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退屈日記「独り暮らしをする息子が家を出る前に、食べた最後の料理とは・・・」 Posted on 2022/08/29 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、まず、日本から戻って、つまり長かったホテル暮らしが終わり、我が家のキッチンに立って、がんがん料理が出来ることに今日も感謝をしたい・・・。ありがとうございます~。
ここのところ、我が家は引っ越しムード満点の日々の中にいる。
まもなく、引っ越し業者がやって来て、息子の部屋の引っ越しが始まる。
息子の荷物がこの家から出ていき、別々に寝泊りをするのだから、今日は「独立記念日」ということになーる。
なので、父ちゃんはここ数日、引っ越しの手伝いをしながらも、おうちごはんを作り続けてきたのであった。
「何が食べたい?」
「マーボ豆腐」
ということで父ちゃんはマーボ豆腐を作った。
フランスは豚ひき肉、鶏ひき肉は肉屋で手に入らない。ひき肉と言えば、牛ひき肉ということになる。
牛ひき肉のマーボ豆腐も美味しいのだけど、やはり、豚ひき肉こそが本物なので、豚ひき肉を買いに行くことからこの料理が始まる。
中華食材店には「豚ひき肉」が売っているので、足を延ばして、ゲット!
御覧頂きたい。こちらが辻家定番の「豚ひき肉のマーボ豆腐」なのであーる。

退屈日記「独り暮らしをする息子が家を出る前に、食べた最後の料理とは・・・」

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引っ越しの準備をやりながら、ちゃちゃちゃっと食べられるように、翌日、残ったマーボ豆腐で、今度はマーボ麺を作った。
日本で買った太麺の生ラーメンがあったので、茅乃舎の野菜ダシなどを使って、簡単なラーメンを作り、そこに残りのマーボ豆腐をかけて、柔らかめの温泉卵をと葱かけてやった。御覧頂きたい。辻家定番の「マーボ麺」の出来上がり、ということになーる。

退屈日記「独り暮らしをする息子が家を出る前に、食べた最後の料理とは・・・」

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さて、昨日(日曜日)は、引っ越し作業も佳境に入ったので、
「何が食べたい?」
と訊いたら、
「最後にパパのパスタが食べたい」
ということになり、近所の冷凍食材店に海老を買いに走ったのだった。(日曜日、フランスのスーパーは午後12時で閉店となる)
家を出る息子のために、走ったのだった。えいえいおー。
ということで冷凍海老とグレープフルーツ、季節の桃、をゲットし、まずは前菜に、海老と桃とグレープフルーツのカクテル・サラダを拵えてやった。
パスタだけだと物足りないだろうと、海老の使いまわしであるが、ちょっと違ったアプローチの一品を前菜がわりに、いひひ・・・。
御覧頂きたい。フランスの肉屋で必ず売っている(なぜだ?)海老とグレープフルーツのカクテルである。今日は旬の桃添え。

退屈日記「独り暮らしをする息子が家を出る前に、食べた最後の料理とは・・・」

退屈日記「独り暮らしをする息子が家を出る前に、食べた最後の料理とは・・・」

※ この空心菜と海老の中華風ペペロンチーノにからすみをかけると、あら、不思議、世界最強のパスタになる、という寸法であーる。

退屈日記「独り暮らしをする息子が家を出る前に、食べた最後の料理とは・・・」



それから、マーボ豆腐の豚ひき肉を買った時に、一緒にゲットした空心菜が残っていたので、これを利用し、海老とからすみを使った「からすみのペペロンチーノ」を作ってやったのだった。
もしかしたら、息子君、物心がついて「からすみ」を食べるのははじめてなのかもしれない。
「美味い!!!」
と珍しく、息子のお声が飛んで、嬉しい父ちゃんなのであった。
「美味いだろ。それはからすみというんだ。フランスではブッタルガという。ボラの卵巣を塩漬けにして、圧搾・乾燥させたもので、高級品なんだぞ」
「へー、美味しい。今度、真似してみたい」
「独特のぬめり気が出て、口の中に海の風味と塩気が広がるのが特徴で、パスタに最適。イタリアでは高級パスタの代名詞。高級食材ではあるが、探せば、10ユーロ(1400円)くらいで買うことが出来る。中華街とかなら、もう少し安いのも見つけられる。やってごらん。普通のペペロンチーノに振りかけるだけで、ぐんとリッチになるんだ」
「うん、美味しい」
ということで、一人暮らしをする息子の最後の料理が、こちら、からすみのペペロンチーノであったことは、日記に書かなければならない、と思った、父ちゃんなのであった。
お疲れ様です。



つづく。

ということで、今日も読んでくれてありがとうございます。
まもなく、引っ越し業者さんがやってくるので、今日は相当、ばたばたな感じになる辻家なのでした。荷物はだいたい梱包出来たので、あとはぼくがこちらで送り出し、息子とその仲間たちが新居で、受け入れをします。で、今夜から息子君は、自分のアパルトマンで寝起き、という寸法なのです~。ふー、がんばれ~。

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※ 9月2日にこちらも閉め切りが迫りました!!! 新世代賞です。

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