欧州最新情報

パリ最新情報「ワクチンを打たないと海外へ行けない時代の到来(?)間近か」 Posted on 2021/01/13 Design Stories  

近い将来、世界を旅するために、従来のパスポートに加え、「健康パスポート」が必要になるかもしれない。
健康パスポートがどういうものか、誰も知らないけれど、多分、コロナのワクチンを接種しています、というある種の証明書になりそうだ。
つまり、ワクチンを接種してないと、飛行機に乗って海外へ(もしくは国内であろうと)、移動することは難しい時代が到来するかもしれないのだ。
健康パスポートの導入が検討されているというこれらのニュースに対して、今、フランスでは、賛否の両論が渦巻いている。

パリ最新情報「ワクチンを打たないと海外へ行けない時代の到来(?)間近か」



パリの空港、ADPグループ(Aéroports de Paris)会長兼CEOのオーギュスタン・ド・ロマネ氏がラジオに出演し、「旅行をする際、ワクチンまたはコロナ陰性などの証明書の提示の導入に向けた動きが進行中であり、この種の証明書が世界的に導入されるだろう」と、語った。
「健康パスポート」の問題は、予防接種を受けていない人の旅行を禁止することに繋がりかねないことからフランス人はこの動きに敵対的だが、会長は「世界が求めているのは効率性であり、より早く以前の生活に戻れるための一手段である」と続けた。

パリ最新情報「ワクチンを打たないと海外へ行けない時代の到来(?)間近か」



今現在フランス人はワクチンに対してかなり消極的で非常に懐疑的でもある。
世界の移動にワクチンが必要となればアンチ・ワクチンのフランス人たちもワクチンを打つしかない。
現在フランスのワクチン接種率はわずかに、0.21%なのである。

それどころか、フランスは現在、ワクチンの数がまったく足りていない。ワクチンを打ちたい人が殺到しても対応できない状況にある。
なので、ワクチンパスポートは現段階で、少なくともフランスでは(日本でも?)現実的ではない。
ワクチン証明か、コロナ陰性証明のどちらかを所持する選択肢があるならば、可能かもしれない。

パリ最新情報「ワクチンを打たないと海外へ行けない時代の到来(?)間近か」



また、海外の移動に限らず、国内でも、レストランや映画館、スポーツジムなどでワクチンパスポートの提示を求めるところが出てくる可能性があるという意見もあり、そんなことになったらワクチンを摂取しない人は何もできなくなってしまう。
旅もできない、映画館にもレストランにも行けない。
これは政府が国民にワクチン摂取を義務にしているようなものだ、と健康パスポート導入への批判が目立った。
国民の22%がワクチンを摂取している世界ワクチン摂取トップのイスラエルでは既にワクチン摂取者に「緑のパスポート」が配られる予定で、そのパスポートがあれば空港での検疫免除や国内で行われる文化イベントやレストランに行くことができる、というものだ。

一方、デンマークでは電子ワクチンパスポートの開発に取り掛かっている。
デンマークの保健相は「入国時にワクチン証明書の提示を必要とする国が出てくる可能性があり、その時にこのワクチンパスポートが使用できる」と述べ、2021年早い段階で保健省のウェブサイトからアクセスできるよう準備中とすでに発表がなされている。
しかし、そもそも現在承認されたワクチン自体の抗体持続期間の問題など、まだまだ未知の部分も多く、このパスポートが効率的に活用できるまでには時間がかかりそうだ。
既にオーストラリア大手航空会社は昨年末、「将来的にだが、搭乗の際にワクチン証明書の提示」を求める可能性を発表しており、自由に世界の移動ができたコロナ前の世界には二度と戻れない可能性が高まりつつある。

ワクチンを打ちたくない人はもうはや海外旅行(映画もレストランも美術館)にも行けない時代が来るかもしれないのである。(井)
※最新の情報が入り次第、加筆訂正します。



自分流×帝京大学
地球カレッジ