JINSEI STORIES
リサイクル日記「前日の夕飯後に仕込んだ食材が翌日大変身、未来を楽にさせる料理術」 Posted on 2022/08/15 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、ご飯を作る、というのは毎日の仕事だから、本当に大変なのである。
いま、フランスは学校が閉鎖中だから、ランチと夕食は必ず作らないとならない。
ぼくは仕事があるから、食事が遅くなる時があって、この間、気が付くと夕飯が21時半過ぎであった。
「パパ、遅すぎるでしょ」
とさすがに息子に叱られたのだけど、物書きという仕事は筆が乗り始めると、中断できなくなるのだ。
一度、中断してしまうと、感が鈍る。食後、机に戻ってきて、原稿に目を落とすのだけど、食前のリズムが思い出せないということがままあった。
なので、ついつい、ぼくは夕飯作らなきゃ、と思いつつも、書き続けてしまい、酷い時は22時を超える夕飯もある。
えへへ。
そこで、最近、夕飯後の食器を洗っている時間に翌日のご飯の下準備をしている。時間の有効利用なのだ。
ようは、夕食後に、次の日のランチとか夕飯の下ごしらえをしてしまう、のである。
たとえばだが、昨日の夕飯後に、鶏肉を解体し、それをジップロックにぶちこんで、ガラムマサラとかクミン、ヨーグルトなどを加えて(ぼくはカレー粉は使わない)、タンドリーチキンのベースを作った。
ものの数分で出来る下準備だけど、あとは時間が料理をしてくれる。
一昼夜寝かせることで、スパイスが鶏肉に作用し、染み入り、柔らかく味の染みた濃厚なタンドリーチキンが出来上がるという寸法である。
下準備もそれほど難しくないので、食器をかたずけているあいだで出来てしまう。
それを翌日、夕食の時間に取り出し、オーブンにぶち込んでおけば、タイマーが完成時間を教えてくれるので、全く何もしないで、美味しい、にありつける。
これは便利だし、楽だし、最高なのである。
※このご飯はタイ米なのだけど、半分が、玄米みたいな(コンプレ)タイ米で、最近、有機系スーパーのビオセボンで見つけた。笑。
他にも、豚肉やサーモンに味噌とか塩こうじを塗っておいて、同じくサランラップなどで包んでおくと、翌日が本当に楽だし、おいしい。
夕食後のちょっとの準備が次の日を助けるので、ぼくはだいたい食後に頑張るようにしている。
肉でも魚でも、下準備が出来ているものは味が染みており、本当にやばいくらいうまいけど、いきなり炒めるだけだと、やっぱり、時間スパイスが使われていない分、残念なものになってしまうことが多い。
時間を有効に使いながら、料理していくことで、人生は二倍美味しくなるのだ。
タンドリーチキンは本当に便利なのでぜひ、やってみてもらいたい。