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パリ最新情報「パリ市役所、ペット同伴での出勤を容認へ。職場での交流を促進する目的で」 Posted on 2022/10/14 Design Stories
10月11日、パリ市議会は、市役所におけるペット同伴での出勤に関する決議を採択した。
これにより、パリ市役所では将来的に一般市民と接触しない部署でのみ、ペットを伴っての出勤が認められるようになる。
パリ市長であるアンヌ・イダルゴ氏は、以前からこのテーマについて関心があったようだ。
同氏は昨年6月には、パリ5区のデジタル美術館が主催する「アートの中の動物」の企画会議において、市職員や有権者をペットと一緒に招待し、実験的な試みをすでに行っていた。
11日には5区の区長であるフローレンス・ベルトー氏がその調査書を読み上げ、参加者全員に「非常に良い影響があった」という結果を報告。
そしてペットとの触れ合いで「心疾患のリスクが23%軽減される」、「職場での人間関係が和らぎ、同僚との交流を促進する効果がある」などの研究結果を引用しながら述べたことが引き金となり、最終的な決議に至った。
フランスはペット同伴での入店や公共交通機関の利用に非常に寛容であるほか、私企業や自営業では犬猫を伴っての出勤を認めているところもある。
公的な役所では数は少ないものの、仏東部グルノーブル市・南仏ニース市がすでに同伴出勤を可能にしており、いずれも市職員から好評だという。
パリ近郊では、セーヌ川に隣接する西郊外シュレンヌ市役所が2020年9月からペット同伴出勤を採用している。
こちらも一般市民と接触しない部署に限っているが、連れてくることのできるペットは犬や猫のほかに魚も認めているとのことだ。
シュレンヌ市の人事担当であるベアトリス・ド・ラバレット氏は、現在15人の職員がペット(主にワンちゃん)と共に出勤しており、結果として職場に来る楽しみが増え、コミュニケーション増にも繋がったと話している。
また役場は近年、人員不足の問題も抱えており、「労働力不足の時代なので、職場での幸福は無視できない。家族同然のペットを連れてこれるというのは人材を惹きつける要因の一つです」とも同氏は述べている。
ただし、ペット同伴はどの役場も上司や同僚の同意を得た上で許可している。(アレルギーや恐怖症の人が一人でもいれば許可されない)
パリ市もこうした先例に続く意向だが、衛生面や散歩時間の確保といった課題が多く残るため、正式な開始日程は今のところ決まっていない。
コロナ禍におけるテレワークが浸透したため、ペットと暮らす人の中では出勤が再開しても彼らと離れたくない、何時間も放っておけない、という意見が増えている。
ただペットはOKなのになぜ赤ちゃんは駄目なのか?といった声もあり、この分野については今後も議論が交わされることになりそうだ。(せ)