JINSEI STORIES
ポルトガルごはん日記「ポルトで一番庶民的な料理、フランセジーニャに衝撃受ける」 Posted on 2024/12/22
某月某日、明け方、新作小説のヒントが頭に降りてきた。
がばっと起きて、携帯を探し、録音機能ON、忘れないうちにアイデアを言葉にしておいた。
それからまた寝て、起きて再生をしたら、何を言っているのか、さっぱりわかなかった。
よくある話であーる。
さて、ポルトガル第二の都市、ポルトでもっとも有名な地元飯は何か、とホテルの人たちにインタビューをしたところ、全員口をそろえて、「フランセニージャ」というではないか。
訊いたこともない料理だったので、それはどこで食べられるのか、どんな料理なのか!
ともかく、食べないわけにはいかない、ということで、昼時に出発した。
目指せ、フランセニージャ!
たしかに、どこのカフェやレストランも、この料理の写真が飾られている。ほぼ、すべてのレストランで、出しているではないか、というくらいの地元飯なのである。
期待が膨らんだ。
とりあえず、どんな料理か知りたい皆さんに、写真で解説を、・・・こういう料理なのだ。
ネットで調べたところ、フランスあたりからやってきたダニエルという人物が、ポルトガル人の胃袋を満たすために、フランスのクロックマダムを改良して、作った、というのが、わかった。ダニエル・・・。
1953年に、ダニエルが、レストラン「ア・レガレイラ」でこのサンドイッチを考案して、出したのが、すべての始まりなのだそうだ。
瞬く間に、ポルトガル人の胃袋と心を掴んで大ヒット、今や、そこら中の店の看板料理がフランセニージャとなっている。
でも、店ごとに味が違うらしく、誰に訊いても「ここが一番」の店が異なる。
いつも、朝食をサーブしてくれる顔なじみのマダムの忠告を信じて、今回は、カフェ・サンチャゴへと出向くことになった。
いろいろなフランセニージャが存在するようだが、ハム、ステーキ、ローストポーク、ポルトガル風ソーセージ(リングイーサ)などを食パンで挟み、とろけるチーズをドバッと上から大量にかけ、その上に、ビールを主原料としたスパイシーなソースをかけ、さらに、半熟の目玉焼きを載せている、巨大な四角いサンドで、さらに周辺にフリットが大量に敷き詰めらておる。
見た目が、やばすぎた。
しかも、ソースをすった、周辺のフリットが柔らかくなって、もはや、おじやのような感じになっており、これがポルトの名物か、と驚くばかりであった。
※ フランセニージャと一緒に飲んでいるのが、ポルトガルの国民的ビール、スーパーボック。アサヒのスーパードライをもうちょっと苦くしたような味わい。美味しかったです。みんな、これを飲んで、フランセニージャを食べています。ちなみに、こちらのマダムが食べているものは、卵が載ってない。つまり、クロックムッシュというわけです。これに、目玉焼きがつくと、クロックマダム版のフランセニージャになります。
ぼくが行った、カフェ・サンチャゴでは、お客さんがほぼ全員、このフランセニージャを食べていた。
ぼくもトライしたが、とても食べきれる量ではなかった。
なのに、近くにいたマダムはぺろっと食べきっていたので、たしかに、ポルトガル人の胃袋をダニエルはよく研究し尽くして作ったというのが、わかった。
ポルトガル、おそるべし。
ナイフとフォークで、断面図を撮影しようと頑張ったが、何層にも肉類が敷き詰められており、もう、この段階で、ギブアップだった。
若者には、ちょうどいいかもしれない。
65歳の初期高齢者には、つらいものがあった。
でも、なるほど、ビールのソース、味は悪くない・・・。
値段は約12ユーロ。(中身によります)
そのかわり、350円くらいで食べられる、CALDO VERDO(2,4ユーロ)というスープが最高に胃に優しかった。
こちらは、完食!
ポタージュなのだけれど、中に、緑の千切り葉っぱが入っている。
隣のマダムに、これなんですか、と訊いたら、「緑のスープ」よ、と教えてくれた。
ああ、これが有名なあのポルトガルにおけるみそ汁的存在のスープか、ということで、ネットで調べたら、青いのはポルトガルのキャベツ(ケールの一種)、らしいのだけれど、味は、明らかにキャベツでも、ケールでもない。
どうしても、これを作って食べたい、と思った、父ちゃん。
ポルトガル語を駆使して(正確には検索機で調べて)、隣のマダムに食い下がった。
「あなた、どこから来たの?」
「フランスです。家に帰ったら、作りたいんです」
「フランスでは売ってないわよ。この野菜」
「キャベツですか?」
「ま、そうね。でも、クーブ・ガレが、というの。市場に行きなさい。売っているから」
というのである。
これはなんとしたことだろう、ぼくはまだ、市場に行ってなかったことに気が付いた。
今日は、このあと、書店の人に会わないとならないので、明日の朝、一番で、マルシェに行かなきゃ、と反省をした。
いつもだったら、まず、マルシェからスタートする旅のはじまりだったが、今回は、そこを飛ばしてしまっていたのだ。
よし、明日こそ、市場に行こう!
このキャベツと言われている緑の野菜の正体を見極めるために。
ポルトガル、第二の都市、ポルトのスターバックス! (裏口でした。あとで、わかるのだけれど・・・)
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
正直に言うと、風景や風土はすごい心に響く美しい町並みなのですが、食べ物は、かなりヘビーで、大盛り、胃袋があともう一つ足りない感じです。ポルトガルのスープが今のところ、一番好きですね。カルド・ベルド、いわゆるポタージュですね。たぶん、ジャガイモと玉ねぎだと思うのですが、最後に、あの緑のクーブ・ガレガを入れるわけです。パリでも買えるのでしょうか? 夜を彷徨う、ロマンシエ。