某月某日、今朝は早起きをして、朝一番で血液検査に行った。
なんで血液検査をしたのかというと、ほら、先週、謎の高熱が出て、もっとも一晩で引いたのだが、ちょっと健康のことを考えて、そろそろ血液検査くらいしておいた方がいいかな、と思ったからである。
主治医（ジェネラリスト）の先生に処方箋を書いて頂き、出かけることに。
頻繁に日本に帰っていた頃は福岡の病院で精密検査をやっていたのだけど、コロナ禍になり、還暦も過ぎたことだし、精密検査を３年していないのは、よくない・・・。
この夏に日本でライブをやる予定なので、健康チェックをしておいたほうがいいかな、と思って、癌を含め、ほぼすべての血液検査をお願いした次第であった。
フランスは血液検査とかエックス線検査などは病院ではなく専門のラボでやる。
主治医制度があり、みんな主治医を決めておかないとならない。
主治医さんを選ぶのも変えるのも自由に出来るのだけど、ぼくは渡仏後、ずっと同じ日本人のK先生にお願いしている。
まず、癌であろうと、ジェネラリストにすべて相談をすることからはじまり、ジェネラリストが大きな病院などを紹介してくれる。
一人の先生がすべての病の窓口みたいな、感じであろうか・・・。

朝の八時であったが、すでに行列（十人待ち）が出来ていた。ぼくの番が来たので、処方箋と健康保険カードを渡した。
住所やメールアドレスなどを聞かれる。その後、待合室に行き、名前を呼ばれるのを待った。
「ムッシュ、ツジー」
「はーい」
合図を送り、検査官の部屋に入った。
「お元気ですか？　」
と聞かれた。コーマンタレブーという一番丁寧な言い方であった。
ぼくの周辺ではあんまり聞かない仏語だったので、ちょっと驚いた父ちゃん。
「あ、ええ、ま、でも、血液検査に来たので、コーマンタレブーかどうかを調べに来ました」
と、いきなり変な会話になり、若く明るい人は笑顔を強張らせていた。
「血液検査をする理由はなんですか？」
「いや、あの、定期的な健康チェックですかね」
「へー、偉いですねぇ」
いろいろ好奇心の強い検査官だった。住所や、メールアドレスや電話番号に間違いがないか、聞かれたあと、年齢を聞かれた。
「６２歳です」
「え？　マジですか？　どうして、そんなに若いの？　秘訣が知りたい」
「あ、秘訣はロックンロールかな」
「ええ？」
「ぼくね、ロッカーだから。それに、ほら、日本人は若く見えるでしょ？」
「ええ？　日本のロッカーなの？　どんなロック？」
「元えこー－－ず」
Vサインの父ちゃん。絶対ECHOES知らないはずなのにその子、「へー、ECHOESなんだ」と喜んでくれたのであーる。調子のいい子？　一瞬、バカにしているのかな、と身構えた父ちゃんであった。
そして、
「ありがとーごじぇーました」「いたらきまーす」「どもすいましぇーん」
と知っている日本語を連発しだしたのである。
はよ、検査せんかい・・・。

ぼくは注射器で３本分の血を抜いて、そこを後にした。
検査結果はメールで午後に送られる、ということであった。
検査場を出てもまだ朝の９時前だったので、行きつけのカフェに顔をだして、仲良しのギャルソンらに、腕の絆創膏を見せまくった父ちゃん。「見て見て生々しいでしょ？」
ところが、時間が経つにつれ、だんだん、気が重くなってきた・・・。
というのは、何か悪いところが見つかったらどうしようと考えてしまったからである。
不意にそわそわし始め、落ち着かなくなった父ちゃん、仕事も手につかないし、食事ものどを通らなくなった。
三四郎を散歩に連れていき、ぼうっと空を見上げて過ごしたのである。
もしも、ぼくの身に何かあったら、息子も大学に行けなくなるし、三四郎は誰かに譲らないとならなくなる・・そんなの、いやだ。
家に戻っても何も手につかず、もし、どこかが悪いとしたら、そこはどこだろう、肝臓かな、心臓かな、などと考えながら、過ごすことになった。
そして、夕方、不意にメッセージが届いたのである。検査結果であった。
「おおおお」
それはまるで成績表のような、細かい数字が羅列された表であった。
左側に検査をした項目があり、次にぼくの数値、そして右側にどうやら正常値の範囲が記されている。Ｋ先生にすぐに送ったが、返事がない。
なかなか返事が戻って来ないことで、もし、非常に悪い数値だったら、どうしようと悪い方へ悪い方へと考えてしまう父ちゃんなのであった。
先生の返事を待ってられなくなり、仏語電子辞書を取り出し、印刷した検査結果表とにらめっこを始めた父ちゃんであった。

お医者さんでもないし、専門用語が難し過ぎて、ちょっと分からなかった。
「これは健康によくないから、先生から分析結果がくるまで考えないようにしよう・・・」
ということでぼくは悶々としながらこの日記を書いているのだけど、皆さん、健康だけはお金で買うことができませんからね、普段から気を付けて、お互い、生きてまいりましょう。
悪い結果が出ないことを祈っておいてください。
※検査結果は後日、日記で発表いたします、なんのこっちゃ。
コーマンタレブー。笑。

つづく。

今日も読んでくださり、ありがとう。
検査結果、心配ですが、前向きにがんばります。