JINSEI STORIES
リサイクル日記「パリのスーパーのお惣菜コーナーってどんなところ?」 Posted on 2022/06/25 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、買い物は本当に毎日の大いなる気分転換になっている。
コロナ禍になる前は、いっぺんに大量買いしていた時期もあったけど、最近は、外出制限下だから、他にすることもないので、買い物が実は日々の一大イベントになってしまった。
フランスにも、日本のコンビニに似たようなものがあるのだが、どうも、根付かない。
フランスはやっぱり、スーパー文化だ。
で、フランスは、朝の9時くらいからスーパーが開いて、夜の21時くらいまでやっているのだけど、コロナ禍の今は夜間外出禁止令下だから、18時で閉店となっている。
カフェもレストランもやってないので、どうしても、ぼくは毎日、スーパーに顔を出し、その日食べるものをちょこっと買うようにしている。
いい気分転換になる。どこのスーパーの店員さんたちもみんな顔見知りなので、立ち話とかも出来るし、憩いの場?
で、とくに買わないけど、必ず覗くところが、お総菜コーナーということになる。
カルフールとか、フランプリとか、モノプリなど、ちょっと大きめのスーパーには必ずどーーんとお惣菜コーナーがあって、これが実に大充実していて、美味そうなのである。
日本だと、イトーヨーカドー、マルエツ、イオン、オリンピック、西友、サミット、コープとかいろいろとある。ひゃあ、懐かしくて涙が出るわ。
ぼくは昔、ハナマサでアルバイトしていたので、笑、正確にはハナマサが運営するハンバーガーショップでバイトしていたので、ハナマサは安いからお肉とか買いに行く。あはは、ぜんぜん、宣伝じゃなく、昔の恩返し。
知り合いがマルエツの店長さんだったから、マルエツにもよく行く。
あと、成城石井はスーパーのセレクトショップだから、フランスの仲間たちへのお土産なんかを買いそろえるのちょうどいい。
帰仏前には必ず立ち寄る。
マイナーなところでは上野の吉池とか好き。えへへ。
昔、田無市で父さんと二人暮らしていた時に、よく言ったのが「いなげや」さんだった。最高だった。感謝感謝。
あと、うちの実家のそばにある、福岡最強スーパー、サニー!!! もう、本当にありがとう。
日本のスーパー大好きなんすよ。←一人テンション上がる。父ちゃん。
でも、サニーは子供時代からお世話になり、今では、息子の一番のお気に入りスーパーマーケットだから、あいつ、日本から戻ってくると、サニーの話しばかり。
話が脱線したけど、パリのスーパーのお惣菜コーナーは、日本に負けないくらい凄い。
実は最近、アジア総菜コーナーも充実しているのだ。
弁当とか、寿司の盛り合わせとか、どこにでも売っている。20年前のフランスでは考えられなかった。
といっても、だいたいは、中華系の方々が運営している。と書くと、目くじら立てる人もいるだろうけど、欧州では、アジア人はアジア人同士結構仲良くやっている。
最近、流行りのアジア系スーパーは中国、日本、韓国、東南アジアのごった煮で、何でも手に入る。
日本のお菓子の本物とそのパクリが並んで売られていて、生き抜く力を感じる。あはは。余裕っす。
また脱線してしまった。日本のお惣菜コーナーだと、コロッケとか、煮っころがしとか、筑前煮とか、マカロニサラダとか、父ちゃんの大好物のメンチカツなんかが売っているけれど、フランスはお惣菜文化が半端なくて、アジア系、インド系、中東系、アフリカ系、イタリア&スペイン系、などのほかに、フレンチのお惣菜がどどーんと扱われてて、とにかく、見ているだけでも楽しい。
ぼくは。生ハム、ローストビーフ、パテとか、リエットとか、パイ包みとか、ちょっと自分で作るには手間がかかるものなんかを選んで買っている。
もちろん、お店によって味も内容も差があるので、生ハムならこの店、パテならばあの店と言う風に決めて、目的にあわせてスーパーを変えている。
けれども、ぜんぜん、買わなくても、覗いているだけで、夕飯の参考になる。自分で作った方が安い場合もあるからね。
在仏19年なので、もう、だいたいのものは自分で作れるようになった。
でも、それはスーパーのお惣菜屋さんから教わったことが大きい。思えばお惣菜コーナーはぼくの「フレンチ料理教室の最初の先生であった。
どこのスーパーも本当に開いていてくれるだけ、ありがたいのだ。ああ、腹減った。
ところで、とあるアジア系スーパーでは、おにぎりが冷凍で売られていたのだ!!!!!!!!!
解凍した海苔の味が想像できない。