JINSEI STORIES
滞仏日記「いよいよ、明日の朝、ぼくは子犬の三四郎を迎えに行くのであーる」 Posted on 2022/01/20 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、フランスの感染拡大状況はおそらく、ここ一週間でピークを迎えることになるので、ぼくは相当に警戒しながら出かける。
一日の感染者数は46万人という恐ろしい数字をたたき出している。(死者は375人)あっという間に50万人になるだろう。
「ボンジュール、辻仁成の春ごはん」でカメラを担当したピエールも感染をし、2週間くらい陰性にならず長引いている。
ぼくの田舎のアパルトマンを工事したあの、ジェロームことジェロジェロも、家族全員で陽性、現在一家で隔離中と連絡があった。
そこかしこで感染者が出ていて、フランスの科学者曰く、近い将来、欧州人はほぼ全員が感染をすることになるだろう、と恐ろしい予言・・・。(ぼくも?)
一方で、ファイザーのCEOがフランス・フィガロ紙のインタビューで、「世界はまもなく、早ければ春くらいに日常を取り戻せるだろう」と発言しているし、MSの創設者、ビル・ゲイツ氏も同様のことを言ってる。
ただ、WHOは、この気の早すぎる収束への期待に釘をさした。警戒感が一気になくなることを恐れて、のことであろう。
さて、そんな中、ぼくは罹るのだろうか、ということが今、一番の気がかりではある。
(ぼくは三四郎のためにも、絶対、オミクロンから逃げ切ってみせる。ふふふ)
ちなみに、ぼくの周りの感染者は症状がない人が多い。
あっても37度5分程度の熱が出る、鼻が出る、という程度。
ジェロジェロは元気なのだけど、薬局で受けられる無料検査をやったら、陽性だった。調べたら家族全員が陽性だった、という、そういう、芋づる式に出てきているのが、フランスの感染状況で、検査数に比例して、数字が増えるというのもあるのかな・・・。
ちょっと、変だな、と思って調べる人たちが次々に罹っている状況なのである。二コラ・パパは、誰とも会ってないのに、どこで罹ったのか分からない、とメッセージが来た。
さて、そんな中、父ちゃんは明日、いよいよ、三四郎を迎えに行くのであーる。この日記を書いて、寝て、起きたら、レッツゴー!!!
「あの、犬はコロナに罹るの?」
とブリーダーさんに訊いたら、
「え? 罹らないですよ。でも、ぼくは科学者じゃないから、分からないけどねぇ」
と笑われてしまった。
マウスでコロナの実験をしているくらいだから、犬猫も罹らないとは言い切れないんじゃないかな、とは思うけど、これも、ぼくにとっては未知の世界の話しなのである。
さて、そんな不安の吹き荒れる中、今日は、犬グッズで足りないものをいくつか、やみくもに、買い足してしまった父ちゃん・・・。
買わなければならないわけじゃないのだけど、犬コーナーがあるとつい、目が留まってしまうのはなぜであろう。
たとえば、今日、夕飯の材料を近くのスーパーに買いに行ったら、ワンちゃんコーナーの一隅に、三四郎を発見!
「おお、三四郎!!!」
と大声を張り上げ、周囲の仏人に白い目で見られた父ちゃんなのだった。
これは、ノミ除けの薬のようだが、よくわからないけど、三四郎がそこに映り込んでいたので、思わーず、パッケージ買いをしている自分。失笑が漏れてしまった。
※ おおおお、いきなり、ここで会ってしまったと、勝手に妄想している父ちゃん、笑えるね・・・。
それから、すでに三四郎のベッドはいいものを買ったのだけど、ふらりと入ったインテリア雑貨屋さんの一角にワンちゃんコーナーがあって、思わず、立ち尽くした父ちゃん・・・。で、ペットフード缶とか、お迎えの時に軽く包み込んであげられるおクルミ? 毛布? タオルのようなものも、それからちょっとぼくの仕事部屋のぼくの足元とかでゴロンとしたい時とかに気安く横になれる篭ベッドも、買った。
いたるところに居場所を作ってあげたいのだ。いいんじゃないの~。
で、篭ベッドが、今、ソルド(セール)中なので、めっちゃ安くて、衝動買いしちゃったー。あはは。
今日のところはこのくらいにしておいてやろうか、父ちゃんの独り言は続く。
※ ぼくが仕事をする足元とかに、おいといて、三四郎にゴロゴロしてもらいたい、籠ベッドなり・・・。ふふふ。
まさに、先が思いやられる展開なのだけど、今日、昼くらいに、フランスに赴任されたばかりのNHK、元NW9のキャスターだった有馬嘉男さんから、長文のSMSが飛び込み、何事か、と思って覗き込んだら、ぼくがワンちゃんを迎えに行く時の注意事項が長々と記されていたのである。
(ちなみに、有馬さんはぼくと結成したパリ愛犬同盟の会員番号一番)
なんでも、奥様がいろいろと考えてくださった上でのアドバイスだそうで、ううう、実にありがたい。参考にさせていただいたのであーる。
読者の皆さんからも、ツイッターやインスタなどに、様々なご意見やアドバイスを頂き、これは実に恵まれたスタートを切れそうな父ちゃんなのであーる。
生き物を預かるので、かなり緊張してはいるけれど、生きている間は支え合える最高の関係になるだろうから、ぼくは無償の愛で迎えてあげたいと思っている。
ま、犬好きの息子も散歩には連れていくと申し出てくれてはいるし、お手伝いの中島君も犬の世話のプロなので、いざとなれば相談できるし、スタッフさんや友人らに犬を飼っている人はたくさんいるので、困った時には縋ろうと思っている。
でも、人に頼り過ぎると性格上、甘えてしまうので、とりあえず、ここから夏くらいまでは気を抜かないで頑張っていきたい。そう決心をした、父ちゃんなのであった!
さて、今日はちょっと短くて申し訳ないのだが、明日は早朝に家を出るので、この辺で筆を置かせて頂き、もう寝ます。
次の日記で詳細をご報告したい、と、・・・ここまでずいぶんと引っ張ってきたのだが、笑、いよいよ、三四郎との再会じゃー-ん、きゃー--、興奮するワン!
「予定通り、明日の朝、行きますが、大丈夫ですか?」
ブリーダーさんにSMSを送ったら、
「問題ないですよー」
と連絡が戻ってきた。おおおお、愉しみ過ぎる~
乞うご期待。
つづく。
※ 古い写真の使いまわしは今日までなのよー--。愉しみ過ぎる・・・。ワン。