JINSEI STORIES
フランスごはん日記「インテリアショップで、フランスらしい暮らしについて考える、ロック画家」 Posted on 2024/11/06 辻 仁成 作家 パリ
某月某日、ツジビルのラジオが終わった後、さんちゃんをスタッフに預けて、パリ中心部のインテリアショップに出かけた、父ちゃん画伯。
田舎にアトリエを制作中だからね、かっこよくしたいじゃんね。
壁のペンキはモスグリーンにすることが決定したが、画家のアトリエらしく、笑、いろいろインテリアを工夫したいと思って、でも、残念なことにあまり予算がないので、自分で作ったり(ペンキは自分で塗れば、ペンキ代しかかからない)、安いけれど掘り出し物を見つけて、雰囲気を醸し出したいと思った。
将来、父ちゃんのドキュメンタリー映画の依頼がフランステレビジョンとかBBCから来るかもしれないので、ピカソや、ダリのアトリエに負けないような、外に出しても恥ずかしくないアトリエがいいもんね~、
ふふふ。
一つは、油絵具が手につくので、それを洗う場所・・・。なんというのだろう、洗面台かな。なるべく、場所をとらないコンパクトなものがいい。
あと、出来れば、その時、顔に油絵具がついてないか、チェックしないといけないので、壁に取り付け型の鏡があるといいな、と思って、イイのを見つけた。ナルシストだからね、鏡はマスト。
でも、いろいろと悩んで、買わなかった。
買うならば、ネットの方が、安いし、ノルマンディまで運んでもらえるので、だよね? 今回は、現物チェックをした、だけ。あはは。
※ 壁に取り付けるタイプ、いいよね。場所をとらない小ささ。毎日、手を洗う、筆を洗う、衣服についた油を洗う。こういうの、必要なのだ。
洗濯機を置くスペースもあるので、小型のを一つ買わないとならない。
※ コンパクトな鏡、これも、いいよね。メーカーと品番をメモッた。
で、ちょっと帰りに、またまた、カッパさんに会いに行った。
このカッパさん、他人とは思えないのだ。口から、日本盛りが出てくるのだけれど、出過ぎない。ちょうどいい、デザイン。日本に戻ったような、落ち着く場所なのである。
そして、最近、めっちゃはまっているのが、ここの「チラシ寿司」なのだ。
銀座とかで食べたら、めっちゃ高いのだろうが、ここのは、かなりお得で、でんぶ、たくわん、ダシの染みたシイタケなどが、実は、刺身の下に隠れているのだ。
ウニが入ってないのが、残念だけれど、パリでこのレベルの寿司が食べられるのだから、文句はない。フランスは、日本ほど魚が豊富じゃないので、これだけの魚を集めて、ちゃんと味を調える大将の腕前、感服なのだ。
とにかく、一つ一つの魚が、美味い。マグロも中トロが入っていた。え、当たり前って? フランスですよ。その辺のSUSHI屋に行くととんでもないマグロが出てくるので、ほんもの、が食べられて、毎回、感動。
サバ、サーモン、鯛、すずき、鯵、蛸、エビ、などの刺身の下に、いろいろと隠されているのだけれど、しゃりがね、ここのは、マジで、美味かった。
場所は、うちに近い。サンジェルマン・デ・プレのど真ん中。大将がね、近づき難いオーラが出ているから、いまだ、話したことはない。
でも、近づけない感じも、いいね。
そっと、静かに、チラシをつまんで、日本盛りを飲んで、いい気分になる。
寿司もあるんだけれど、チラシが美味い。シャリが、秘密なんだと思うが、このシャリは、シャリだけで食べて、日本酒で胃に流し込むのが、父ちゃん流。
ほんとうは、フラー・ド・セルで、刺身は刺身で食べたいんだけれど、大将がこわもてだから、言い出せないで、我慢している。
ぼくは、馴染みの蕎麦屋に行くと、フラー・ド・セル(塩の華)が出てくる。
蕎麦はまず、生で味見し、それから塩をつけて喰い、そのあと、日本酒をかけて、食べる。
タレは、まずい蕎麦にはかけるけれど、いい蕎麦の本当の味を大豆が殺しちゃうので、使わない主義。
で、寿司も、寿司屋で、むらさきが出るけれど、小皿に、数滴垂らす程度。基本、魚がうまければ、塩をぱらっとかけて、食べる主義。
昔、銀座のとある寿司屋で、お塩を持参して、寿司を食べていたら、怖い住職のような店主がやって来て、にらまれ、えらい、と褒められたことがあった。
蕎麦屋で日本酒に蕎麦をつけて、食べていたら、正しい、と褒められた。
蕎麦の香り、寿司の鮮度、デリケートだかね、醤油は大豆感が強すぎて、本来の良さを殺しかねないので、最初から使わない。使うのは、後半に、味変程度・・・。笑。
とはいえ、醤油は大好きで、身体にもいいから、無添加の醤油、使ってますよ。
※ 今度はいつ会えるかな、カッパちゃん。
ということで、あとは、絵を描いていた。
今日は、朝の4時から、描いた。
来年の個展用の絵だけれど、いいのが出来つつある。自信が深まって来た。
でも、誤解しないでほしい。
別に絵描きで名をはせたいわけじゃない。もう、年だし、いまさら、人間関係とか権利関係で、もめたくはない。もうそういうの、どうでもいいね。
ただ、何かしてないと、頭が破裂しちゃうから、創作の仕事がちょうどいい。
どんどん、あふれてくるから、叩きつけたい、キャンバスに。
小説よりいいのは、まず、色、光、感性が先に必要だから、今のぼくにはちょうどいい。
ノルマンディの山奥で、窓から見える牧場をじっと見つめながら、この宇宙の創生を描いていきたい。
人知れず、どんどん、描いていく。
今日、描いた絵は、マジで、いいんだけれど、みんなに見て貰える時が楽しみでしょうがないね。
※ 苦労がたえないから、白髪が増えた。染めてないので、目立ってきた。ま、もう、若くないから、これくらい仕方ないね。ロマンスグレーに憧れているので、時を待つ。ロマンスグレーになったら、恋でもしようじゃないか!!!
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
ええと、YouTubeに、引退ファイナルコンサートの映像、宣伝~PVですが、出ました。一曲目の登場のシーンが、3分ほど、えへへ、よければ、ちらっと御覧ください。
☟
https://m.youtube.com/watch?v=VZY8tMNALP8
あと、父ちゃん作の「NEHAN」が現在、以下で、御覧にいただけます。
辻仁成 展
-Les Invisibles NEHAN-
主催 帝京大学総合博物館
対象者 どなたでもご覧いただけます。(事前のお申込は必要ありません)
入場無料です。
会場 帝京大学総合博物館ミュージアムプラザ(帝京大学八王子キャンパス ソラティオスクエア地下1階)
会期 2024年10月18日(金)~12月23日(月)
開館時間 9:00~17:00(最終入館は16:30)
閉館日 日曜日・祝日
臨時開館日 10月27日(日):青舎祭(大学祭)実施日(一般来館可)
臨時休館日 12月14日(土)
備考
・大学構内には駐車場がございません。公共交通機関をご利用ください。
・高幡不動駅・聖蹟桜ヶ丘駅・多摩センター駅から「帝京大学構内」行きのバスが便利です。(所要時間15~20分)
・車いすでご来館予定の方は事前にご連絡ください