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パリ最新情報「フランス、秋の“味覚週間”が始まる。食への好奇心を子どもたちに与えよう!」 Posted on 2023/10/18 Design Stories
16日より、フランスでは「味覚」のイベント、La Semaine du Goût(味覚週間)が始まった。
食欲の秋、そして美食の国フランスに似合うこのイベントは、1990年から国内の学校や市場、レストランなどで開催されてきた。
始まったきっかけは、子どもたちを取り巻く食の乱れが指摘されていたこと。
当初はパリの小学校で、シェフによる“一日限りの味覚レッスン”が行われたのだが、これが子どもたちの味覚教育にとても良いと評判になった。
以来、フランス国内で広く受け入れられるようになり、毎年10月半ばの一週間が「味覚週間」となった。
今年で34回目の味覚週間、いちばんの目的は“教育”となる。
これは子どもたちに行う味覚レッスンのほか、「食に対する好奇心」を育むことが重要とされている。
舞台は学校、レストランの厨房、食市場や農場・・・と多岐にわたるのだが、なかでも興味深いのが、幼稚園・小学校での味覚レッスンだ。
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La Semaine du Goût 公式インスタグラムより
※パティシエによる幼稚園での味覚レッスン。
学校を訪れるのは、プロのシェフや職人(パン屋、肉屋、チーズ製造者、農家)たち。
彼らはボランティアで参加し、子どもたちに味覚のいろはを伝えていく。
たとえば幼稚園では、子どもたちが大好きなケーキの材料(レモンや蜂蜜)を使って、甘い、酸っぱい、苦いといった味覚の基本を、プロのパティシエが直接教えたりする。
このレッスンは年齢が上がるにつれ、そのレベルも少しずつ上がっていくのが特徴だ。
フランスの小学校ではこの期間、「チーズの試食」なるレッスンも行われる。
先生は、地元のチーズ職人。
そのユニークな内容には、紙コップの中にカマンベール、パルメザン、シェーブル(羊のチーズ)など色々なチーズを入れて、さらにガーゼで蓋をし、子どもたちに匂いを嗅がせてどれが入っているか当ててもらう、というものがあった。
これもチーズの国フランスらしい、実践的な味覚レッスンだ。※各チーズの名産地、乳牛についてのレッスンもある。
ほか、期間中はマルシェのツアー、農場ツアー、料理教室などが開かれ、バランスの取れた食生活のヒント、食わず嫌いを克服するヒントを子どもたちに伝える。
味覚週間はもちろん大人たちも楽しめる。
イベントに参加するレストランでは、地産地消を再発見してもらうための特別メニューが提供されたりする。
フランスの味覚週間は、人生のあらゆる段階において、味覚について、そして味覚がどのように受け継がれていくかについてを問いかけるものであるという。
そしてフランスでスタートしたこの味覚週間は、日本をはじめとする他国でも開催されている。
このように食に対する好奇心を育もうと始まった味覚の一週間、今ではフランスの文部省、農務省が後援する大きなイベントとなった。(オ)