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ヴェネツィア日記・追記「短い滞在で出会った人たちとの思い出のヴェニス」 Posted on 2021/07/14 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、慌ただしくパリに戻った父ちゃんだったが、いつまでたっても、ヴェネツィアの人々の優しさが忘れられない。
滞在した宿の方々も、朝食を配膳してくれたマンマたちも、周辺のレストランの人たちも、取材で飛び込んだ骨董屋の老店主や古書店のおかみさんも、ゴンドラには乗らなかったのだけど、偶然、一日に三回も街角で遭遇して仲良くなったゴンドラの船頭さんとか、カフェのシニョールも、みんな優しかった。
詩人のマルコお爺さんは、イタリアはジェラートの国だよ、とぼくに好きなジェラート屋を教えてくれたばかりか、その後、アイス食べ歩きながら、ぼくらは文学談義もやった。面白かった。

ヴェネツィア日記・追記「短い滞在で出会った人たちとの思い出のヴェニス」

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ヴェネツィア日記・追記「短い滞在で出会った人たちとの思い出のヴェニス」



今回、あまりレストランの紹介とか、飲食のことには触れられなかったけれど、ヴェネツィアのご飯はそんなに美味しくないよ、との前情報だったけど、どっこい、地元民に愛されている、人知れずやっているような店はどこも美味しかった。
この辺は、小説の中で、紹介したいから、とっとく、←ケチ。笑。

ヴェネツィア日記・追記「短い滞在で出会った人たちとの思い出のヴェニス」

そうそう、今回、市内をぐるぐると歩き回っていたら、手作りの人形屋さんがあって、そこで、一目ぼれした人(人形)と出会い、連れて帰った。
ぼくは人形好きで、本棚にはパリの骨董屋で見つけた陶製のダリアちゃんもいる。
で、イタリアで見つけた青い人は、マルコ、にしようかな。
今、この子はうちの書棚に落ち着いたところである。ぼんじょーるの。

ヴェネツィア日記・追記「短い滞在で出会った人たちとの思い出のヴェニス」



リアルト橋やアカデミア橋、サンマルコ広場、カナルグランデなどなど、どこも、観光地はパリに負けないくらい、素晴らしかった。
仕事じゃなく、コロナが落ち着いたら、半月くらいゆっくりと滞在をしてみたいなぁ、と思った。
史跡巡りは当然、最高なのだけど、それより何より、一番の素晴らしさはイタリア人の心意気というか、暖かさなのであった。
どの人たちも、親切で、ぼくを船着き場まで案内してくれた二度と会うこともないだろうお爺さんの優しさ、こっちだよ、こっちさ、と言い続けてくれたあの人懐っこさ、絶対、忘れられない。
老後はイタリアも悪くない、と思った父ちゃんであった。←ってか、もう老境に入ってるね・・・。

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この笑顔、最高なんだ!!!

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