JINSEI STORIES
退屈日記「煙草の煙から看護師さんらがクラスター!?」 Posted on 2021/01/31 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、昨日はフランスの感染症の権威たちが一同に集まり、なかなか興味深い討論番組をやっていたので、寝る前にぼんやり眺めていたのだけど、面白いくらいに全員意見がバラバラであった。
その討論会の中で気になる話題があった。年配の感染症の専門医が、一つの興味深い事例を報告したのだ。
フランスの病院の休憩時間でのことだが、感染していたことに気づかなかった看護師さんが煙草を吸ったことで、その煙からそこにいた全員が変異株ウイルスに感染をしたというのである。
すれ違いざまに、誰かが吸った煙草の煙を感じることは、日常茶飯事にある。
煙よりもウイルスはうんと小さいから、煙の粒子にウイルスが付着していたということ?
ぼくは素人なので、詳しいことはわからない。
しかし、変異株ウイルスの感染力の強さがこのようなところにあるのかもしれない、とその年配の専門医は警告をした。
たとえば、昔から大便にはウイルスが混ざっているというのを聞いたことがあるので、もしかしたら、トイレも今後アウトになるのかな、と考えて、深夜にぞっとした父ちゃんであった。←息子のあとに、トイレに行けないじゃないかぁ!!!!
フランスの若き感染症のホープ、マルタン・ブラシエ医師(この人はどのチャンネルにも登場する有名人)は、変異株はちょっと従来型とは動きが異なり、非常に複雑なものなので、今後、どのような展開になるのか予想がつかない、と発言していた。
フランスもここにきて英国発の変異株が爆発的に増えているので、今まで以上に、びくびくしながら、様子を見ている状態である。
パリの大型店舗やデパートの裏の駐車場とかで従業員の人たちが固まって煙草を吸っていたりするのだけど、それ、やばいのかなぁ、…。
フランス政府がロックダウンに踏み切らなかったことに関して、年配の医師たちは「これから死者が増える」と批判していたが、若いマルタン先生らは、これ以上のロックダウンは自殺者や精神を痛める人を増やすばかりだから、政府が今踏み切らなかったのは幸いだった、と政府を擁護した。
世代によって、考え方が違っている印象を、ぼくは持った。
どんな偉い政治家も科学者も誰ももう判断できない、というフランス人のツイートが物凄い数の「いいね」を集めていたけど、コロナがいっそう複雑怪奇化しているのは事実なのであろう。
正直、マクロン政権も、メルケル政権も、ジョンソン政権も歳月が経つにつれ、どうしていいのかわからなくなりつつあり、かなりお手上げな状態、に見える。
若々しくエネルギッシュに取り組んできたが、変異株の方が今のところ一枚上手な感じがする。
そんな中、フランス政府のスポークスマン、ガブリエル・アタル氏が奮闘している。
マクロン大統領よりも相当若い、若干31歳だが、テレビに出てジャーナリストや論客たちと激論を戦わせるし、そうかと思えば、若い人気ユーチューバーらを集めて、若い世代への発信力を強めたり、なかなか、頑張っている。
思えば、アメリカのバイデン政権でも、報道官に若い女性、ジェン・サキ氏が起用されている。メディアの質問にかなり丁寧に答えている。
日本の政治家さんの中には質問に答えない方もいらっしゃるけど、欧米でそれをやると国民への侮辱とみなされ、結構痛い目にあう。
昔、サルコジ大統領が小さな声で、ジャーナリストに小言を言ったら、その後、メディアの一斉攻撃にあった。日本は、政治家にとって実に優しい国だなぁ、と思う。
ところで、昨日のニュースの中で、ちょっと明るい話題というのか、ほんとうかな、と身を乗り出して見入ってしまったニュースがあった。
それは、PAUL BOYEテクノロジーという会社が開発した「コロナを殺すマスク」の実用化についてのニュースで、最初、「殺す??」と思わず、目を擦ったほど…。
先の日記で世界最強マスクFFP2、FFP3のことを書かせてもらったが、その最強マスクFFP2の表面にコロナを殺す粉を混ぜる、というものらしい。←怖っ、人間は大丈夫なの?
詳しい原理はわからないけれど、そこの社長さんが、数か月後には市場に投入したいと意気込んでいた。
粉ということは、一度洗ったら、もう使えないということだろうか? うううむ、…。
まぁ、でも、朗報に繋がるなら、完成を待ってみたい。一枚、買ってみよっかなっと。笑。
こんな風に、毎日、情報を集めては一喜一憂している父ちゃんであった。また、報告しますね。