欧州最新情報
パリ最新情報「機内持ち込み手荷物、100ml液体ルール。欧州でまもなく終了?」 Posted on 2023/02/23 Design Stories
国際線に乗るたびに慌ててしまう、手荷物検査の液体ルール。
一本を100mlに収めなければならず、液体物はさらに透明のジップロックに入れておかなければならない。
空のボトルも袋も空港内で買うことができるが、バタバタするのは必至。
事前に準備しておいても、ボディクリームが液体の対象とは知らず、海外の空港で捨てられるのを泣く泣く見ていた…と、このような経験をされた方は多いのではないだろうか。
しかし欧州では近い将来、旅行前のパッキングでつまずく必要がなくなるかもしれない。
というのは、欧州のいくつかの空港で、新しい3DのX線スキャナーが導入され始めたためだ。
この新タイプのスキャナーにより、ボトルに入った液体に危険性があるかどうか(爆発物かどうか)、即座にチェックすることが可能になったというのだ。
その結果、欧州では液体物の機内持ち込みは100mlまでという制限が、一部の空港から少しずつ撤廃されようとしている。
現在、飛行機の液体物持ち込み制限については、国内線と国際線で異なる。
しかし国際線への持ち込みは国内線よりかなり厳しく、その理由の一番にはテロ防止が挙げられる。
これは、2006年に発生したイギリスでの航空機爆破テロ未遂事件がきっかけだった。
このテロ未遂事件では、機内に液状物質を使って飛行機を爆破させる計画があったという。
そのため、2007年からは全世界の国際線で液体物持ち込み制限のルールが定められ、すべての液体物は100ml以下の容器に詰め替えなければならないなど内容が細かく規制されることになってしまった。
現在ではすでに、イギリス(ヒースロー空港)とアメリカ(ロサンゼルス空港)など大西洋をまたぐ12の空港で3DのX線スキャナーが導入されており、フランスではパリ郊外のオルリー空港で一部テスト運用がされている。
また欧州では2024年から、スペイン(マドリード・バラハス空港)とバルセロナ=エル・プラット空港で液体物の機内持ち込み制限が廃止されると報道されたばかりだ。
パリのシャルル・ド・ゴール空港を運営する仏ADPグループにおいては、この新システムを今後フランス国内に導入させるつもりがあると仏紙ル・フィガロにて断言している。
ルールの改定は、高解像度の3Dスキャナーが開発され、手荷物の中身をあらゆる角度からチェックできるようになったことで、ノートパソコンや液体物を取り出す必要がなくなり、さらに液体の小分けも不要となるというもの。(ルール改定後には液体持ち込み2リットルが上限となる可能性が高い)
これについて仏ADPグループは、「新しいX線スキャナーは昨年9月よりオルリー空港にてテスト中で、今後一年間が試用期間となる。乗客は手荷物を分ける必要がなくなったため、待ち時間が劇的に改善されている」と述べている。
さらに航空産業は世界大気汚染の2%を占めていることから、このチェック業務を完全になくせばエコロジーにも繋がっていくのだという。
飲料だけでなく化粧品やデオドラント、コンタクトレンズの洗浄液など、2007年に導入された液体ルールは対象が非常に広かった。
家族旅行の場合は特に気を回さなければならならず、空港内で余分な時間も生まれてしまっていた。
しかしこの新システムはすでに大西洋方面の国際空港で導入されており、その価値も十分に証明されているということだ。
空港職員や旅行者にとって時間の節約になる新しいルール、欧州では2024年をめどに広がる予定だ。(内)