某月某日、今日は最近、犬友になった有馬嘉男さん（NHKの元ニュースウオッチ９の司会をされていたムッシュ）こと「ヨッシー」とカフェ飯をしたのだ。※ヨッシーの愛犬はヨークシャテリアのめいちゃん、３歳。
三四郎を連れて行ったら、ヨッシーは、本当に犬が大好きで三四郎もそれがすぐに分かるから、もう、離れない離れない。
これは実に珍しい現象で驚いたが、ヨッシーは肉体の内側から「ぼくは君が好きだぞ、安心して近づいて来なさ～い」光線をめっちゃ放射するのである。
その前に、ヨッシーは先日もウクライナまで取材に行ったＮＨＫの偉い人なので、あんまり変なことは書けないし、気安くこんな日記で扱っちゃいけない。
いわば、公共の人なのでここでイメージを勝手に変えてはいけないから、まず、気を付けて執筆をすることを、大前提に読んで頂きたい。
ヨッシーは、三四郎を見かけるやいなや、、
「さんちゃー－ん、さんちゃん、げんきだったかーい。よっしーだよ～。めいちゃんのパパさんだけど、覚えているかな～」
と普段のアルテ声をソプラノまでぐいーんとアップさせて、あの細い目をさらにぐぐぐんと細く撓らせて、全身から犬愛をあふれ出したのであった。

前から、犬愛の凄い人だとは思っていたが、今日は出会いがしらに１２０００ボルトの出力で三四郎の子犬心をくすぐるものだから、もう、三四郎、尻尾をふりまくって、ヨッシーの膝に突進して、必死で登ろうと、さあ、大変・・・。
「いや、ご飯だから」と引きずり降ろしても、ヨッシーのニューバランスのスニーカーに腰を下ろして動こうとしないばかりか、いきなり腹を出して、来て、来て、ポーズをとった。
「さんちゃーん、さんちゃーん、そんなにうれちいの、うれちいんだね、よかっだね～、よかっだ、さんちゃんがそ～んなに喜んでくれて、おじさんもめっちゃうれしいよ～」
うれしいよ～のところは、「おかあさんといっしょ」などの幼児番組で着ぐるみの人が話すような、どう表現していいのだろう、鼻から抜けきらない奇妙な裏声を駆使して、あやしている。最初、え、どこから声だしてるの、と思った父ちゃん・・・。
ヨッシー、今日も、ぶっ飛ばしてる～！
三四郎にわかるわけないでしょ、と思って冷静に見ていた父ちゃんだったが、三四郎、尻尾がぎゅんぎゅん振れる、振れる。おお、見たことない。
子犬にはわかるのだ、この人に裏表がないということが・・・。

ヨッシー、パワー全開で三四郎と向かい合うものだから、ここのところ夏ばて気味だった三四郎が大復活して、・・・嬉しいけど、この責任はとってくれるのか、とちょっとだけ困惑した父ちゃんなのであった。あとで、同じパワーをぼくに求められてもね・・・。
「ヨッシー、めいちゃんにも、そんななんですか？」
こういうことをぼくが質問すると、
「はい」
と細い目をぎゅっと円らに見開いて、返事をしてくださった。
ともかく、テレビの中のヨッシーのことをぼくはあまり知らない。一度、ニュースウオッチ９でインタビューをされたことがあり、それがきっかけで出会ったのだけれど、その時の印象とはやっぱ違うのかな、とにかく、犬愛の凄まじい人なのである。
「めいちゃん、嬉しいですね。こんなパパだったら」
「いやあ、うちに大きな息子がいるんですけど、こういう姿を自分は見たことがない、されたことがない、と言ってまして、困惑しております」
そうなんだ・・。そりゃあ、息子さんも困惑するわな。
「なんで、子犬に対しては児童番組の着ぐるみキャラになるんですかね」
「あはは」
笑いあった、ぼくらであった。あはは・・・。

※ぼくらが食べた、ファラフェル！！！

有馬嘉男さんは先日、ウクライナに取材に行ったのだそうで、その時の話になった。
ぼくはパリ在住なので、その番組をみてないのだけど、その時のウクライナの状況などをいろいろと教えてもらい、実に勉強になった、充実のひと時であった。
ウクライナ情勢とか語る時のヨッシーは、やはり鋭いジャーナリストに戻っている。けれども、ちょっと三四郎に話がそれると、
「さんちゃーん、さんちゃーん。そう、あ、そうかい、そうかい、そーんなにうれちいの、よかっだね、よかっだ、おじさんもめっちゃうれちいよー」
とオクターブ高い裏声で騒ぎ始める。ロンパールームみたいな人なのである。
有馬さん、もしかすると、NHKの子供番組とかで着ぐるみを着て司会やったら、凄い新キャラを創設出来るかもしれない、と思った父ちゃんであった。あはは、失礼。
あくまでも、真実の有馬嘉男を見た人間にしかわからない意見であった。
でも、動物というのはご存じのように人間を嗅ぎ分ける才能がある。
三四郎は裏のある人には決して近づかないし、あながち、それは間違えていない。ぼくが信用してない人には、やはり、尻尾を振らないのである。
もちろん、前に一度、エッフェル塔の辺りでヨッシーのところのめいちゃんとデートをした三四郎だから、その匂いで分かるのかもしれない。
いや、そうじゃない、ぼくはあの顔だと思う。
今日のヨッシーは細い円らな瞳をまんまるにして、口を〇にして、うほうほ、と三四郎と向き合っていたのだから、・・・。
ところで、ぼくには一点、気になることがあった。
これはどうでもいいことだけど、ヨッシーは大きな黒いリュックを背負ってやってきた。
小型パソコンなら３台くらい入りそうな長方形のがっしりとしたリュックである。
ジャーナリストなので、その中に取材ノートとか、もしかすると仏語辞書とか、いろいろと入っているのであろう。
でも、日曜日の昼下がりにそのリュックを背負ってお気楽なカフェにやってきたヨッシー、ジャーナリストらしからぬ円らな目で三四郎とウホウホするヨッシーのリュックの中がずっと気になって仕方なかった、父ちゃんであった。
でも、聞けずじまい。次回は、そのリュックの謎に迫ってみたい。

つづく。

今日も読んでくれてありがとう。
辻󠄀仁成 アコースティック セレナーデ フロム パリ
Jinsei Tsuji Acoustic Serenade From Paris
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※　謎のリュック。国際諜報機関のスパイが担いでいる無線機か・・・、謎だ。