JINSEI STORIES
退屈日記「横浜ビルボード、写真で振り返る熱い夜」 Posted on 2022/08/13 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、ライブが終わり、今朝、起きたら、写真家の岡田ユウスケ氏(ネイチャーフォトグラファー、与那国島に生きる在来馬、与那国馬の写真集が秀逸です!)から、昨日のライブ写真が大量に届いていた。おお、ギガファイルだ。
その一部の写真で、昨日のライブを構成し、振り返ってみたい。
ライブにご参加できなかった皆さんにも、画面を通して、臨場感が届けば・・・。
まず、昨日のライブのセカンドの方の曲順を、明らかにさせようじゃないか。笑。
1,友情
2,故郷
3,空
4,シティライツ
5,バラ色の人生、ラ・ヴィアン・ローズ
6,シャンゼリゼ(ここから3曲、フリューゲルホンが参加)
7,ジャパニーズマン・イン・パリ
8,サマータイム(メンバー紹介)
9,孤独をラッタッタ
アンコール1,荒城の月(サイケデリック・バージョン)
アンコール2,ZOO(第3京浜バージョン)
アンコール3,ジェントルランド(弾き語り)
となった。
※ ステージに向かう、父ちゃん・・・。最初から、どや顔!!!
ビルボードは、レストランとライブが楽しめるエンターテインメントスペースで、アメリカ型ライブハウスということになる。
10年ほど前、ZAMZAというバンドでアメリカの東海岸を2度ツアーしたことがあって、ライブの後に食事が出て、2ステージ制であった。
ビルボードやブルーノートというライブ会場はアメリカ式である。日本にも、原宿のクロコダイルなど大昔からこのスタイルでやっているライブハウスがいくつかあった。
ECHOESもクロコダイルでライブをやる時は、キッチンから食事が提供された。これが、けっこう、美味いのだ。(クロコダイルの西さん、お元気ですか?)
ビルボード側も、大人が楽しむライブを想定しているので、まず、飲んで、食べて、いい気分にさせてから、音楽を楽しんで、とアメリカンなスタイル。
ところで、フランスのパリには、こういう会場はジャズ系ではあるようだが、ポップスやロックではあまりないかもしれない。いや、ぼくが知らないだけかな・・・。
会場の入り口や楽屋口に、スタンド花とか楽屋花とかが、届く。
終演後のその花の行く末がいつも気になっていたので、出来ることなら、希望される皆さんに一本ずつ持って帰ってもらいたいところだけど、それもコロナ禍だからできないので、今日は一本、大好きなひまわりを抜きとり、サランラップをして、消毒し、ステージに持って、出た。で、一番前の席の人に、代表して、差し上げるところから、スタート。あはは。
なかなか、素晴らしい思い付きであった。(毎回はやりませんよ)
とにかく、ビルボードはライブハウスとは言えないくらいに大きな会場で、天井も高いので、コロナ禍の今、ある意味、安全な会場かな、と思う。
ステージの上で歌ってる側から見えるのは、オールマスク!!!
飲む時だけ、外して、また戻すところまで、実によく見える。
音楽を聴くのにも、こんなに気を付けないとならない時代が、不幸ではあるけれど、来年にはもう少し、しやすい時代に戻っていると信じて頑張りたい。
それにしても、今回のミュージシャンがまた素晴らしかった。
最近、どこに行っても年下ばっかだったので、久々、年上の人たちとセッションが出来てよかった。
パーカッションのノブさん、ピアノのキョンさん、ベースのトキエさん(年下)、そしてフリューゲルホンのトクさん(たぶん、年下)。(トクさんはお母さんが毎日、日記を読んでくださっているということで、客席にいらしていた。笑)
「いい? みんなのこと書くよ。写真とったら、使うよ。ぼくは書かないと生きていけない人だから、勝手に書いちゃうよ。ダメな人は言ってね」
楽屋で、宣言をすると、ドクター・キョンさんが言った。
「そうなんだよねー。毎日、辻君、書いてるんだよ、小まめに。ぼくは読んでるよ!」
おっと、うかつなことは書けないな、と思った父ちゃんであった。
音楽というのは、言語を超えた人間の交感行動だから、ミュージシャンは(経験が必要)楽器を通して、会話が可能な特殊人間なのである。
ぼくのフランスのバンドは、ブラジル人、フランス人、イタリア人、ポーランド人、などで構成されている。
一応、公用語は仏語か英語だけど、演奏が始まると、言葉は不要となる。
そもそも、ぼくはアドリブ人間なので、どんどん好き勝手をするのを、皆さん、超楽しんで、付き合ってくれる。
バンド・流転の法則というのがあって、ぼくが調子いいと、キョンさんも調子よくなり、二人が調子いいとトキエさんもノブさんも最高になる。(注意、逆もあります)
この流れて転がっていくローリングストーンのようなものを、観客が面白がってくれることこそ、辻音楽士の一番の愉しみなのであーる。
同じ曲でも、毎回、違うし、かなりアドリブが入っている。
今回は、サマータイムで、フリーラップ?、を入れたのだけど、4回のステージ毎回即興で、適当な日本語の詩の朗読となった。あはは。
その適当なところに、ペットやピアノやジャンベが食い込んでくる。この醍醐味!!!
積み上げてきた経験とその瞬間にしか現れない蜃気楼のようなものを、ぼくら音楽士たちは紡いでいく、まさに、音を鼓膜に焼き付ける芸術家なのであった。
つづく。
今日も読んでくれてありがとう。
楽しい大阪、横浜でのライブでした。次回、いつになるのかなぁ。ビルボードさんに、10月に追加公演を依頼されたのだけど、現在の様々な世界情勢などを鑑み、今回は見送ることになりました。来年、なんらかの形で、実現に向かえれば、と思います。計画中・・・・。いひひ。
※ アンコールに出ていく、父ちゃん・・・。えへへ。またね。