JINSEI STORIES
フランスごはん日記「あの男が飲みにやってきた。12月忘年会シーズンスタートじゃ」 Posted on 2024/12/06
某月某日、とにかく、うどん屋の呑もちゃん(野本氏)が忘年会しに、事務所にやってきたから、もう、大変なのであった。あはは。
あの男はすでに酒臭く、(昼間は娘さんの誕生日会だったらしい)、あいかわらず呂律回らず、何を言いたいのか、誰も、わからない。
「ほら、あれ、ほら、だから、あの、ええと、そやなー」
と本題になかなか入らないから、身構えて待っているだけ、無駄。
そこに、業者の人から電話がかかってきた。電話、出来るんかい、と興味津々。
「あ、あ、蟹はいらん。蟹、いらん。だから、ほら、和牛」
先方が一生懸命食材を売り込もうとしているのだが、声が大きすぎるし、あの、と、ほら、しか言わないから、要領を得ない。業者さんの心中、お察しします。
それでも売らないとならないから、向こうも必死で、蟹がおいしいです、みたいなことを一生懸命訴えている。声が携帯から漏れて、それを聞かされる当事務所の面々。
「蟹、か、蟹は、脚が何本?」
いきなり、蟹の脚の数を訊いた。え? なんで?
「だから、ほら、蟹は、脚でしょ、食べるの、脚!」
説明する業者さん。
「あああ、なら、ひとつ、貰おうか。だから、ほら、いらんけど、一つ、貰おうか。長い付き合いやから、買う」
どっちやねん、と訊いていて、ハラハラする展開が、・・・。
相手は真面目な業者さん、涙ぐましいくらい、この言語崩壊男を必死で説得している。
その様子を、みんな、笑い堪えながら、訊いている。
野本待ち・・・。酔っぱらっていても、仕事はする、男。
「だから、ほら、あれ、あれと、それと、あれがええ、あれ、わかるか?」
わからんと思う。
でも、わけのわからない電話が切れて、一息、
「今の、オランダの食材屋さんやねん。年末やから」
「ああ、みんな大変やね」
「あ、あ、あ、そうや、ひとなり、絵のぜに、まだ払ってなかった。ぜに、今はないから、今度、請求書、ちょうだい」
とっくに送っていると思うが、こんな人間やから、わかった、と言っておいた。
ちゃんと、支払いしてないこと、覚えているんだけ、すごいな、と思った、父ちゃん。
「いつでもええよ。お金ある時で」
「金ない。今は、不景気だから」
ポケットから、ワインのボトル取り出し、ぼんと、置いた。
じぶれー・しゃんべるたん、しかも、デュガさんのしゃんべるたんだった。☜いいワインです。ブルゴーニュの。笑。さすが、野本、自分が飲む分は持ってくる。
※ とにかく、野本が来ると、三四郎が落ち着かなくなる、野本から離れなくなる。興奮して、尻尾振りまくる。きっと、悪い人間じゃないんだろうね。あはは。
ま、今日も、呑もちゃんの一人舞台となった。
話しの本題になかなかたどり着かないので、ぼくは最初から聞かないようにしている。
そこにいればいい、くらいの友だち。
でも、いないと寂しい。いると意味がわかない。どっちやねん。
当事務所の構築担当、一本千野郎のやなさんが、野本さんの話にいちいち頷き、付き合うものだから、呑もちゃん調子に乗って、終わらない。
ワインを何本か飲んだが、野本の話の内容を覚えている者は、誰もいなかった。
ただ、途中で、珍しく、演劇のようなことをやりだした。
何がきっかけだったか、わからないが、いろいろな顔をしはじめたのだ。
泣き顔、怒り貌、笑い貌、・・・俳優の要素あり。
これは、受けた。
話しが通じない男だが、百面相は、なかなか、見ごたえあった。
誰かに似ている、と思った。
あ、ムーンライダースの鈴木慶一さんである。
みんなで、ネットで鈴木さんを検索し、比較したが、おおお、似ている。
「え、似てる? おれはいつも、豊悦に似てるって、言われるんだけどなー」
そういう主張だけ、つっかからずに、最後まで言えちゃう、うどん屋の主人であった。
※ どうでもええけど、この百面相、?、芝居、?、ひたすら、面白かった。役者できそうだね。みんな、動画で、撮影しておりました。
ということで、ごはんは、今半で食べた「ふわたまごはん」を再現したく、焼き肉を食べた後の残り汁に卵をいっぱいおとして、それをご飯にかけて、食した忘年会であった。
ぼくも珍しく酔っていたので、美味しいご飯の写真は撮れませんでした。あはは。
その後、夜のパリに飲みに出かけたところを、やなさんに、フライデーされました。ちゃんちゃん。
「ほら、もう一軒いくぞー。ひ、ひとなり、あっちだ。あっちに酒の匂いがするー」
※ ちゃんとタクシーに乗せて、奥さんのもとへ返しましたので、ご安心ください。忘年会、大変忙しい一年でございました。
つづく。
今日も読んでくれてありがとうございます。
ま、日本人の友だち、この人くらいしかいないので、忘年会も、これが最初で最後だと思います。皆さんも、アルコール、ほどほどに・・・。