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滞仏日記「宇宙人はいると思いますか? しかし、妖怪はいます」 Posted on 2021/05/21 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、サッカーの岡崎慎司選手から
「隣人、大変そうですね😭😭」
というメッセージが届いた。ううう・・・。
アメリカの友人からも、
「隣人とうまくやれないのは、ある種の人生の墓場だから、今すぐそこを売って、新天地を探しなおせ」
とアドバイスが届いた。
みんな、日記を読んでくれているのだ、ありがたい。
しかし、とぼくは思う。
ぼくは大騒ぎをしているが、ここの妖怪たちとはうまくやる自信がある。
彼らは妖怪みたいだけど、ある種、非常に人間的でもあるわけだ。
まさに、紛れもなくフランス人を絵にかいたような連中で、変わっているけど、実に人間的な高齢者に他ならない。
見た目が怖いのは霊感の強いぼくにはとくにマイナスの要因ではない。ぎゃあぎゃあ、騒いでいるけど、ある意味、愉快でもある。
ぼくは一度も彼らを悪い人間とは書いてない。
変わっていて、奇妙で、ハウルで、妖怪みたいとは書いたけど、妖怪人間ベムとかベラとか、ゲゲゲの鬼太郎とかねずみ男とか、思い出してほしい、みんないいやつだった。
ちょっと不思議な話しをいたい。5日前に放送されたアメリカCBCの名物番組「60ミニッツ」が、今、フランスでも日本でも、あちこちでニュースになっている。
なぜなら、その中で、UFOと遭遇した複数のアメリカ軍パイロットたちが
「ぼくらはほぼ毎日、UFOを見ていた」
と発言したからである。
今まで発言が許されなかったのに、こんな有名な番組で全世界に向けて、いますよ、と彼らは一時間、語ったのである。

滞仏日記「宇宙人はいると思いますか? しかし、妖怪はいます」



ここ最近、UFOのこの手の情報開示が続いている。
米軍や米政府がUFOが実在することを認めはじめている。
アメリカ国防総省はすでにビデオの開示もしているし、もはや、否定さえしていない。
パイロットたちも口をそろえ、「目の前で高速で輝き、消えた」と普通に発言しているし、イメージとしてはもはや隠しきれないので、全部、出しちゃえ、という感じになっているのかなぁ・・・。
米国防総省がこの6月に具体的な報告書を出すことも決まっている。

滞仏日記「宇宙人はいると思いますか? しかし、妖怪はいます」



これ以上、隠し切れない何かが、起きていると考えるのが普通だろう。
これまでは矢追純一さんのような方々がUFOの存在について非常に空想力のとんだ発言をされてきた。
でも、今は、米国の国防総省やパイロットたちが普通に発言しているので、矢追純一さんが出てこないでもよくなった。
このことが意味するものが何か、考えてみようじゃないか。
つまり、人類がすでに宇宙人と対面するだいたいの準備が整った、ということなのである。この数十年、世界ではUFOの映画やテレビや小説や漫画が普通に愛されてきて、すべての人々の心の中に、UFOはすでに実在している。
ただ、いまだ、実物を見てないだけだ。



UFO側からすると世界最強といわれるF-22戦闘機であろうと竹やり程度でしかない可能性もあり、UFOと米軍が向かい合っても、あっさり勝負はつくのじゃないか。
つまり、これまでの価値観が大きく覆ることになりそうだ。

ぼくは幼い頃から新宿上空にもの凄い数のUFOが滞空する実に生々しい夢を見続けてきた。
これが3D映画以上の迫力で、10年に一度くらい見ているわけだが、そのイマージュはいわば、まもなく価値観の転覆が起こることに対する、予言ではなかったか・・・。
人類が遭遇しなければならない新価値観の次の段階が迫っているような、意識の変革の到来を予言させるもの、まさに、未知との遭遇が起きつつあることを、隠せなくなったということに他ならないのである。



さて、話しが大きくそれたが、コロナが出現して一年以上が過ぎた今、ぼくは妖怪のような隣人たちと出会った。
ここで書いてきた通りだけど、コロナやUFOが価値観の変革を迫る現代にあって、この寓話的な出会いはむしろ、ぼくに大事な意味を与えている。
日本人のぼくが、何か人生計画があって、このフランスの片田舎に越してきたわけでもなく、たまたま見つけて買った新居には、この建物と同じくらい歴史的な人物たちが住んでいた。
ぼくはその建物の最上階で窓を開けっぱなしにして、空飛ぶカモメたちに向かって歌っているに過ぎない。
その次の瞬間、ペンタゴンの上空や、バッキンガム宮殿の上や、新宿二丁目の上空に、バカでかいUFOの艦隊が出現し、人類にメッセージを送ってくるかもしれないのである。
しかし、仮に強力なメッセージが送られて、中国共産党とかペンダゴンとかクレムリンとかが大騒ぎになっても、よく考えてほしいのは、米中ロの軍隊が出撃しても、勝てるわけもなく、明らかなことは、ぼくはそのままカモメたちを前に歌い続けるということ・・・。
きっと、階段の踊り場で、やれやれ、大変なことになったね、とカイザー髭は言うかもしれないけれど、フランスの田舎の高台にUFOが攻めてくることもないし、もともと、彼らは人間なんて相手にしていないので、ぼくの人生がそこで変化することもないだろう。
欧米とか中露の合同地球軍が結成されて、UFOとの対話が始まるかもしれない頃、むしろ、我々は宇宙人からもっと有効なワクチン設計図の供与を受けるかもしれないし、UFOを前にして勝てないと悟った大国たちが既得権や利権を手放し、ちょっと角度を変えて、人類の平和についてテーブルに着くことになる可能性もあるわけで、ならばむしろ、人間にとってUFOの出現は悪いことじゃないし、ぼくにしても、妖怪のような風変りな隣人たちに囲まれ、これまでにない価値観で、次の人生を生きられるのだから、目くじらを立てることでもなく、レットイットビー、なすがまま、なのである。



だいたい、ぼくが書いた小説や映画や音楽をみんなが好きなわけないし、理解してもらえると思ってもいないし、好きでいてもらいたいとも思わないし、ぼくは誰にも自分の価値観を押し付けてきたいことはないし、ただ、誰にも支配されない芸術家でいたかっただけだから、結局のところ、なんだっていい。
ぼくにとってカモメもUFOも妖怪の隣人たちも大差がないということで、どうでしょう?
皆さんも、少し、気を楽にして今日をお過ごしください。
絶対、なんとかなります。
あなたの街の上空にUFOの艦隊が飛来してきたら、手を振って、やっほー、と叫びましょう。

滞仏日記「宇宙人はいると思いますか? しかし、妖怪はいます」



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