JINSEI STORIES

滞仏日記「2021年度辻家、おせち大公開」 Posted on 2021/01/01 辻 仁成 作家 パリ

某月某日、初夢なのかどうかわからないけれど、穏やかな夢を見た。
美しい浜辺で、誰とかわからないけど写真を撮影したりしていた。
物語的には、何かの番組収録のためにそこにいるのだけど、だんだんそんなことはどうも出よくなってくる展開で、最後は海の中に入った。
よく覚えているのは亀がぼくに向かってきて、避けようと思ったら足の間を潜りぬけていった、場面、なんでか、わすれられない。普通の亀だけど、大きかった。



多分辻史の中で、亀が夢に出てきたのは初めてかもしれない。浦島太郎?
珍しく、夢の中に、ぼくの知ってる人は誰一人出てこず、もちろん、息子もいない。
知らない人たちに囲まれてはいたのだけど、いったいどんなメッセージがあるのだろう。
二日目に見るのが初夢というけれど、元旦になり、しかも明け方に寝たので、今年最初に見た夢であることは間違いない。
あ、そういえば、眠れないので夜中にキッチンに行くと、電気が点いてないのに、室内が明るく、変だな、と思って窓辺に行くとお月様が煌々と輝いており、なんか、上下に凄い光りをツルギのように放っていて、あわてて携帯で撮影をしたら、やっぱりその光りが映っていた。
いったいこれは何を意味する光りなんだろう、と思ったけど、思わず手をあわせて、コロナから人類を守ってください、と呟いていた。

滞仏日記「2021年度辻家、おせち大公開」



実は今月いっぱいで「後厄」が抜ける。
そのせいだろうか、朝起きたら、何か世界が違ってる気がした。
実際、違っていた。すがすがしいのだ。
新しい年をよくしようという気持ちの表れかもしれなかった。
そのまま、予定していた揚げ物など残りの料理をして、お重に料理をつめていった。
二人分にしてはちょっと多いけど、三が日はのんびりするつもりなので、ま、いいだろう。少ないよりは多い方が、…。
とはいえ、息子は大きいので、明日の昼には完食間違いない。いや、マジで。
最低でも今日は料理はしないで済む。不意のお客さんが年始の挨拶に来るかもしれないし、(ないと思うけど)、一応、新年を美しくスタートさせる準備は整った。

滞仏日記「2021年度辻家、おせち大公開」

※海老、ゴボウ、黒豆、小魚、出汁巻き、なます、蓮根のきんぴら、いんげんの鴨巻き、栗きんとん風、トリュフ入りチーズ!

滞仏日記「2021年度辻家、おせち大公開」

※、ローストビーフ、本場筑前煮、唐揚げ、お野菜のクリームパスタ!



おせちを並べながら、ぼくは今年の抱負を決めた。
1、 まずは今年こそフランス語をペラペラにしてみせる。
2、 自分史に残る名作小説を書き上げる。
3、 ギタリスト、ボーカリストとして飛躍する。
4、 笑顔を絶やさず、穏やかに生きる。
5、 出た腹を引っ込め、いつまでもスリムでセクシーな紳士を目指す。
この5つの目標を掲げてみた。これを心に誓いながら、今年一年を頑張ってみたい。

滞仏日記「2021年度辻家、おせち大公開」

お雑煮は白みそです。博多では、白みそなの。

滞仏日記「2021年度辻家、おせち大公開」



自分流×帝京大学
地球カレッジ