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リサイクル日記「フランス人が大好き、夕刻から夜にっかけてのアペロ・タイム」 Posted on 2022/08/24 辻 仁成 作家 パリ

フランスには、プチ・デジュネ(朝食)、デジュネ(ランチ)、グテ(ティータイム)、アペロ(食前酒、アペリティフの略)、ディネ(ディナー)と、5つの”美味しい時間”があります。

友達と約束をする時も、お互いの時間の都合と相談しながらこれらの選択肢からどの時間帯にするかを決めます。
朝食なら8時半から9時、デジュネなら12時半、ティータイムなら15時、アペロなら18時、ディナー20時、といった感じ。
ランチかディナーであれば、2時間くらいゆっくりと。その他だと、だいたい1時間くらいで近況報告や用件を話して終わるという感じでしょうか。
その中でも、実にフランス的なのが、「アペロ」と呼ばれる夕方から夕食までの間の、軽いつまみタイム!!!
アペロが楽しみで、毎日、頑張っているフランス人もめっちゃ多いですし、アペロがそのまま続きで夕食(ディネ)までひっぱちゃって終わらせることを、アペロ・ディナトワールと言いまして、これも、結構、多いです。
かくいう、ぼくも、仲間たちと夕方くらいになると、そのまま、だらだら、アペロ・ディナトワールで過ごすということが多くなりました。
え? 息子ですか?
適当に、彼は彼で、冷蔵庫を漁って、楽しんでおります。それぞれ、人生を楽しむ、それがフランス流かもしれません。

リサイクル日記「フランス人が大好き、夕刻から夜にっかけてのアペロ・タイム」

※こちらは南仏の友人ダヴィッド宅で、だされたムールのおつまみ!!! 最高でした。



夏が近づき気候が良くなってくると「アペロ」の率が高くなりますが、これは夏に限らず、一年中、アペロ・タイムは盛り上がります。
一人でもやりますけど、だいたい、仲間たちと、集まって、ちょっとつまみながら飲む、という感じ。
これがスペインに行くと、タパスで、タパをつまんで飲む、という感じですね。あれは、最高ですけど、太ります。
あんなにつまんでも、夜22時くらいから、スペイン人は夕飯もたっぱり食べますからね・・・。
羨ましい人生です。
フランス人はつまんで、終わり、という人も結構多いかな・・・。ぼくなんか、独り者はだいたい、そうやって、終えることが多いかもしれないです。

仕事帰りにカフェや公園で待ち合わせて一杯。
ママ友やパパ友を呼び出して一杯。
一日の中で、一番、気分が楽になるタイミングです。
コロナで外出制限が明けた直後も、たくさんのフランス人がワインやビールを買い込んで芝生でアペロを楽しんでいました。
公園や、広場で、晴れた日に、アペロをやっている人が多いです。
楽しい人生を探すのが、フランス人の得意技です。
うちの近所の公園には、毎週末、近所のおじさんたちが、アペロ屋台みたいなものを設置して、かなり本格的なアペロ・ディナトワールをやっています。

リサイクル日記「フランス人が大好き、夕刻から夜にっかけてのアペロ・タイム」

リサイクル日記「フランス人が大好き、夕刻から夜にっかけてのアペロ・タイム」

リサイクル日記「フランス人が大好き、夕刻から夜にっかけてのアペロ・タイム」

アペロはポテトチップスと飲み物さえあれば成り立ちますので、友達同士気軽に集まる口実に最適なのです。

「アペロ・ディナトワー」、ディナーのようにテーブルについてしっかり食事をするのではなく、アペロの時間帯である18時頃から集まり、食べ物も少し並べアペロとディナーの間という感じ。
ディナーだと夜中まで飲んで食べてが続きますが、アペロ・ディナトワーだと、だいたい22時にはお開きになります。小さい子供のいる家庭同士や、翌日仕事がある場合にも楽しめる方法なのです。
いいっすよねーーー。

リサイクル日記「フランス人が大好き、夕刻から夜にっかけてのアペロ・タイム」

そんな、”アペロ”や”アペロ・ディナトワー”の一品として重宝するのが「ラディ・ブール」。
一度、dancyuでご紹介したところ、かなりの反響があり、そういう食べ方があったのか、と皆さんに喜んでもらえましたが、フランスではみんな昔からやっているおつまみ。
ラディッシュにバターって、ちょっと日本人的には、悩ましい、ところですが、これが冷えた白ワインに最高なんです!!!

「ラディ・ブール」はアペロの定番選手で、ラディッシュ(二十日大根)に美味しいバターと美味しい塩をパラパラっとかけていただくというもの。
ラディッシュが持つほのかな辛味をバターのまろやかさが包み込み、いくらでも食べられてしまう・・・。
よくトーストしたカンパーニュ風のパンとの相性も良く、見た目もかわいい一品です。よく洗ったラディッシュを並べ、バターを添えるだけでも十分。
フランス人はこのラディ・ブールが本当に大好きで、フランス人の集まりに出かけると、みんなラディッシュをボリボリ食べながら熱弁しています。
あと、クロックムッシュを細かくカットしたもの、生ハムメロン、ドライソーセージ、チーズ各種、あ、オリーブとか、パテなんかも、とにかく、いろいろ・・
これが楽しいのです。

ぜひ、この週末、奥様と、あるいは旦那さんと、恋人やお仲間と、つまみながら飲んで笑いあうアペロをお楽しみください。
人生、楽しんだものが、楽しい一生を手に入れやすい、ものです。
ボナペティ!!!

リサイクル日記「フランス人が大好き、夕刻から夜にっかけてのアペロ・タイム」



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