2024年末、パリを訪れる女性旅行者にとって心強いサービスが始まる。パリでスタンダードになりつつあるタクシー配車アプリ、「Uber」と「Bolt」で女性専用車が選べるようになったのだ。
このサービスは、女性が安心して移動できる環境を整えることを目的としており、地元住民だけでなく、観光客にとっても大きな利便性をもたらすと期待されている。
 

 
パリは世界有数の観光地である一方、夜間や人通りの少ないエリアでは、日本と比べて安全面に大きな不安が残る。とくに女性の一人旅においては、地下鉄やタクシーの利用にためらいを覚える人も少なくない。女性専用タクシーの導入は、こうした声を受けてのことだった。

11月28日から導入をはじめたUberでは、アプリ内で簡単に女性専用車を指定できる仕組みになっている。ドライバーも女性限定で、全員が「利用者の安心感を高める」ための特別なトレーニングを受けているという。
現在はすでに1,500人の女性ドライバーが登録済みだが、このオプションを男性が選択した場合、ドライバーには乗車をキャンセルする権利が与えられている。
※もう一つの配車アプリ、Boltは年内のスタートを予定。

利用方法はこうだ。女性専用車を利用するには、「Uber」または「Bolt」のアプリをスマートフォンにダウンロードしておく必要がある。
アプリを開くと、目的地を入力する際に利用車種の選択画面が表示される。その中から「女性専用」を選択すればもうOK。追加料金は発生しない。ただし、通常３〜４分の待ち時間が、15〜20分程度に延びる可能性があるという（シャルルドゴール空港付近ではそれ以上になるかもしれない）。
 

 
パリですでに活躍している女性ドライバーたちは、同性の利用者から「女性が運転しているとほっとする」という声を数えきれないほど耳にしているそうだ。タクシーに限らず、道端でも“言葉のハラスメント”を受けることがある。こうした不快な経験を減らすためにも、今回のサービスは大いに役立つだろう。

とりわけお勧めしたいのは、深夜の移動やディナーの後、ショッピングやお土産で荷物が増えたとき。ドライバーが女性というだけで、同性ならではの安心感が生まれ、移動中の不安を和らげてくれる。さらに、フレンドリーなドライバーがパリのおすすめスポットや観光情報を教えてくれることもある。在住者にとっては通院や子どもの送迎時など、特別なシーンで役立ちそうだ。
 

 
同様の制度はポーランドやチェコ共和国など、他の国々でも導入がすすんでいる。今回の女性専用タクシーは、利用者とドライバー双方の安全を守るだけでなく、女性の職業選択を支援する一助にもなるだろう。（コ）