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パリ最新情報「オリンピック直前、各スタジアムは完成間近。開催地パリの様子はいかに?」 Posted on 2024/07/13 Design Stories
7月26日の五輪開会式を目前に控えたパリ。
今大会では競技会場の半数がパリ中心部にあり、エッフェル塔、アレクサンドル3世橋、コンコルド広場といった歴史的モニュメントが臨時のスタジアムに変身する。
現在では工事も大詰めを迎えているようだ。たとえば7月11日には、エッフェル塔前のスタジアム(ビーチバレー会場)に砂が敷かれ、バレーボールネットが設置されたという知らせが入った。また、スケートボート等の競技会場であるコンコルド広場では、窪地状のコースやスピーカーがすでに設置され、7月14日の落成式を待つのみとなっている。
※パラリンピックの開会式場にもなるコンコルド広場。
自転車ロードレースのゴール地点、およびトライアスロン競技の会場となるアレクサンドル3世橋では、橋の上に大規模な観客席が設置されている。手前にあるグラン・パレはフェンシングとテコンドーの競技会場で、こちらも工事が最終段階に入っているという。
※右手がグラン・パレ、奥にアレクサンドル3世橋、その先がアンヴァリッド(アーチェリーの舞台)。
完成間近の各スタジアムは、想像よりもはるかに大きい。歴史的建造物の背景もあいまって、壮大な印象を受ける。ただ工事のリズムに関しては、街も人も混乱気味だと言えるかもしれない。
今年に入ってから本格化したオリンピック向けの工事だが、張られた柵とバリケードの総数は、パリ市内だけでも44,000枚を超えているという。
競技会場付近では車両が通行止めになり、セーヌ川沿いでは一部の歩道やサイクリングロードが利用できなくなった。さらに張られたバリケードが「景観をそこねる」と、中心部のカフェやレストランから苦情が出ている。
※会場付近の地下鉄駅は封鎖されている。
正規のスタジアム以外、つまり歴史的建造物を競技の舞台とすることは、パリ市民に予想以上の犠牲を強いることになった。テロ対策への不安も、いまだ拭いきれていない。
バリケードのほとんどは7月26日の開会式以降に撤去されるというが、もとのパリに完全に戻るには、大会が終わってから数か月もかかるそうだ。
しかし、デメリットばかりではない。大改造中のパリでは、意外なメリットも発見されている。
もっともな例は、求人だ。求人の多い業種には、警備、サービス、飲食、輸送などがある。民間警備員やオリンピック選手村のスタッフは需要がとくに大きく、合わせて数千人の求人があると言われた。
また不便ではあるものの、歩行者天国になったシャンゼリゼ通り〜コンコルド広場では、空気と騒音の大幅な改善が見られた。現在は車・バイクによる騒音がなく、呼吸のしやすい通りになっている。
※シャンゼリゼ通り〜コンコルド広場にかけては歩行者天国に。
来週には、セーヌ川沿いの移動規制がいよいよ始まる。一方でチケットの販売総数は860万枚を超え、五輪最多を記録しているという。
なお今週末の7月14日には、オリンピック聖火がパリに到着し、凱旋門やノートルダム寺院、モンマルトルなど名所を一つひとつまわる予定だ。(コ)