JINSEI STORIES
滞仏日記「三四郎の一歳の誕生日ケーキを作ったのだ! の巻」 Posted on 2022/09/24 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、やはり、記念すべき一歳の誕生日である。
ケーキくらい作ってあげたいじゃないか~。しかーし、生クリーなんてもってのほか、別にわんちゃんにケーキの意味など分からないのだけど、いや、思いは通じるはずだから、何かやらないと気が済まない父ちゃんなのであった。
ネットで、犬の誕生日ケーキ、で一応検索かけてみたのだけど、あまり、ピンとくるものがなく、そこで、いろいろと考えた。
別に、三四郎は生クリームとかスポンジケーキを食べたいわけじゃないので、肉とか野菜でケーキを作ればいいじゃん、と思った。
生クリームのかわりに、山羊(シェーブル)のヨーグルトなんて、どうだろう? 超低カロリーだし、無脂肪、それがいい・・・。(調べたら、
いろいろと考えた。まず、鶏肉には塩とか砂糖などは一切使えないので、ひたすらくたくたになるまで水煮を。
ちょっと硬い鶏肉だったから、数時間、くたくたやった。
で、人参を炊くのにもこの煮汁を利用させてもらった。
三四郎、人参と鶏肉が大好物なので、喜ばないわけがない。
シェーブル・ヨーグルトは、不純物の一切入らない超安心な山羊のヨーグルトをナチュラル系スーパーで買うという、気の使いようであーる。
ただ、山羊のヨーグルトの水気が強いのでケーキっぽくするのに、キッチンペーパーで一晩漉して、水気を完全に切った。
ごはんのお皿の真ん中に、ケーキ型を置き、シェーブル・ヨーグルトの周囲に人参と鶏肉をまぶしたものを鋳型の中にいれて、形を整え、ケーキらしく作ってやった。
だし汁をケーキの周辺に、オレンジソースのように回し掛け!!!
「はっぴばーすでー、さんちゃーん」
を歌いながら、三四郎の部屋に入場!!!
きょとんとした顔で父ちゃんを見上げる三四郎。
彼の前に、そっと、誕生日ケーキをおいてやったのだけど、いつもと違う形と匂い、・・・なんか変だぞ、という顔で、最初は用心深い。
「さ、どうぞ。一歳のお祝いだよ」
お皿を前にツツっと差し出すと、椅子から飛び降りてきて、一口、味見をした。
「わっわわわわあーん、ムッシュ~、めっちゃうまいじゃーん」
と彼の心の叫び声が聞こえてきた、気がした!
次の瞬間、もう、パクパク、ものすごい勢いで食べる三四郎に、父ちゃん、にんまり。
嬉しいじゃないの~。
三四郎くん、改めて、一歳の誕生日、おめでとう!!!!
末永く、楽しもうね。
付録で、わんちゃんケーキのレシピをここにアップしておきますね!
材料
ヤギのヨーグルト(無糖)
にんじん
胸肉
前夜、ヨーグルトをキッチンペーパーで包み、冷蔵庫で水切りをしておく。
鶏の胸肉をコトコト炊き、取り出す。
鶏を炊いた汁で小さいサイコロ状に切ったにんじんを炊く。
にんじんが柔らかくなり、煮汁が少なくなってきたら完成。
鶏はラップに包み、にんじんは煮汁に浸して置いておく。
器にサークルなどで型どり、最後に煮汁をかけたら完成!
つづく。
さて、そして早くも「夏ごはん」の再放送が決まりましたよ。お知らせです。
なんと、今月、27日の火曜日なんですって。見逃した皆さん、どうぞ!!!
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●「ボンジュール!辻仁成のパリごはん 2022 夏」(59分)
【再放送日時】2022/9/27 (火)23:00~23:59<BSPのみ>
2022/9/27 (火)17:00~17:59<4Kのみ>
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それから、ついでに、小説教室が本日、9月24日(土)です。気管支炎なので、時々、咳をするかと思いますが、ごめんなさい。なるべく、我慢をします。えへへ。一度は小説を書いてみたいけれど、小説の敷居が高く感じて、なかなか書けないとお嘆きの皆さまに、わかりやすい、父ちゃんの小説講座です。愉しみながら、小説を書いちゃいましょう。
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