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パリ最新情報「フランス新首相が決定。歴代最年長、ミシェル・バル二エ氏の人物像とは」 Posted on 2024/09/07 Design Stories  

 
混乱をきわめた国民議会選挙から約2カ月、フランスの新首相がついに決定した。
マクロン大統領は9月5日、中道右派・共和党のミシェル・バルニエ氏を新首相に任命。選ばれたバルニエ氏は初演説で、「この国の根深い問題を解決したいと願うすべての人々とともに、解決策を見出したい」と述べた。
 

パリ最新情報「フランス新首相が決定。歴代最年長、ミシェル・バル二エ氏の人物像とは」

※フランス新首相のミシェル・バルニエ氏。Le Parisien 公式X
https://x.com/le_Parisien/status/1831998294555258934



 
バルニエ氏は1993年に環境大臣、1995年に欧州問題担当大臣、シラク政権で外務大臣、サルコジ政権で農務大臣を歴任した人物だ。さらに欧州委員を2度務めた経験があり、2019年にはEU側の首席交渉官として、英国での国民投票に伴うEU離脱交渉という重責を任された。

マクロン大統領はこうしたベテランのバルニエ氏を首相に任命したわけだが、同氏は今後、現在のフランスが陥る深刻な政治的危機に終止符を打つために、議会の問責に耐えうる政権を樹立しなければならない。

バルニエ氏は1951年1月生まれの73歳で、3人の子どもの父親でもある。前任のガブリエル・アタル氏が第五共和制史上最年少の35歳だったのに対し、バルニエ氏は歴代最年長と対照的だ。
またフランスとEUでよく知られた人物であるバルニエ氏は、その思慮深さと抑制の効いた発言でも有名で、「優れたネゴシエーター」との異名を持つ。

初演説でバル二エ氏は、ガブリエル・アタル前首相が打ち出した「教育は政府の最重要課題」という目的を継承することを約束した。それに次ぐ優先事項としては、「公共サービスにおけるアクセシビリティの改善」「日々の安全保障」「移民の管理」「雇用と購買力の向上」などを挙げている。
 

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※写真左:ガブリエル・アタル前首相、写真右:ミシェル・バルニエ新首相



 
早速行われた世論調査では、51%のフランス人が「ミシェル・バルニエ首相を信頼している」と答えた。
しかし、中道右派から首相が誕生したことについては、左派から批判の声が上がっている。
たとえば左派連合(NFP)のリュシー・カステッツ氏は、マクロン大統領の人選を「右派の支持数に依存している」と批判。不服従のフランス(LFI)を率いるジャン・リュック・メランション氏にいたっては、「マクロン大統領は国民から選挙を奪った」と強く反発している。
こうした不満を受け、フランスのいくつかの都市では7日(土)にデモが行われる予定だ。
 

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7月に行われた国民議会選挙は、絶対多数を獲得する政党がない状況下で終了した。しかし最大議席を獲得した左派連合(NFP)による組閣はならず、フランス政界では約2ヶ月ものあいだ、膠着状態が続いていた。
ただ、バルニエ氏の組閣がどのようなものになるかは不明だ。一部では新政権樹立まで「10〜15日はかかるだろう」と見られている。

こうして混乱をきわめるフランス政界だが、総選挙での高い投票率が示す通り、国民の関心は非常に高い。7月の投票では、現行政治に落胆しつつも、変革を強く望む国民の底力を見せつけられた。
バルニエ氏の約半世紀におよぶ政治経験が「フランスの内政を務める」首相業務でどう活かされるのか。再び大きな注目が集まる。(コ)
 

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