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パリ最新情報「パリ産のワインはどんな味? モンマルトル、ぶどう収穫祭2023」 Posted on 2023/10/17 Design Stories
パリに本格的な秋がやってきた。
そんな秋を彩るイベントの一つに、モンマルトルのぶどう収穫祭(Fête des Vendanges de Montmartre)がある。
このぶどう収穫祭はパリでも唯一のぶどう畑が広がる、モンマルトルの丘で5日間に渡って開催される。
1934年以来、毎年10月の第2週末に行われており、今年で90回目を数える伝統行事だ。
※味わい深い街並みに1556平方メートルのぶどう畑が広がる。
毎年テーマが変わるモンマルトルのぶどう収穫祭。
今年は来年に開催されるパリ五輪にちなんで、「より速く、より高く、より強くーともに」というオリンピックのモットーが掲げられた。
今年の開催期間は10月11日〜15日で、期間中は音楽祭、出店、ぶどう畑ツアー、パレードなど多彩なプログラムが来場客を楽しませる。
※毎年恒例のパレード。民族衣装に身を包んだ国内外50のグループがモンマルトルの街を練り歩いた。
こうして歴史の古い収穫祭だが、1934年から1955年まではワインではなくぶどうのジュースが造られており、地元の芸術家や病院に配られていたという。
※収穫祭ではぶどうの苗木の販売も。
そしてワインの醸造所はなんと、パリ18区の区役所地下にあるそうだ。(今も健在)
役所の地下に醸造所があるのはフランスでも珍しい。
ここでは毎年1000本強のワインが造られていて、販売はモンマルトル美術館のお土産ショップや収穫祭中の出店などで行われる。
なお現在は、9月に採れたばかりだというぶどうの「発酵中」なのだそうだ。
※期間中はモンマルトル産ワインをその場で味わうことができる。
サクレクール寺院のふもとに集まる出店コーナーでは、2022年産のモンマルトルワインも登場していた。
種類は赤ワインとロゼワインの二つで、お値段は赤36ユーロ(約5650円)、ロゼ30ユーロ(約4710円)となる。
実際にモンマルトルの赤ワインを試してみると、ライトな口当たりながらもほんのりとした渋みが。
鼻に抜ける香りには、樽の残り香が感じられた。
地元生産者の方によれば、「モンマルトルのワインにはジビエ料理がぴったり」なのだそうだ。
期間中はフランス国内から約100のワイン生産者が参加するということで、モンマルトルの丘にはワインを愛する大勢のマダム・ムッシューが集まった。
またこの期間、「味覚の道」と呼ばれる頂上付近では、ワインに合うチーズやドライソーセージ、牡蠣、ムール貝のスタンドも多く並ぶ。
さてモンマルトル産ワインの売上は、1946年に亡くなった漫画家フランシスク・プルボの精神に基づき、毎年パリ18区の社会活動に寄付される。
フランシスク・プルボとは地元を代表する漫画家だ。
彼はモンマルトルのストリート・チルドレンの支援に熱心で、長い間この地を見守った人物だという。
このようにモンマルトルは芸術の街でありながら、パリで唯一ワインが製造される街でもある。
芸術とワインが密接に関わっていることが分かるような収穫祭だった。(ち)