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パリ最新情報「デルタ株の猛威、フランスも再び警戒体勢に」 Posted on 2021/07/10 Design Stories
フランスは6月末、レストランの通常営業が再開、屋外でのマスク着用義務終了、夜間外出禁止令の廃止と、次々とコロナ感染予防の規制がなくなり、本格的な夏に向けて「以前の生活」を取り返した、と、喜んだ。全国の新規感染者数も一時期千人台まで下がったフランスだったのだが、ここ数日、またもや雲行きが怪しくなってきている。専門家によると、デルタ株の猛威で、第4波の到来は逃れられないようだ。
昨日(9日)の新規感染者は4580人。特にデルタ株の拡大が凄まじいようで、現在、全国新規感染者の51%がデルタ株に感染しているという。この状況をうけ、政府は再び緊張し始め、7月12日(月)20時よりマクロン大統領のテレビ演説があることが発表された。
2020年3月から何度この発表にドキドキしたことだろう。今回の発表はロックダウンでないことは確かだが、各メディアはマクロン大統領から発表されることの可能性として、医療従事者など職業によるコロナワクチン接種義務化、健康パスポートの拡大、コロナテストの有料化、隔離措置の強化、国境での制限などを挙げ、議論をしている。
ヴェラン保健相は国民に対しワクチン接種を強く勧めており、ワクチンを接種すれば、ロックダウンやマスクの義務化、レストラン営業諸々の規制をしなくて済むが、ワクチン接種が進まなければ、日々の生活に健康パスポートを取り入れること(レストランや美術館、映画館などで必要になるかもしれない、という噂が囁かれている)や、現在全て無料の抗原テスト、PCRテストも有料化していくしかない、と、半ば脅迫とも取れる言い分であるが、このスピードでいくと、7月末にはデルタ株の拡大ピークを迎えるという医師もいる。
病院はまだ逼迫していないが、今後の動きに注意しなければならない。政府にとっても国民にとっても、また再び規制が訪れるのは避けたい。それには、ワクチン接種しかないというのもわからなくもない・・・。ワクチン接種を義務化することはできないにしても、接種せざるを得ない状況は訪れるのではないか。
フランスは現在、12歳以上の国民誰もがワクチン接種できる状況ではあるが、現在のワクチン接種率(2回接種済、もしくはコロナ感染しワクチン1回接種済)は39%。ワクチン接種に懐疑的な人も多く、政府が思うように進んでいないのが現状のようだ。ちなみに、欧州その他の国は、英国で50%、スペインで43%、ドイツ40%、ギリシャ39%、イタリア35%。
しかし、現在イギリス、スペインでデルタ株が爆発的に拡大しており、このワクチンの有効性さえ疑問を抱かざるを得ない状況である。デルタ株はワクチンを接種していない人の間で感染が拡大していると言われていたが、ワクチン接種者の中にも重症化はしないまでも、感染者は出ているようだ。実際、イスラエルでは1月や2月にワクチン接種した人の中で感染者が出ており、この時期に接種した人たちのワクチンの有効性は64%にまで下がっているという。現在ワクチンは2回接種だが、ファイザー社は3回目となる追加接種に向けて承認が進められているようだ。
楽しいことだらけの季節だが、世界が一斉に気持ちを引き締める時期である。フランスは感染が拡大しているスペイン、ポルトガルへの渡航はできるだけ避けるよう促している。