輸入品の価格高騰により新記録を更新してしまったのは、小麦やトウモロコシだけではない。
現代社会に必要不可欠なガソリンも、大幅に値上がりした。
車を持っている人への影響はもちろんのこと、これが原因でタクシーや公共交通機関の乗車料金が上がる可能性を考えれば国民全員が無視できない問題だ。
フランスで最も消費されている燃料であるディーゼルは、1リットル当たり平均で1.7415ユーロに達し、過去最高値を記録した。
レギュラーガソリンや他燃料も上昇傾向にあり、全体の平均が1.7994ユーロとなった。
2021年末の平均が1.60ユーロを下回っていたことと比較すると、急激な増加であることが分かる。
フランス紙ル・フィガロは、2021年末からの急激な変化について、「コロナウィルス緩和による景気回復と、ウクライナとロシアの間の危機によって引き起こされた石油市場の緊張による」と説明している。
街中のガソリンスタンドは、2日ほど前から価格の上昇が顕著で、これ以上上がる前にとガソリンスタンドに列をなす車が増えている。
フランス国民の不安は価格の高騰だけではない。
現在、ロシアのウクライナ侵攻に関する様々なアンケートを各メディアが行っている。
一部を取り上げると、このような調査結果となっている。

76％・・・ロシアの核の脅威がフランスに影響を及ぼさないか心配である
70％・・・ウクライナでのフランスによる軍事介入に反対である
62％・・・マクロン大統領の安全対策、報告を否定的に見ている

この結果を見るだけでも、フランス国民の今回の件への関心の深さと不安が見て取れる。
 

 
身近なところでは、子供にどう話すか、と頭を悩ませる親も多い。
テレビで、学校で、どこかしらから情報を拾ってきてしまう現在、この話題を避けて通ることは難しい。
「パパ、ママ。フランスで戦争が始まるの？」子供にこう聞かれた時、親はどう答えるべきか。
サイコセラピストのエレーヌ・ロマノさんは、メディアのインタビューで、この質問に対して3つの対処法を提案している。

・聞かれたら隠さずに話すこと
「彼らは若いので、自分たちが何も理解できない、若いせいで理解させてもらえないと思う傾向にあります」とロマノさんは言う。
一方で、彼らは大人が思っている以上に敏感で、とても小さい頃から、赤ちゃんの頃でさえ両親の不安をすぐに感じ取る。
「彼らを取り巻く周りの人々の感情の変化は、彼らに多大なる影響を与えるものだと、まず親が理解しなければなりません」
子供を不安なままにせず、聞かれたことには嘘偽りなく真摯に答えるべきだ。
 

 
・安心させ、慰め、癒す
「子供は若ければ若いほど、周りの全ての不安や不満は自分のせいだと考えてしまいます」
ロマノさんは分析する。
「彼らは、両親がストレスを抱えているようだが、自分には理由が分からないという状況に直面した時、それはきっと自分のせいだと思ってしまうのです」
そのため、世界情勢を話す前に、あなたを愛している、あなたのことは私たちが守る、と語ることによって安心を与え、不安を慰め癒すことが大事なのだという。
「そして具体的な話になった時には、『私たちは待っているだけではない。今、フランスの大統領が私たちを守るために様々な交渉をしている。その上で例え戦争になったとしても、彼らが私たちを見捨てることは決してない』とはっきり伝えるべきです」
また、過去の戦争の歴史を持ち出し、争いは永遠に続くものではない、と説明するのも方法の1つ。
「年齢によっては『終わり』の概念を強調して話し、争いには必ず『終わり』が来ること、争いが起こったとしてもあなたはこの世界で1人ぼっちになることは決してないということを繰り返し伝えるのが良いでしょう」とロマノさんは提案する。
 

 
・慎重な姿勢を崩さない
子供に話す時には、言葉や言い方を選び、発言に慎重な姿勢を崩さないのも大事なポイント。
「私たちは皆、核戦争が起こらず、自国が侵略されないことを望んでいますが、誰もそれを保証することはできません」それ故ロマノさんは、無闇に平和を約束することはするべきでないと言う。
「できない約束をしてしまうと、もし状況が悪化した場合、子供の目に大人は嘘つきと映ってしまいます。ですがもちろん、争いを解決するために国が尽力していることを説明し、彼らを安心させてあげることもまた大事です」

別の調査結果では、30歳以下の選挙権を持つ若者へアンケートをした結果、80％が4月に行われる大統領選の投票へ行くと答えている。
ロシアのウクライナ侵攻を無視できないフランス、果たして選挙への影響は。（山）