JINSEI STORIES
退屈日記「主婦にはなぜ月給がないのか」 Posted on 2022/03/23
某月某日、それにしても、ぼくは一日24時間では本当に足りないくらい精力的に生きている、笑。
そこに三四郎がやって来たことで、さらに時間が足りなくなってしまった。
最近は仕事を減らして、息子と三四郎の世話をしているが、普通のご夫婦はどうしているのだろう、と思った。
というのは、ぼくの知り合いのママ友のエミリーから連絡があり、
「ギヨームと離婚しようと思っているのよ」
と相談を持ち掛けられたからだ。
「おいおい、変なこというなよ。シルヴァン君はどうなる?」
シルヴァン君(仮名)とはうちの息子の同級生のことである。
「もう、大学生になるから、そこを一区切りにして、夫婦の関係を解消するの。夫のギヨームはスペインに戻って一からやり直す。私はカナダに移住したかったから、ちょうどいい」
「でも、なんで離婚に? あんなに仲良しだったじゃない」
「ひとなり、いい? 確かに彼が働いているお金で家族はやってこれた。でも、私は私で家事をやってきた。そこをあの人は評価してくれないのよ。彼が働くことが出来たのは、私が家の仕事を引き受けてきたからであって、彼が稼いだお金の半分は私の稼ぎってことにならない? なのに、私には月給がない。それでもいいけど、主婦業へのリスペクトがあまりにないし、あの人は自分が稼いだのは自分の能力だって言い張るの。で、好きに使って計画性がないから、貯金もないのよ。ずっとこういう生活を続けていくことはできないし、建設的じゃないから、分かれて私は私なりの人生を見つけて自由に暮らしていくことに決めたの」
なるほど・・・・。
なんとなく、分かる気もする。
ぼくは一人で全部やっているけど、もしも、ぼくの仕事の半分、いや、三分の一でもパートナーに手伝ってもらえたら、ぼくの収入からそれに見合うお金を分配したい。
逆に、ぼくは家事に専念してもいい。お金を貰えるのなら・・・。
なんで、主婦には月給がないのだろう、と素朴に思った。
家事を仕事として、これを現金で換算するといくらになるのだろうと思って計算をした。
フランスの平均的なお手伝いさんの料金が一時間15ユーロなので、一日、8時間、(土日をその半分と計算)働いたとして、3000ユーロくらい、つまり、日本円で39万円と出た。
まぁ、そのくらいのお金を貰わないと毎日、人の家のお手伝いはできないな、とは思う。
フランスの一人暮らしのお金持ちのお爺さん、お婆さんは住み込みの人がつきっきりで(二人体制でやっている)たぶん、住み込みだからもっと貰ってるかもしれない。この計算の仕方には異論もあるだろうけど、ともかく、主婦の人は実は大変な仕事量を抱えているということは間違いないし、サラリーマンと比較しても負けない気がする。
※アルバイト料欲しさに窓ふきを志願した息子君・・・。
主婦のひと月の仕事の対価を、日本円で40万円ほどとするなら、結構な稼ぎになる。
本来は、そのくらい貰ってもいい仕事量を主婦の皆さんはこなしているということになるのだ。
それなのに、リスペクトされないのだから、エミリーが怒るのも無理はない。
ただ、ぼくは二人のことを良く知っているけれど、この件に関しては、口を挟まないことにした。
これは夫婦の問題なので、彼らが解決の糸口を探せないなら、他人のぼくに出来ることはないだろう・・・。
ただ、難しい問題だけれど、無理をして一緒に生きても苦しくなるだけだから、一度離れてみるのは建設的かもしれない。
エミリーが外で自信を取り戻せるような人生に出会うことを祈りたい・・・。
そして、スペインに戻ったギヨームが仕事と家事の合間に、エミリーのことを懐かしがることがあればいいな、と思うのだった。
つづく。
※目指せ、主夫のかがみ・・・。