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パリ最新情報「街がアートになるパリ。パリのビルにぶら下がる椅子は何?」 Posted on 2023/10/27 Design Stories  

 
パリ8区、大統領官邸であるエリゼ宮の近くに、印象的なアート作品が現れた。
 

パリ最新情報「街がアートになるパリ。パリのビルにぶら下がる椅子は何?」



 
見ると、オスマン建築のビルの3階から、いくつもの木椅子がぶら下がっている。
カメラを向ける人もたくさんいて、周囲からは「落ちないの?」「これはどうなっているのか?」などという声が聞こえてきた。

作品の舞台となったのはパリ8区、サントノーレ通りにあるインテリア・デザインのショールーム「ギャルリー・リエーグル(Galerie Liaigre)」。
同ギャラリーは日本人アーティストの川俣正氏を迎え、23年10月23日から特別なインスタレーションを開始した。
 

パリ最新情報「街がアートになるパリ。パリのビルにぶら下がる椅子は何?」



 
今回の作品は「Nest in Liaigre(リエーグルの巣)」と題された。
アートと建築、屋外と屋内、過去と現在が対話するインスタレーションなのだという。
100脚の椅子は、フランスのエマウス協会(※)から寄贈された。
※エマウス協会…回収した不用品などをリサイクルして販売し、それで得た資金を社会に適合できなくなった人々を救済するために使うフランスの非営利団体。
 

パリ最新情報「街がアートになるパリ。パリのビルにぶら下がる椅子は何?」

 
作品のタイトルにもあるように、ぶら下がる椅子は幸福と平和の象徴である「鳥の巣」がモチーフになっている。
哲学的とも言えるこのインスタレーションは、23年12月12日まで展示されるということだ。
 



 
パリではこうして、街の各所がアートの舞台となる。
作品は現代アートであることが多い。
つい最近では、パリ+ アート・バーゼル2023(Paris+ by Art Basel、世界最大のアートフェア)が開催され、現代アートが首都パリの主役となっていた。

このように国際的な見本市が開かれるときは、展覧会、パフォーマンス、インスタレーション等がパリ中で開催される。
目的や団体はさまざまだとしても、現代アートならではの斬新さ・独創性には毎度のように驚かされてしまう。
アーティストの国籍もさまざまで、フットワークも軽く、現代のパリらしい多様性にあふれている。
 

パリ最新情報「街がアートになるパリ。パリのビルにぶら下がる椅子は何?」

※ル・ボンマルシェの「鍋」アート作品(23年1月)。デパートもアートの舞台になるパリ。

 
パリの現代アートシーンには勢いもある。
シャトレ地区にある新しい現代美術館「ブルス・ドゥ・コメルス」に始まり、ストリートアート、AI美術まで、近年のパリは国内外の才能を惹きつけ、受け入れ、若きアーティストをバックアップする。
中世美術から現代アートまで、時代を越えてさまざまな芸術を包み込むのがパリだ。(内)
 

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