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息子のための料理教室「スモークサーモンとほうれん草のパスタ」 Posted on 2020/11/10 辻 仁成 作家 パリ

君が一人暮らしをしたら、まず、間違いなく一番作ることが多くなるのが、パスタ料理だろうね。辻家で一番使われているのが太麺で歯ごたえのしっかりとしたバリラ(Barilla)社の「スパゲットーニ」だ。でも、覚えてるかな? 君が小さい頃は細麺のディ・チェコ(DE CECCO)社のフェデリーニが多かった。日本のイタリアンレストランでよく出るのがフェデリーニなんだけど、フランスで探すのが大変。好みの問題だね。パパはスパゲットーニを一番使う。

息子のための料理教室「スモークサーモンとほうれん草のパスタ」



袋にCOTTURA 11 MINUTI とあれば11分の茹で時間を意味するみたいね。COTTURAとは「調理」「料理」を意味するイタリア語。まあ、調理にこのくらい時間かかるよね、ということだ。で、君が好きなアルデンテにしたければ、それより短い時間でということになる。フェデリーニは6分の茹で時間と表記されているけど、パパが好きなのは3分45秒ジャストなんだ。こだわりのアルデンテ!君は3分45秒ジャストのフェデリーニを食べて大きくなった。覚えとくといい。自分の好きな茹で時間を探すのがパスタを制する一番の早道だと思うな。



で、今日は、クリーム系パスタの王道中の王道、スモークサーモンとほうれん草のパスタの作り方を学ぼうか。クリーム系のパスタは、ソースにパスタを和えて完成させる、と思っとけばいいよ。絡めるんだよ、人間関係みたいに、笑。簡単だし、茹であがった状態のパスタの持ち味を壊さないので、好きな料理法でもある。



まず、ほうれん草を数十秒茹で、サッと茹でたら、水でさらし、適当なサイズにカットして、水気をしっかりととって、脇に置いておく。そしたら、いつものように、ニンニクを潰してだな、フライパンの中心において、オリーブオイルを多めに回し掛けして、弱火にかける。細かいことは気にしないでいいけど、ニンニクを中心に回し掛けしていき、水たまりが出来る感じ、くらいに思っとけ。弱火でニンニクの香りがオイルに移るのを待つ。ニンニクの色が微かに変化してきたら、いいんんじゃな~い? 



地球カレッジ

市販のスモークサーモンは大き目にカットして、ぶち込む。これは鮭でもいいけど、仕上がりが全然違うから、できればスモークサーモンでやろう。ほうれん草も同時に入れてしまおう。スモークサーモンはあまり火を入れたくないから、とにかく、ここはスピーディにやる。生クリーム、サワークリーム、白ワイン、めんつゆをいれて、塩胡椒をし、味を調えたら、クリームの完成だ。

息子のための料理教室「スモークサーモンとほうれん草のパスタ」



大事なのはこの時に麺が茹で上がってないといけないので、時間調整をして、逆算して、同タイミングで茹であがるように持っていけるといいんだけどね。頭の中で、完成までの手順を思い描きながら、同時進行をさせる。でも、最初からは難しいので、どっちが優先かと言えば、麺だから、ソースを先に作っておこうか。パスタは待たせちゃダメだから、先にクリームソースを作って、超弱火で保温して待機させとけ。

息子のための料理教室「スモークサーモンとほうれん草のパスタ」



茹で上がった麺をクリームソースに入れて急いであえる。この時、ゆで汁を大匙2程度入れると乳化して、もちもち感が足されるから、美味しくなるよ。黒胡椒が抜群の風味を出すので、最後に好きなだけふって、ほら、完成だ! これがね、スモークサーモンの燻製感とサワークリームの酸味とほうれん草の大地の味が混ざり合ってだな、最高なんだよ。
「どう? 最高だろ?」
「うん、わかった、早く食べようよ。今でしょ? 食べるの?」
「その通り」

息子のための料理教室「スモークサーモンとほうれん草のパスタ」

材料、4人分
スパゲッティ、250g
スモークサーモン、150g
ほうれん草、ふた束くらい(お好きなだけ)
生クリーム、30ml
サワークリーム、70g
白ワイン、100ml
ニンニク、ひとかけ
バター、10g
オリーブオイル、適量
めんつゆ、大匙1
塩胡椒、少々
黒胡椒、少々

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