうか、悩んだけれど、やはり3日程度食べられるものがいい。
先日、ほうじ茶のブランマンジェのレシピをDSにアップしたら、とっても評判が良かったので、ブランマンジェにしようかな。えへへ。
加賀坊茶があったので、これで作ったらうまいだろうなぁ。震える。
なぜか、フランスでは超高級な高価なワインが、こっちの方が安いって、いったい、どういう仕組みなんだ。責任者出て来ーい、お父さんは嬉しいぞ。
とか思いながらいつも飲んでいるワインと泡も購入。
編集に疲れたら、料理をしてエネルギーを生み出すという、実に効率のいいハイブリッドな父ちゃんなのであった。プリウス父ちゃん、れっつごー。

滞仏日記「料理をすることにした。日常を取り戻すために、東京日和、スタート」



で、今日は牛肉の煮込みを作り、みたことない魚卵があったので洋風煮つけにし、ブランマンジェを作ってやった。
明日は、イカの煮込みとか、秋刀魚の炊き込みとか、あ、山わさびのペペロンチーノなんかを作ってやろうと思ったら、うっきうき、になってきた、もう、笑いとまらない。←病気?
そうか、旅先には日常がないから、疲れちゃうのだ。ちゃんと買い物に行き、料理をし、いつも通りの生活をしたらいいのである。なるほどね、日常、最高ですね。
さあ、ご一緒に。
「合言葉は熱血!!」

つづく。

今日も読んでくれてありがとうさまです。
コトコト、煮込み料理があう季節になりましたね。皆さんもぜひ、時間をかけて、美味しい匂いを家中にまき散らして、たとえ、一人でも楽しく生きちゃってください。せっかくの人生ですからね、楽しんだ者の勝ちですぞ。

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