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欧州最新情報「世界に届け、平和への願い。スペイン・バルセロナのデモで出会った人たち」 Posted on 2022/03/01 Design Stories  

 
ロシアがウクライナに軍事侵攻を行った2月24日からスペインの都市では、戦争反対のデモが行われてきた。
初めて迎える週末にあたる2月26,27日は最も大規模な集会となった。
 

欧州最新情報「世界に届け、平和への願い。スペイン・バルセロナのデモで出会った人たち」



 
首都マドリッドでは約4万人、バルセロナのカタルーニャ広場には約700人が集まり、ロシアのウクライナ侵攻を糾弾し、平和を求めた。
カタルーニャ広場では土曜日の昼からのマラソンデモで、広場にテントを張って夜間も抗議を続行する者も多い。
日曜日からはハンガーストライキも始まった。
 

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カタルーニャ広場にほど近いウニベルシタ広場で土曜日に行われたデモにはプーチン政権に反対するバルセロナ在住ロシア人が多く集まり、ウクライナ人ロシア人が口々にプーチン大統領の専制政治を批判し、軍事行動の即時中止を訴えた。
 

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このときにたまたま隣に立っていた男性はロシア出身だが親戚が多数ウクライナに住んでいるとのこと。
プーチン政権とこの戦争に強く反対している。
ロシアを離れたのは8年前、バルセロナ在住2年半だと語ってくれた。
自国に住んでいるときにはあまり政治に興味を持っていなかったそうだが、欧州に住み始めて多くの情報に触れるようになり、ロシア政権を批判する立場になったという。
このデモに参加しているロシア人の多くの手には「ロシア≠プーチン」と書いてあるプラカードが掲げられていた。
 

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ディミトリという名のこのロシア人男性は、やはりそこに居合わせたナイジェリア人男性と私のために、ロシア語やウクライナ語の訴えを英語に訳してくれた。
スピーチをしたり、このデモをオーガナイズしたロシア人の人たちを見やりながら「彼らは自分の身に降りかかるかもしれないリスクを冒してここにいる」と添えた。
 

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ナイジェリア人が去ったあと、彼は「私は日本語を勉強しています」とはっきり分かりやすい日本語で私に言った。
私はびっくりして「なぜ?」と聞いた。
「日本が好きで日本に行ってみたいのです。来年くらい行きたいと思っていましたが、昨日日本政府はロシア人への入国ビザ発給を停止しました。当分行けそうにありません。」ロシアにも来週行く用事があったそうだが、もちろんそれもキャンセルせざるを得ない状況になった。
こちらも当分戻れそうにないとのこと。
バルセロナでビジネスを営むディミトリはこの先いろんな国から拒絶されるかも、との不安を打ち明けながらも「欧州はロシアのSWIFT(国際的決済網)排除を行うべきだ」と断言した。
 

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日曜日のデモでは偶然バルセロナ在住ウクライナ人の友人オーリヤに会った。
彼女は私と一緒に歩きながらも、時々ふらりと同胞人に話しかけにまわる。
何をしているのか聞くと「私の両親はポーランド国境近くの町、リヴィウに住んでいるの。誰か安全な避難場所を探している親戚や家族がウクライナにいたら家を提供しようと思って。」もう悲しくても涙が出なくなってしまった、というオーリヤは時々、心ここにあらずという表情になる。
「もう頭の中がいっぱいで目の前のことに集中できなくなるの。ごめんね。」それでもふらふらと面識のないウクライナ人に話しかけ、家族友人は安全な場所にいるのか聞いて回るのは止めなかった。
 

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日曜の夜になって欧州はさらなる制裁措置を発表した。
世界の世論が、踏み出せないでいた各国リーダーたちの決心を促したようにも受け取られている。
バルセロナのカタルーニャ広場では今日もデモが続く。
平和が訪れ、広場のテントが撤収され、皆が自分の家で安心して眠れる日が来ることを切に願う。(林)
 

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