JINSEI STORIES
滞仏日記「シングルファザーになってから、今年は、辻家のラスト・クリスマス」 Posted on 2021/12/19 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、また、今年もあと数日でクリスマス・イブがやってくる。
我が家にもクリスマスツリーが設置され、毎年一つ一つ買い集めてきたオーナメントが飾り付けられ、つつある。(去年買った、緑色の自動車のオーナメントが見つからない)
うちにはクリスマスの時期になると、二つのオブジェが展示される。
一つはクリスマスツリーだけど、もう一つはサントン人形と呼ばれるキリストの誕生を再現する手作りの人形舞台だ。
これは、アンティーク市で手に入れた額縁型のショーケースの中に、毎年、ぼくが集めたサントン人形を並べる、ちょっとしたイベント。
息子は保育園の頃からカトリックの学校に通っていたので、(キリスト教徒ではないけど)、学友たちと同じものを経験させなきゃ、と思い付き、毎年飾ってきた。
こちらもオーナメントと一緒で、毎年一つずつ人形を買ってきた。
5センチくらいの小さな人形だけど、結構、可愛い。ちなみに、今年買ったのは、羊を背負った牧人のそれで、なかなか愛嬌がある。
※ 2021年のサントン人形、キリスト生誕劇場、もともと、南仏のものらしい。羊を背負った人、みつけられますか?
※ 三博士の一人は拙著仏語版の前を移動している、笑。
このサントン人形のユニークなところは、キリスト生誕のドラマを家庭内で再現すること。なので、聖母マリアの前に置かれた藁の籠の中に、25日までイエス・キリストは出現しない。
で、新約聖書に登場する、東方の三博士(イエス・キリストの誕生の時にやってきてキリストの生誕を祝ったとされる東方の三博士、もしくは東方の三賢者)たちが、その場所を目指して家の中を移動してくるのを子供たちが、もしくは家族みんなで動かしながら、演出をするのだ。
ということで、今、我が家の三博士は、拙著が並んだ、書棚を移動中。
幼い頃の息子はそれをそれなりに面白がってくれたのだけど、今は、ツリーなんかに近づくこともしない。
クリスマスの日に、ツリーの下に置かれたプレゼントだけを取りにやってくる。(正確には、そこに何かがあるよ、とぼくが言うのだけど・・・)
なので、サントン人形など、我が家で一人盛り上がっているのは父ちゃんだけなのだ。
それはツリーにぶら下がるオーナメントも一緒だ。
今年は、エンジェルの大きなオーナメントを奮発して買った。37ユーロ(5000円くらい?)もしたのだけど、来月、息子は18歳(フランスにおける成人になるので)、このささやかな遊びも今年が最後になるのであろう・・・。
25日の朝、プレゼントをツリーの下に置いて、生誕劇場のマリアの前に赤ん坊のキリストをそっと登場させて、物語は完成となる。
シングルファザーになって、ずっと、これだけは続けてきた、辻家の淡い人生劇場なのであーる。
※ 2021年のクリスマスツリーは少しずつ、こうやって、飾りつけられつつある・・・。エンジェルの登場はもう少し、あと数日、先に・・・。えへへ。
それでは、手元に残っている写真を、昔日から今年まで、急ぎ足でふりかえってみよう・・・。
父ちゃんがささやかながら、家庭のぬくもりをここに演出してきた、その痕跡がわかってもらえるかな・・・。
もう、あとひと月で息子が成人するかと思うと、ほろっとするけど、でも、毎年、いろいろなドラマがあった。あったねェ・・・。ありました。
彼が成人したら、ぼくの大きな仕事が一つ終わることを意味する。
今年は未成年である息子君との最後のクリスマスになる。
来年のクリスマスは、きっと、それぞれ、好き勝手な場所で迎えることになるだろう。
つまり、ラスト・クリスマス、なのである。
※ 2013年のクリスマスは教会で息子が合唱をしたので、それを撮影にいった。この中にいるのだけど、小さかったね。
※、 2014年頃、息子が描いた父と子の漫画・・・笑。
※ 2014年のクリスマスのサントン人形。なかなか、聖なる夜感が出ているねー。
※ 2015年のクリスマス・・・。
※ サントン人形もあるけど、この頃は小さなクリスマスツリーっだったのだ・・・。
※ こんな格好で、友達と大騒ぎをしていた息子君・・・。どっちかわからないけど、たぶん、左かな・・・。
※ 2017年のクリスマス・イブの写真。いつものクリスマスセットを頑張って設営した父ちゃんの力作なり・・・。
※ で、お馴染みの父ちゃんのクリスマスケーキ。作り方は、こちらから、どうぞ↓
https://www.designstoriesinc.com/jinsei/daily-2418/
※ 2018年のサントン人形劇場なり・・・
※ ソファのカヴァーを利用して、三博士が移動している感を演出した父ちゃん、ふふふ、芸が細かい・・・。
※ これは、母さんが、作った手作りのオーナメント。一番の宝物だね。毎年、ツリーの中に、母さんがいる・・・ありがとう。息子も元気だよ。
※ 2019年のクリスマスは、地味であった。というか、写真が見つからなかった。あはは・・・
※、ケーキは市販のを、買った・・・。
※ 2020年はおいしいで釣った。黒トリュフをふんだんにぶっかけてトリュフ祭りイブになったのだ。
※ ケーキより、腹いっぱいになるものを求められたっけ・・・、笑。パンタードのファルシとか、豪勢だねェ。
※ 世界はコロナで、つらかったね・・・。寂しいクリスマスイブだった。
※ そして、2021年、今年もツリーが我が家にやってきた。サントン人形劇場と一緒に。。。飾り付けたらものは24日に、お見せしましょう!!!
つづく
そして、父ちゃんからのお知らせなのだけど、一緒に、今年は、盛り上がりましょう。
12月24日は、辻仁成と歩くクリスマスイブのパリ・オペラ地区オンラインツアー「ギャラリー・ラファイエットの巨大クリスマスツリー前からヴァンドーム広場まで」
2021年12月24日(金)19:30開演(19:00開場)日本時間・90分を予定
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※アーカイブ視聴URLは、終了後(翌日を予定)、お申込みの皆様へメールにてお送りします。
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