JINSEI STORIES
退屈日記「父ちゃんの顔の変遷。20代から今日まで、ぼくはどう変化したか? 笑」 Posted on 2022/03/25 辻 仁成 作家 パリ
※ 二十歳の原点・・・。
某月某日、母さんからぼくの20代の頃の写真が送られてきた。
「ECHOESの頃のこと書きたいので、写真なんかあるかな」とぼくが弟と電話で話していたのを聞いたらしい。笑。
息子マニアの母さんが一番貴重な写真を持っているのである。
懐かしい写真が届いて、苦笑をした。
自分、こんな顔をしていたのか、という驚きの連続であった。
似ているけど、20代、30代は、どっちかいうと、十斗(息子)にそっくりであーる。
ということで、今日は、母さんから送られてきた貴重な写真で父ちゃんの顔の変遷を、あはは、いらないよね? でも、20代はかなり笑えます。
まずは、20代である。
※ なんか昭和な感じで頑張っていたのだね・・・。デビュー当時、24歳とか25歳ではないか。
※ あはは、怖い。でも、十斗がこんな顔をしています。
それから、時が流れ、ぼくは二十代の中旬から作家を目指して、演奏活動の合間に小説を書きだしたのだった。
ピアニシモは28歳か、29歳の時にツアー中のホテルで書いて、もう覚えてないけど、沖縄かどこかの郵便局から集英社の「すばる文学賞」に応募したのであーる。
小説家になるのが夢だった、ロッカーでもあった。笑。
そして、30歳の誕生日の翌日、ぼくは受賞をしてしまうのである。この写真は30歳の頃の父ちゃんじゃないかな、と思う。
※ 微妙に、作家顔になってきた。
実は「作家顔」というのがあって、小説家はだんだん「作家顔」になっていくものだ、と言われていた、当時の編集者や作家の先輩らに・・・。それをうっすらと意識し始めていた、父ちゃんの顔であーる。この5,6年後に芥川賞かな・・・
※ 拾った画像なので、大きくならない・・・。
※ これは芥川賞受賞後ですね・・・
40代になると作家顔が落ち着くというよりも、またロッカーに戻っているような感じかな。
これは集英社が作ったポスターで、江国香織さんと出した「右岸」「左岸」のプロモーション写真である。
いつどこで誰が撮ったものか、とんと、記憶にない。
この辺の写真はたぶん、40代の後半から50台のはじめで、十斗が幼稚園とかに通いだした頃じゃないかな、と思うのだ。
今、三四郎の部屋にある。長椅子が映っている。再び音楽活動が精力的になっていた時代である。ZAMZAというバンドを組んで、アメリカでCD出したり、東海岸を回ったり、楽しかった。
そこから再び十年の歳月が流れて、今、ぼくは62歳ということになるのだけど、この辺は大きな変化がないかもしれない。二十代の頃はバンドマンで、ギスギスしていたのが分かる。芥川賞の頃がストレスがひどくて、一日に18時間小説を書いていたので、身体を壊し、不規則な生活で体重が70キロを超えた時期もあったが、49キロから54キロくらいがぼくの理想的な体重かもしれない。今はちょっと太って、57キロくらいかな。
ライブに向けて、アルコールを控えて、身体を絞りたい。
今日も読んでくれて、メルシー・ボク!!!
そして、父ちゃんからのお知らせです。
3月18日、文春新書から「ちょっと方向を変えてみる」が発売になっております~。
19日はDeepForestとのコラボ「荒城の月」がリリースされます。携帯に入れて聞いてみてください。
※ 今の自分が一番いいかな・・・。幸せだと信じている顔をしている。サンシー、ありがとう。