JINSEI STORIES
退屈日記「これが父ちゃんのワクチン接種済証明書、ワクチンパスポート!」 Posted on 2021/06/07 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、フランスに観光客が戻って来つつある。
これはどうやら欧州全体の傾向らしい。
そして、ぼく自身、ワクチンの二度接種が終わったので、飛行機を利用した旅に出ることが出来そうだ。
フランスを受け入れてくれる国がどのくらいあるのかわからないけど、フランスのワクチン接種が急速に進んでいるので、たとえば、スぺインなどには旅をすることが出来るみたいである。
で、ぼくの周りの友人たちが、この夏の計画を立て始めた。
まるで2019年以前の世界のような状態になりつつある。
これは観光業界においては吉報であるが、果たして、それが原因で再び感染拡大ということにならないか心配している人たちもいる。
とくに医療関係者の皆さん・・・。
※感染が減少し、死者がゼロの日も記録した英国だが、ここにきて、変異株が急拡大している。気を付けないとならない。
ぼくはまだまだ、海外旅行をするつもりはないけれど(やはり変異株が怖い)、今日、街角でばったりと会った哲学者のアドリアン(二回接種済)は、
「ギリシャに行く。ギリシャの離島へ」
と笑顔で言った。
ギリシャやスペインを選ぶ欧州人は多い。
この夏はきっと欧州各地の観光地がどこも賑わうことになるだろう。(秋に変異株の感染拡大が増えるかどうか、用心しないとならない)
スペインの主だったレストランは今日、どこも満席らしい。
フランスでも明後日、6月9日からレストラン店内での食事が可能となるので、すでに人気店は予約で埋まっている状況だ。
ぼくが先週の日曜日にセーヌ川クルーズライブをやった時はまだ、ほかの遊覧船はほぼほぼ運航されていなかった。
しかし、今日、セーヌ川の遊覧船に人が集まりだしているのが見えた。
観光用三輪車トゥク・トゥクもパリ市内を観光客をのせて走り回っていたので、少しずつ戻りつつあるのは間違いなさそうだ。
そして、フランスでも、みんな、夏の旅行の計画に入っているようで、旅行業界が不意に活気を取り戻しつつある。
ちなみに、ぼくはワクチンを二回接種したが、接種会場を出る時に、QRコードの用紙を手渡された。
携帯に入っているANTI・COVIDというアプリを稼働させ、コードを読み取ると、アプリ内にぼくのワクチン接種済み証明書のようなものが表示される。
いわゆる、ワクチン・パスポートのような役割を果たすようで、多分、これを欧州各地の空港やホテルやレストランなどで提示することになるのであろう。
新しい時代の到来ということになり、変異株次第だが、この証明書の提示さえできれば、再び欧州各地を自由に移動することが出来ることになるようだ。
まだ、不安はあるが、一日も早くこの状況に慣れる必要がある。