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パリ最新情報「パリにショッピングの春が戻ってきた」 Posted on 2020/05/12 Design Stories  

フランスが外出制限を解除した今日、5月11日、58日ぶりに食料品以外のものを扱う商店が営業を再開した。3月14日夜の「翌日零時より商店、レストラン、カフェを閉鎖する」という政府の発表以降、どの店もずっと扉を閉ざし続けていたので、今日、本当に店が開いてるのか半信半疑だった。けれど、街に出てみると、レストランやカフェを除いて、どこのお店も営業を再開していた。パリに彩りが戻っていた! 行ってみたのは、パリの老舗デパート、ボンマルシェ。入り口に近づくと、中からマスク姿のお兄さんが出てきて、「今日から入口は一カ所のみになったんだよ」と唯一の入口の場所を教えてくれた。そこまでの道すがら、足元にはデパートを囲むように1mごとの線が引かれていて、壁にはマスク着用の義務、手の消毒、1m以上の距離を保つ、など、店内での新しい決まりごとが張り出されていた。

パリ最新情報「パリにショッピングの春が戻ってきた」

パリ最新情報「パリにショッピングの春が戻ってきた」

入店すると、まず消毒液が並べられており、スタッフが手の消毒をしているか、マスクを着けているかを確認していた。そこを通過すると、行き交う人々の全員がマスクを着けていること以外、広がっていたのは今までと変わらないボンマルシェだった。みんなちょっとオシャレをして、マスクを着けて、58日ぶりのショッピングを楽しんでいた。以前の平日とあまり変わらないくらいの人手があって、高級ブランド店にもお客さんがいたし、洋服や化粧品をたくさん購入している人が目についた。(現在フランスは、主に、フランスまたはEU圏内に在住し、長期滞在許可証を持つものしか入国できないので、観光客はいないはず)
昨日まで家にいた人たちがデパートで買い物をしている姿を見ると、ああ、日常は思っていたよりも早く戻ってくるのかもしれない、とも思った。私自身も、この2ヶ月近く全くショッピングをしていなかったし、少し気分をあげたかったし、夏物のアクセサリーと、季節とサイズが変わって着せるものがなくなってきた子供服を買うことにした。夏物の服も見たかったけれど、今年は「夏」を楽しめるかどうかもわからないし、外出制限中はずーっと同じ服を着ていたので、正直、何を見ていいのかさえ思いつかなかった。

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アクセサリーを買うのに接客をしてくれた店員さんに話を聞いてみると、パリで開いているデパートはボンマルシェとBHVのみ。5月11日の商店再開の条件として4万平方メートル以上の店は閉鎖のままということだったので、ラファイエットやプランタンは規模が大きすぎて再開できなかったのだそう。店内での対応については「これまで行われていた作業でいろいろなことができなくなったので、これから私たちはそれに順応して行かなきゃならない。今日からリハビリよ」と言っていた。例えば、接客は店員1人に対して、1組2人までを理想とし、売り場に店員が2人しかいなければ、2組(4人)までしか対応できない。子供を3人連れた家族連れのお客さんが来た場合、全員がその売り場には入れなくなる。また、ボンマルシェはお客様カードをiPadで作成しているが、その入力やサインは店員のみが行う。各売り場に消毒液が置かれ、何かを触るごとに手の消毒を行う。など、触れ合わないジェスチャーを身につけていくことになるようだ。

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ショッピングを終えて外に出ると、ふと、一時期、1日の死者が1000人という不安な日々を過ごし、食料品を買いに行くだけでも神経質になっていたことを思い出した。命を救うために行われた外出制限は、経済を繋いでいくために解除された。今、こうやってショッピングできるほど元気であることに感謝しつつ、これから、私たちがどれだけ感染者を拡大させずにこの新しい日常を維持できるかが課題となる。

それにしても、久しぶりのショッピングがこれだけ気分転換になるとは思わなかった。今日買ったものは、この長い未曾有の外出制限を生きた証として、生涯大切にしたい。

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