JINSEI STORIES

リサイクル・父ちゃんの料理教室「父ちゃんは、どうやって、レシピと向きあっているか大公開」 Posted on 2023/09/13 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、自分の味というのがあって、ぼくはどんな食材を使っても必ず自分の料理に持って行ってしまう、ある意味、達人なのであーる。
これは父ちゃんの味なんだから、まぁ、それでもいいのだけど、自分に飽きる時もあるので、たまに人のレシピとか眺めて、へー、まぁ、そういう手もあるのね、なんて主夫感満載で勉強したりもする。笑。
レシピって設計図というより、道先案内人、くらいに考えておくといい。そう、その通り、レシピは偉大なる道先案内人なのだ!!!
歩き方次第で、どうにでも変化する。

リサイクル・父ちゃんの料理教室「父ちゃんは、どうやって、レシピと向きあっているか大公開」



大人気のコウケンテツさんのレシピ眺めていたら台湾のルーロー飯ってのがあって、実は、父ちゃん、台湾大好きで、台北で食べたルーロー飯が忘れられなくて、素直に、あ、これ、やってみよう、と思ったのだった。
コウケンテツさん、(面識はないのです)、なんか優しそうな素敵なお兄さんだから、まず、やさしさ求めて、レシピを読んだのだった。
すると、がっつり系のおいしそうな料理ばかり!!!
ひゃあ、こりゃあ、人気がでる。勉強になります!
で、マネしてみようと思ったのだけど、父ちゃんの場合、誰かのレシピをそのまま再現する、というのが出来ない。
つい、どこかで自分流にするというか、お手本にさせてもらいながら、アレンジする、という感じなるのであーる。(お菓子は別ね。お菓子は必ずレシピ通りにやらないと失敗しますよ)

リサイクル・父ちゃんの料理教室「父ちゃんは、どうやって、レシピと向きあっているか大公開」

TSUJI VILLE



ああ、ここはこうしたらもっと自分好みになるかな、とか、あと、食材が日本とフランスは違うので、特にフランスの豚は硬いから、ぼくは前の晩に豚肉を細かくさばいて、酒に一晩漬けることにしてみたり・・・。
コウケンテツさんのレシピで「おお、なるほどー」というところと「自分なりにー」というところを組み合わせていく、すると、他人のレシピなのだけど、すんなり自分好みのルーロー飯が出来るという寸法で、ごめんなさい、コウテンケツさん!
しかし、まぁ、あくなき食への求道者はみんな同じかもしれない。笑。
たとえば、土井善晴さん(ぼくの時代はお父さんの土井勝さんがすごくて、大ファンでした!)とかレミさんのツイッターなんかも流れてきて、いいねー、とか思うと、自分なら、どうするだろうって、とまず考えて、その夜の料理なんかに、応用することがある。
レシピっていうよりも、一枚の写真から、こうするとこういうのが出来るかも、と想像するのが楽しい。
そして、これ、料理が上達するための、コツ、でもある。

リサイクル・父ちゃんの料理教室「父ちゃんは、どうやって、レシピと向きあっているか大公開」



拙著「父ちゃんの料理教室」の中に蒸し魚料理があると思うけど、あれのオリジナルは、パリの老舗中華レストランのぼくのお気に入りで、香港人シェフのしんこーさんとは家族ぐるみのお付き合いをしているけど、でも、彼からレシピを習ったことは一度もない。
その料理をしょっちゅう食べているうちに、自分でもマネしたくなって、その秘密を想像しながら、いろいろとやっているうちに、ある日、しんこーさんに近い味になった。←、うぬぼれんなよー、ひとなりーーー。by 天国の父。
で、ある日、彼がうちに来た時に出したら、おお、美味しい、と笑っていたのだ。
まったく違う料理と彼は思っているようだった。これ、どうやって作るの? と聞かれたのだから、笑。
で、その時に、お互いのやり方を披露しあって、酒を飲む、みたいな感じになって、・・・これは楽しいね。
ああ、その手があったか、という感じ。そもそも、レシピって、オリジナルなんかないわけで、みんな誰かの、どこかの、あるいは伝統的な料理を、自分流にアレンジしていく中で進化していくものだと思う。
炒飯なんか無限に作り方があるから、そういう経験の中で、自分流が生まれるのだと思うのだである。
コウケンテツさんのルーロー飯もいつか、ぼくのレシピになる? ←泥棒? あはは・・・
コウテンケツさんの、アジア飯、大好きです!!!
いつも、ありがとう。

リサイクル・父ちゃんの料理教室「父ちゃんは、どうやって、レシピと向きあっているか大公開」



レシピって、実は専門的な書き方があるのだけど、あれって、実は、どうにでも作れちゃう書き方が多いんだよね。
手の内見せているようで、見せてない料理人のレシピも結構あるのだ。あはは。
あと、ぼくは美味しいレストランに旅先で出会うと、ギリシャだろうが、モロッコだろうが、厨房に入っていって、ちわっす、日本の父ちゃんです、みたいな挨拶をしてから、スパイスとか、コツとか教えてもらう、ってか聞き出して盗む。←やっぱ、盗賊だった。あはは。
料理人ってすごいナチュラルな人が多いから、教えてくれるんだよね。
食べたい料理と出会ったら、軽く、聞いてみたら、教えてくれると思うのだ。
でも、結局、経験がそれを支えているので、作り方だけでは、再現できないものもあるのだけれど・・・
じゃあ、皆さん、今夜も頑張って!!!

リサイクル・父ちゃんの料理教室「父ちゃんは、どうやって、レシピと向きあっているか大公開」

※ 右はパリの巨匠、おなじみ「国虎屋」の野本氏、左は、ぼくが大推薦するパリのフレンチの巨匠、Nakataniの、中谷シェフ。みんな仲良し!

さーて、父ちゃんからの、お知らせだよー!!!

NHK/BS「ボンジュール、辻仁成のパリごはん」
いま、毎日、放送中だよ!!!!!!
新作は16日!!!
今後の全ての放送スケジュールがアップになりました。
https://www.nhk.jp/p/ts/6XW8NZ748V/schedule/

リサイクル・父ちゃんの料理教室「父ちゃんは、どうやって、レシピと向きあっているか大公開」



自分流×帝京大学