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パリ最新情報「マクロン大統領、若者支援に月500ユーロの支給を発表」 Posted on 2021/11/14 Design Stories
マクロン大統領が16歳から26歳未満の未就業者に対し、巨額の「就労支援策」を発表した。
具体的には、長期にわたって就学、就労しておらず、職業訓練も受けていない26歳未満のいわゆる「ニート」を対象に、月々500ユーロの支援金を支給するというもの。
総額にして約26億ユーロにも上る。
2022年3月1日から稼働し、対象者は職業訓練を受けることを条件に最長12か月の支援を受けることができる。2022年中に40万人の若者の就労につなげることが目標だという。
実は、フランスでもニートと呼ばれる若者は年々増えていて、その数100万人とも言われている。
コロナが影響しているのは言うまでもないが、現在、若者の失業者は5人に1人。
コロナ禍の2020年6月に学校を卒業した学生は就職が難しく、生活に困窮するといったケースが相次いでいる。
マクロン大統領は10代から20代の若者を「ロックダウンで最も犠牲になった世代」と位置付け、その支援を優先的に行ってきた。
フランスでは一度も就職をしていない者は失業保険の対象にもならないため、収入のない若者は犯罪に巻き込まれる可能性もある。
そういった懸念事項もあり、カステックス首相はマクロン大統領に続き「強い経済回復力を見せる今、就労が困難な若者に向けた措置を強化し、適応させることが我々の義務だ」と声明を発表した。
一方で、「次期大統領選を意識している」といった声も。
歴代で最も若いマクロン大統領は、若者からの支持率が他の年齢層よりも高い。
SNSを駆使した青少年へのメッセージ等、未だかつてないほど「若者に寄りそった」大統領でもある。
来年4月の大統領選では若年層の票数が重要な位置を占める、とし、現フランス政府はこういった若者支援に特に力を入れているようだ。
フランスの高い税金システムや就職難、移民問題などに焦りを感じ、他国(とりわけ北欧、カナダ、アメリカなど)に強い憧れを抱く若者は多い。
海外移住を決めるフランス人の約80%が18~29歳の若年層といった結果も出ている。
当然のことながら、優秀な人材の流出が社会に与える影響は甚大だ。
フランスが若い人にとって「住みやすい国」となるよう、試行錯誤を繰り返す政府。
今回の政策をはじめ、コロナ後を見据えた若者へのサポートが目立つようになってきた。
複雑な社会問題が少なからず存在するが、この支援策が吉と出てほしい。(聖)