欧州最新情報
パリ最新情報「春のはじまりはピクニックから!フランス流シンプルなピクニック術」 Posted on 2025/03/22 Design Stories
春のはじまり。暖かな空気に誘われて外へ出ると、公園やセーヌ川沿い、遊歩道のベンチなどで、顔を上げて太陽の光をいっぱいに浴びるフランス人の姿が目に入る。最近ではカフェのテラス席も満席のことが多く、誰もが少しでも長く陽ざしを感じていたいという様子だ。
※春、多くの人で賑わうセーヌ川沿い
とくに春分の日はパリでも最高気温が20度近くまで上がり、街じゅうが春の陽気に包まれた。外でランチやピクニックを楽しむ人も本当に多く、お昼どきのスーパーマーケットでは、仕事の休憩中らしき人たちが「外で食べる?(On mange dehors?)」と声をかけ合う姿も見られた。天気の良い日に室内にいるなんてもったいない、という、長い冬を過ごしたフランス人ならではの感覚なのだろう。
こうして春の訪れとともに、フランスではピクニックシーズンが幕を開ける。「ピクニック」という言葉自体がフランス語(pique-nique)に由来するだけあって、フランス人にとってピクニックはまさに文化そのもの。お休みの日でも、学校帰りでも、あるいは仕事の休憩中でも、「ピクニックしない?」と気軽に誘い合うのがこちらのスタイルだ。
ただ、見ていると、フランス人の用意する食べ物や飲み物がとても簡単であることに気づく。ワインにチーズとパンだけ、ビールにポテトチップスだけ、中にはスーパーで買ったハムやプチトマト、フランボワーズをそのまま広げる人もいる。日本のようにお弁当をしっかり用意して行った日には、フランス人から「すごい!」と驚かれたこともあった。どうやらフランスのピクニックでは、手をかけず頑張らず、“火を使わない料理”を持参するのが主流らしい。
サラダやクスクスといった軽食を持ち寄る人もいるが、その際はグラスもカトラリーも家から持参し、使い捨ての食器をなるべく使わないのだという。荷物はピクニックバスケットではなく、普段のリュックやエコバッグに詰めて。皆こうして、気軽な普段着スタイルでピクニックを楽しんでいる。
ただ一つこだわりがあるとするなら、それは「敷物」かもしれない。日本の花見でよく見かけるレジャーシートも、こちらでは布製の敷物であることが多い。可愛いデザインのものを誰もが一枚は持っているイメージがあって、それがピクニックのトレードマークにもなっている。とはいえ、セーヌ川沿いでは気にせず直に座る人も多数。やはり「今日は晴れているからピクニックしよう」と、思い立ってそのままやってきたのだろう。一人で本を読んだり、音楽を聴きながら日光浴を楽しむ人たちもいて、その穏やかな光景がとても印象的だった。
※一方、大人はカフェで日光浴を
パリのセーヌ川沿いでは、こうして春先からピクニックを楽しむ人が増えていく。料理より何より「太陽が主役」という感じで、持ち物にこだわる様子はあまりなく、とにかく陽ざしを楽しむことが最優先のようだ。さらにパリでは、太陽がしっかり当たるセーヌ右岸側の人気が高いのも特徴的。今ではパリ五輪時に移動の危機にあったブキニスト(古本販売店)も元気を取り戻し、川岸全体がますます活気づいている。(ち)
※セーヌ川沿いのブキ二ストも元気に営業中!