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欧州最新情報「果物にタトゥー!?ゴミ問題へのフランスでの工夫」 Posted on 2021/09/04 Design Stories
フランスのスーパーで最近目にする、文字が入った果物たち。
ブランド名や、生産管理番号なのだが、食用インク、レーザー照射で印字され、品質、味、そして、保存期間には影響がないといわれている。
従来の容器から置き換えることで、廃棄物を削減しようという試みだ。
フランスでは日常生活で、様々な廃棄物削減の工夫に出会うのでいくつか紹介したい。
フランスの素敵なキッチンに並ぶ瓶。
見た目が良いこともあるが、量り売り文化が根付いている、ということも影響していそうだ。
フランスのスーパーの一角には、シリアルやナッツ、パスタなどの乾物の量り売りコーナーがある。
フランス初の量り売り専門店「day by day」は、フランス国内外76店舗チェーン展開している。
食品から、洗剤、シャンプーなどの身の回りの消耗品は一通り、量り売りで購入できる。
ここでは、新品の容器も販売されているが、顧客から寄付されたものを無料で使うことも可能。
瓶底に書かれた数字は瓶自体の重量で、そのまま商品を入れて重さを測っても、その分を差し引いてくれる仕組みだ。
自分で容器を持ってきた場合は、まず入り口で重さを測ってもらう。
醤油の量り売りもあり、フランスで日本の食文化が浸透しつつあることを感じる。
ただ、日本の醤油は「辛口」と呼ばれ、こちらでは「甘口」という甘じょっぱいものが人気だ。
ここでは両方の取り扱いがあった。
この店舗では量り売り以外にも、様々な使い捨てではない商品が並ぶ。
布オムツはもちろん、柄の部分が再利用できる歯ブラシなども。
「洗って何度でも使える生理用品や、メイク用コットンを使う人はもう珍しくない」と語るのは、このお店で出会ったパリジェンヌのセリーヌさん。
日用の消耗品は全てこのお店で揃えているそうだが、彼女がこのお店にくる理由は「なんとなく良いことをしている気分になれて気持ちが良いから」という気軽なもの。
彼女に教えてもらった本が、「Famille Zero Dechet(ごみゼロ一家)」。
家庭から出るゴミを減らす楽しいアイディアが満載で、可愛いイラストや、漫画で紹介されている。
ボードゲームなど、子どもでもゴミ問題への意識を持ちやすい関連商品も。
本の登場人物は実在する四人家族で、お父さんのジェレミーは、TEDというオンライン講演サイトで、一家の一年分のゴミの量を紹介している。
「ボブ」と名付けられた一家の「ゴミ箱」は、なんと一年間でガラス瓶ひとつ分! この瓶は量り売りのものを入れるための、廃棄物削減の象徴的な容器ともいえる。
ジェレミーに触発されたフランス人たちが、一年分のゴミをガラス瓶ひとつに抑えるというチャレンジをしていて、中身を解説するYouTube動画は興味深い。缶瓶類をリサイクルに出し、生ゴミはコンポストへ、ふだんの買い物も気をつけるなど追求していくと、この量に抑えられるのかもしれないが、実践するのはなかなか難しそうだ。まずは、お店で出会ったセリーヌさんの気軽さを思い出して、何か始めてみたくなった。
(ウ)