JINSEI STORIES
退屈日記「毎日を豊かにする父ちゃんの毎日ご飯、食生活」 Posted on 2022/04/11 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、ぼくは滅多に朝ごはんは食べない。
12時間、胃袋を空っぽにするように心がけている。
プティ断食が流行りらしいが、ずっと昔から父ちゃんは一日二食食生活を送って来た。なので夕飯終了後から、約、14時間くらいはものを食べない。
それから夜にあまり重いものを食べないように最近は心掛けている。
ともかく、一日、一度は感動できる食事を摂ることが父ちゃん流の「幸せの定義」となっている。
それは高級な料理という意味ではない。
食べた瞬間に、ああ、美味しい、と喜びを味わえるような料理&食べ方を目指している。
なので、二食のうち一食は今日一日の最大限のエネルギーを注いだ食事を計画し、もう一食、だいたい夜だけれど、あっさりヘルシーをテーマにした素食を心掛けている。
朝は食べず、昼にちょっとボリューミーな「ああ、食べたァ」という食欲を満たす食事を摂り、夜はアペリティフからの流れで軽くつまんで終わるような食事の流れが、最近のぼくの定番コースとなっている。
少し具体的に書くならば、昼は煮込み料理とかパスタ系とかが多く、気分転換を兼ねて、行きつけのレストランに行って軽いコース料理を食べることもたまにある。
しかし、外食するなら、ランチということになる。
夜のレストランはボリューミーだから、胃が受け付けないし、頼まないのは失礼になるからだ。昼の方がコスパもいいし、サイズ感もちょうどいい。
シェフの友だちが多いので、本当はディナーに行ってあげたいのだけど、とてもじゃないけど、前菜。メイン、デザートのフルコースは、胃が受け付けない。
なので、昼は息子も学校なので、気分もあがるしカフェ飯などで外で軽く食事をすませ、夜、息子にはがっつり系を用意し、自分はおつまみ程度で胃の隙間を埋め、早めに寝ることを心掛けている。
お酒のアテの延長にあるようなものが、好みかもしれない。
「おつまみ食事」と呼んでいる。
※、白アスパラが出てきたから、ラディッキョとサラダに。
※ カフェにいくと、はやりのビーガンサラダを食べます。
なので、しっかり作って食べるのは一日一食という感じが多いかもしれない。
ぼくは男子にしては、まァ料理が得意な方だとは思うが、やはり、自分のための料理というのは気が乗らない。
片づけで気が滅入るからである。
その点、レストランだと片づけないでいいし、馴染みのギャルソンにサーブされると嬉しいし会話も弾む、そもそも、ちょっと気取ることも出来て、気分転換に最適だし、友だちとかお気に入りシェフの店に顔を出し、サクっとメインだけ食べて、混む前に店を出るのがスマートというものだ。
ウイークデイの半分は自炊、半分はカフェ飯、というバランス。
夜は息子にボリューミーな料理を作って、その一部を工夫してぼく用のおつまみを作り、息子が肉とパスタならば、ぼくはその横で、お肉を一切れ貰ってバケットに挟んで食べる程度、むしろ、野菜、好物のラディッシュやパセリはそのまま、フェンネルなどはマリネして、食べている。
オリーブオイルとフラー・ド・セルがあれば十分で、バクバク食べている息子を眺めながら、でかくなったなァ、とか心の底でほくそ笑んで席を共にしていること、これは幸福の極みである。
「昨日はトマが失恋したからね、オペラの新しい和食店に付き合ってやって、みんなでどこ行くか情報だしあって決めて、食事したんだ。いつもの4人組で」
土曜日、息子は友達とランチをした。
「へー、どうだった?」
「うん、安いんだ。だからね、味はまあまあだよ。から揚げのハンバーガーとかもあって新しいけど、ラーメンは最悪伸び切っている。日本を売りにしているけど、きっと日本人ではないなァ、ありゃあ・・・」
息子は星付きレストランには行きたがらないのだが、友だちとオペラ辺りの話題の日本の食堂に行くのが好きで、よく、こういう話しになる。食を語っている時の息子は饒舌で、心が和む料理談義になる。作り方を教えてよ、とせがまれることもある。いつか、ぼくみたいな料理好きのパパになるのかもね。
※息子にはがっつり系を!!!
話はそれたが、朝は食べない、昼は外食もするし、きちんと料理と向かいあうことが多く、夜は息子に作った料理の一部を利用してアテ程度で、終わるのが、父ちゃんの毎日ご飯という食のスタイルになる。これで、お酒が半分くらいに減らせれば、より健康になるのだけどなァ・・・。
あはは。
つづく。
今日も読んでくださり、ありがとう。