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退屈日記「ぼくは寝たいけど横になると咳き込み、三四郎はその横で夢を見ている」 Posted on 2022/09/16 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、レコーディングにどうしても顔を出さないとならなくて、20区までギター担い出かけたはいいが、やはり、体調がすぐれず、途中で「ごめん、帰るね」となった。ぎゃふん。
元気と熱血だけが取り柄の父ちゃんなのだけど、やはり、身体は正直である。
コロナの検査は何度やっても「陰性」。熱もなく、鼻水もなく、頭痛もない。
ただ、夜になると咳が出はじめる。
身体が温まると、ごほごほ、となる・・・。
ライブと映画撮影が重なり、この夏は過酷であった。帰仏後、肺がぜーぜーと鳴りはじめた。歳なのであーる。えへへ。
このくらいたいしたことがない、と過信したのがいけなかった。
声がどんどん出なくなり、夜になり、ベッドに横たわると、しばらくして咳が出始める。
気管支炎みたいな症状で、喉に痛みはないのだけど、咳のせいで、眠れないから体力がどんどん消耗している。
寝てると、咳き込むので、起きて、こうやって、気晴らしでパソコンに向かう・・・。
息子はいないし、足元から三四郎は離れないし、やれやれ。

退屈日記「ぼくは寝たいけど横になると咳き込み、三四郎はその横で夢を見ている」

退屈日記「ぼくは寝たいけど横になると咳き込み、三四郎はその横で夢を見ている」



そんな状況だけれど、一応、少しずつ、少しずつ、引っ越しの梱包作業は進んでいる。
段ボールを組み立て、荷物を詰め始めた。
渡仏20年間分の日常生活がそこにあった。(結局、三分の一程度の想い出の品は田舎のアパルトマンへ、三分の一は新しいアパルトマンへ、残りは捨てる・・・)
てきぱきとやりたいのだけど、一つ一つ、捨てるものと持っていくものを選別するのがこれまた大仕事で、なかなか捨てきれるものではない。
服の半分は捨てるつもりだったが、どの服にも想い出あり、腕を通してみると、懐かしい時代がよみがえって来る、となって、困ったちゃん。
結局、捨てたのはコート一着だけであった。(市のリサイクルボックスに出した)
過去を懐かしんでは、目をつむってゴミ箱に放り込んでいる。あと、50箱くらいは詰めないとならない。はたして、間に合うのだろうか?
おやおや、さっきまで足元で遊んでいた三四郎、今はご覧の通り、寝てしまった。
この子はけっこうな頻度で、寝言を言う。前脚を蹴ったりして、小さな声で、わん、と吠えたりする。かわいい。
一歳になろうかという子犬だが、どんな夢を見るのであろう。
前脚が動いているので、どこかを走り回っているのであろう。楽しい夢なのだろうか? 今日は散歩に連れて行ってあげられないが、傍にはいてあげよう。
寝ると咳き込むので、座っているのが、ちょうどよい。

退屈日記「ぼくは寝たいけど横になると咳き込み、三四郎はその横で夢を見ている」



つづく。

ということで、今日も読んでくれてありがとうございました。
早く回復して、ぐっすりと眠りたい、・・・今の父ちゃんの願いです。足元で寝ている三四郎が羨ましい。この子はずっと寝ている。体調次第だけど、よくなったら、散歩に連れ出してやらないとね、・・・。
さて、そんな父ちゃんからのお知らせです。
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【再放送日時】2022/9/17 (土)前11:00~11:59<BSP-4K同時>
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